ザ・スーパー・ポップ宣言

音壁の世界(3)

音壁の世界(3)

THE WORLD OF "WALL OF SOUND"(3)

NIAGARA 4.jpg

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【 ポップ偏差値 63

須藤薫 / つのる想い 作曲篠原太郎 編曲小西康陽 '89



1980年代を中心に活躍した女性歌手、須藤薫の1989年のシングルでウォール・オブ・サウンド仕様曲。日本産ウォール・オブ・サウンド・コンピ 「音壁ジャパン」 にも収録されていた。プロデュースは元ピチカートファイヴの小西康陽で、当ブログでは小泉今日子のハリーラブ、 東京ディスコナイト のプロデューサーとして既出です。本曲も意識高い系プロデューサーの本領発揮という感じで手加減なしの怒涛のウォール・オブ・サウンドを展開しています。本家フィルスペクターによるライチャスブラザーズやティナターナーでもバラードにおけるウォール・オブ・サウンドの有用性は証明されていた訳ですが、この壮大なバラードでは更に音壁を深めた感じ。これ実験?と思わせるほど派手に重低音を効かせたサウンドは音壁的に実に心地よい。メロディも悪くはないけどサビの絶唱の繰り返しはちょっとクドい感じがします。どうせなら、もう少しインスト色を強めてよりウォール・オブ・サウンドを堪能し易い内容にして欲しかったかも。何れにしても本曲の音壁の厚さと出来の良さは世界的にみても稀有と言えるでしょう。個人的に小西康陽氏のかかわってきた楽曲は積極的に聴いたことがなかったのだけど探せばもっと良質な音壁が存在するのかも知れませんね。(お勧めの音壁曲がありましたら是非教えてください。)

「YOU TUBE」 で聴けます。

井上陽水 / 新しいラプソディー 作曲井上陽水 編曲星勝 '86



70年代初頭から活躍するフォーク/ニューミュージック系シンガーソングライター井上陽水の1986年のシングル曲。曲はゆったりとしたバラードで音壁仕様。所謂フォークソングっぽい感じは全く無いので万人に受け入れ易そう。歌詞も何やら大仰な感じがしますが、メロディもかなり大仰で壮大な雰囲気。こうした曲にはウォール・オブ・サウンドがよく合う感じで、かなり完成度が高いですね。エコー感のあるドラムの重低音、アコースティックピアノの綺麗な音色、カスタネットなどの煌びやかな装飾音が品よく配置されています。特に間奏で聴けるアコピの高らかな響きが素晴らしく聴き所としてお勧め。(もっとこういう音壁なアコピが聴ける曲ないかな?)この曲はテレビCMにも使われていたので結構聴いたことがある人も多いと思うけど、繊細で心地よい音壁の響きはテレビでは伝わりにくいと思いますので、是非ステレオなどでじっくり味わって欲しいものですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。

TRACEY ULLMAN / SUNGLASSES (12" Extended Version)'84



Breakaway の大ヒットにより80年代洋楽ポップ好きには外せない女性シンガー、トレイシー・ウルマンによる65年のSkeeter Davisのカントリー・ヒットの音壁カバー。 オリジナル は純朴な雰囲気で和める作品ですが、トレイシー版は一転してド派手なウォール・オブ・サウンド仕様。基本は「BE MY BABY」トラックで深いエコーの効いた迫力あるドラムの重低音、軽やかなカスタネットなど音壁的要素はバッチリ楽しめます。

ド派手なイントロの 7インチ・バージョン も良いのですが、まろやかなギターを入れ、よりカスタの響きも自然な 12インチ・バージョン もお勧め。80年代の12インチ・バージョンって冗長で蛇足的作品が多かったけど、これはしっかり作られてます。トレイシー陣営にはこうした60年代ガールポップの派手な焼き直しをもっと沢山作って欲しかったですねえ。

PVは プールサイド編 海辺編 の二種類あるようです。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁サウンド) ポップ偏差値合計
7
8 7 6 6 7 9 8 5 63


YUI(浅香唯) / Ring Ring Ring '97 作曲編曲安田信二

yui.jpgyui 1-2.JPG

浅香唯が改名しYUI名義で発表した97年のウォール・オブ・サウンド仕様の作品。近年の音壁と言えば岩崎元是Pによる洗練された緻密なサウンドが主流だけれど、ここで聴ける音壁は60年代の元祖フィルスペクターによるサウンドに近い。ちょっと古臭くアナログ臭漂いながらも華やかで厚いサウンドは往年の音壁ファンには堪らない内容でしょう。手間暇かけてこだわって作った、その徹底した職人魂に感激!サウンドと比べてメロディと浅香唯による歌唱がいまいち魅力薄なのが惜しい。しかしこのサウンドは既聴感が強いなあと思って探してみたら古いポピュラーヒットをJackie Trentが64年に音壁カバーした If You Love Me (Really Love Me) が元ネタみたいですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁サウンド) ポップ偏差値合計
7
8 7 6 6 7 10 7 5 63


井森美幸 / 99粒の涙 '85 作曲林哲司 編曲萩田光雄

IMORI 99tubunonamida

高揚感のある胸キュンコーラス、エコーの深い電子ピアノの重低音、軽やかなカスタネットの響き、とバックは実に素晴らしいスペクター/ナイアガラ系音壁サウンド。ちょっと湿った派手さの無いメロディながら良くまとまった旋律で曲のグレイドは相当高い。それに対し残念ながら井森美幸のヴォーカルは不安定で魅力、フェロモンにかなり乏しい。また説明調の歌詞もいまいちでこれらが曲全体の足をひっぱり一聴して名曲とは認識されにくいかもしれない。然しながらアイドルポップとしては数少ない貴重な音壁バラードの名曲と言えます。【注意】明るくポップな曲ではありませんのでご注意下さい。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁サウンド) ポップ偏差値合計
5
7 7 5 7 9 10 8 5 63


新山志保 / 青い空 青い海 作曲編曲/岩崎元是(IWASAKI MOTOYOSHI) '98「ワイルドハーフドラマアルバム Encounter3」

WILD HEART

山下達郎/ヘロンネタ曲。多くの達郎ファンはイントロが終わったら思わず「どんなにー」と歌いだしそうになってしまうことでしょう。岩崎元是さんはその筋では有名な大滝詠一フォロワー。ここでは思いっきり山下達郎/ヘロンやってます。しかーし、この曲はパクリとか真似とかそんなレベルを超越した原曲に勝るとも劣らない素晴らしい本物のアレンジを聴かせてくれます。心地よく響くエレピの調べ。深いエコーのかかった奥行きのあるトラックにメロディもなかなか高揚感のある良い出来。爽快なコーラスは達郎氏本人か?と一瞬思わせるほどで良い出来。欲を言えばカスタネットをあと20個ぐらい使って欲しかった(笑)。それとコーラスももっと全編に入れた方が良かったと思う。こんな素晴らしい曲が漫画のドラマCDだけにひっそりと収録されているだけなんてとっても勿体無いことだ。因みに新山志保さんは既にお亡くなりになっています。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ナイアガラ) ポップ偏差値合計
5
8 8 5 7 8 10 7 5 63


【 ポップ偏差値 62

DAVE EDMUNDS / BORN TO BE WITH YOU '73



1973年のデイブ・エドモンズによるオールディーズヒットのウォール・オブ・サウンド仕様カバー。オリジナルはロリポップのヒットで有名な1957年のChordettes版。メロディはきれいだけど落ち着いた雰囲気で時代柄でしょうが悪く言えば平坦で表現力の乏しい物足りない内容。9年後の66年のSilkie版はアコギの響きの心地よいバージョン。68年のSonny James版はそれを改良した高速カントリー。同じく68年のBrendan Dugan版、69年のKitty Wells版も似たような曲調で、この曲のカントリー風アレンジとの相性の良さを感じさせる好内容です。69年のFrankie Laineもテンポが速く、71年のJ.D. Crowe and The Kentucky Mountain Boysに至っては更に高速なバンジョー版が楽しめる。高速&カントリー風がこの曲のカバーの主流だったことが分かります。その一方で67年のParis Sisters版はサウンドに仄かなエコー感があり、これがデイブ版のヒントになったのかも知れません。

デイブ・エドモンズは 粒立ち鮮やか DAVE EDMUNDS / BABY I LOVE YOU でも音壁を展開しており、彼のウォール・オブ・サウンド愛と造詣は深い。本曲もエコー感のある奥行のある厚めのサウンドが素晴らしく、特に個人的には全編通して鳴り響くカスタネットが好印象。このバージョンはイギリスでもヒットしていて、エレキギターが多く入るなど全体としてロック色の濃い音壁だったのが成功の主因だったのかも。個人的には出来ればピアノを入れてもう少しポップス寄りの聴きやすい内容にして欲しかったかな。

「YOU TUBE」 で聴けます。

Chordettes / Born to be with you

Silkie

Sonny James

Brendan Dugan

Kitty Wells

Frankie Laine

J.D. Crowe and The Kentucky Mountain Boys

Paris Sisters

岡本舞子 / ファンレター '85 山川恵津子作曲編曲

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アイドル・ナイアガラもの。編曲者は音壁ものとしては珍しく女性です。こうした音壁ものはアレンジは素晴らしいけどメロディや歌唱がいまいちだったりとバランスの悪い曲も多いのだけれど、この曲はアレンジ、メロディ、歌唱と三拍子揃った数少ない作品のひとつ。音数も少なく音壁の厚さはそれほどでもないけれどエレピの響きやドラムスのエコー感、コーラスの高揚感などはなかなか。メロディもテンション高めの突き抜け系でなかなかキャッチー。歌唱もフェロモンこそ足りないが満足のいく出来。

「YOU TUBE」で この曲の映像 が楽しめます。大音量でお楽しみ下さい。(実際の長さは4分30秒ほどです。)
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(エレピ&エコー) ポップ偏差値合計
7
8 8 6 6 7 8 7 5 62


小林旭 / 熱き心に '85 作曲大瀧詠一 STRINGS ARRANGE前田憲男

KOBAYASI.jpgOOTAKI 2.jpg

大滝詠一プロデュースによるウォール・オブ・サウンド的な作品でジャンル的には演歌。「大瀧詠一作品集VOL.2(1971-1988)」収録。私は演歌なるジャンルは大嫌いで、若い頃この曲を聴いた時も「おやじ臭い歌だなあ」と思ったものでしたが、今こうしてバリバリのオヤジになってみると抵抗感も薄まり、この曲もじっくりと堪能できるようになりました。

歌詞は北国の風景描写を中心とした内容ですが、日本演歌的な湿り気はさほど無く、オーロラなんて言葉が出てくる所からむしろ異国情緒さえ伺えます。メロディは大仰で綺麗なバラード。「2曲作ったものを1曲に纏めた」というぐらい変化に富む内容ながらどのパートも大滝詠一作曲ということで無理の無い洗練されたライン。演歌という枠組みで捉えて考えてもかなり上質なメロディと言っていいでしょう。

最も特筆すべきはやはりサウンドで、華麗で気品あるストリングスが壮大なバラードによく馴染み、相乗効果でよりゴージャスに感じさせます。当然、詠一Pによる音壁アレンジも控えめながら要所に施され、全体として耳障りが良く心地いい、非常に質の高いサウンドが堪能出来ます。小林旭の小刻みに震えるクセのある粘着質な唱法も味がありますねえ。お若い方には少しとっつき難いかも知れませんが、演歌の一言で片付けてしまうには勿体無い高品質な音壁作品です。少し短いですが 「YOU TUBE」 でスタジオテイクが聴けます。

FICTION FACTORY / (FEELS LIKE) HEAVEN '84 「Throw the Warped Wheel Out」収録

fiction factory Throw the Warped Wheel Out.jpg

イギリスのニューウェイブ系バンドでスペクター/ナイアガラ系音壁サウンドが聴ける歌は?と考えてみると、これがほとんど思い浮かばない。私が思い浮かぶ唯一それっぽいのがこのフィクションファクトリーの84年のヒット曲。イントロのエコーのかかった澄んだエレピの響きがちょっとナイアガラっぽいかなあと思いますがいかがでしょう。そこの部分のメロディラインはかなり甘く情緒的で美味。全体のメロディはチト大味で繊細さに欠け飽きやすい嫌いがありますが、爽やかで透明感もあり、空気の冷たさも心地よい。他にはグロッケンっぽい音が入る程度でサウンド的に音壁っぽい部分は無いけれど、エレピの部分だけでも十分満足いきません?

「YOU TUBE」で この曲のPV が見れます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(エレピの響き) ポップ偏差値合計
6
6 8 6 6 8 9 8 5 62


館林見晴(菊池志穂)/ SPRING DREAM '98 作曲小西真理 編曲岩崎元是 「MY SWEET DAYS」収録

TATEBAYASI MY SWEET.jpg

恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』のキャラクター名義での菊池志穂さんのアルバム収録曲。アレンジは今や世界のウォール・オブ・サウンド・シーンを牽引する第一人者の岩崎元是氏。「こんなアニメ絵柄のジャケならばどうせ下らない音楽なんだろう」と見下したそこの貴方、最高品質の絶品音壁ソングを聞き逃すことになりますゼ。

曲は明るく元気でポップな内容ではなく、湿ったメロディを持つ淡白なバラード。きれいで泣きの入ったメロディラインに、ジャケの絵柄からはイメージがかけ離れた、爽やかでクセの無い女性ヴォーカルが乗る。一聴すると軽く聞き流しがちなそんな曲調に岩崎元是氏による大仰な音壁アレンジが施されている。その結果、繊細ながらも華麗で迫力のある音圧の高ーい現代版ウォール・オブ・サウンドとして仕上がっており、その質の高さは日本国内のみならず世界的にも希有な内容。超爆音で聴いてこそ真価を発揮します。このアニメ絵ジャケにはそんな素晴らしい音楽が隠されているのですヨ。

天野歩美 / 遠い空からI LOVE YOU '93 作曲天野歩美 編曲岩崎元是 「恋を抱きしめたい」収録

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元アイドルデュオ「キララとウララ」のウララさんがシンガーソングライターとして自作された曲を、ウォール・オブ・サウンドの巨匠、岩崎元是氏が編曲した音壁ポップ。93年産のこの曲は氏のアレンジものとしては初期の作品にあたりますが、大滝詠一/ナイアガラ的おかずを散りばめた音壁サウンドは、既にその後の歴史的音壁ポップ名曲群 「・・・」4部作 に迫る勢いを感じさせる名アレンジ。

華やかな大都会の夜景や夜空に輝く無数の星を思わせる音の煌きとその空間的拡がり、ドラムやベースの適度な重量感とピアノの音色の軽やかさなどのコントラストが素晴らしい。天野歩美さんによるサビの大仰なメロディはかなりキーが高いので、歌にも多少の無理を感じますが、Aメロの穏やかながらも快活さを感じさせるきれいな品のあるラインは音壁アレンジとうまくマッチしていますネ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁アレンジ) ポップ偏差値合計
7
7 7 6 7 7 9 7 5 62


【 ポップ偏差値 61

LARRY LUREX (FREDDIE MERCURY) / I CAN HEAR MUSIC '73

Freddie Mercury.jpg

フレディ・マーキュリーがクイーンとしてデビューする直前に出したシングル曲。オリジナルはフィルスペクターPによる66年の RONETTES で、69年には BEACH BOYS もカバーしています。ビーチボーイズ版ではウォール・オブ・サウンド度がグっと増したアレンジになっているけれど、このフレディ版は更に輪をかけて音壁が厚くなっています。

エコー感、重量感、高音域のシャンシャン感などにより構成される音壁は奥行きの深い見事なもの。思わず「フレディ、やり過ぎなのでは?」と声をかけたくなるほどブっ飛んだ内容ですが、これが音壁誕生から僅か10年程度の73年の作品だというのですから驚かされます。当時としては先進的なアレンジだったと思うのですが、QUEEN以前に既にフレディの常人ならぬセンスが遺憾なく発揮されていたのですねえ。恐れ入りました。音壁の表現的には以後40年経過した現在でもこれ以上の物は作られていないので、音壁史的には進化の袋小路に入ってしまっているようです。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁アレンジ) ポップ偏差値合計
7
7 7 6 6 7 9 7 5 61


菊池志穂(館林見晴) / ダイアリーはつぼみのまま '98 作曲松本俊明 編曲岩崎元是 「Dream of you...」



声優の菊池志穂が恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」の登場人物の館林見晴名義で出したアルバム収録曲。アレンジはウォール・オブ・サウンド職人の岩崎元是Pです。元是P制作の「女性声優+音壁」の組み合わせは 「金月真美 / 夏に、まだ少し・・・」 をはじめ当ブログでも数多く取り上げている黄金の定番パターン。菊池志穂さんとの組み合わせも既に 「SPRING DREAM」 を紹介済みですね。本当はもっと最近の違う女性歌手のものを紹介したいんだけど、元是Pが最近全然作ってくれないんですよね。もう2度と作られることの無い、古き良き時代の作品ってなことになってしまうのかと思うと残念でなりません。

曲は悲しげなバラードタイプなのでポップ度は低く個人的嗜好とはかけ離れた作品だけど、音壁を味わうという意味ではこのぐらいのゆったりとしたテンポの曲が最適なのかも知れません。高音域のシャンシャン感から迫力のある重低音までを凝縮し詰め込んだ奥行きの有るサウンドが素晴らし過ぎますね。なんとか新たな「女性声優+音壁」作品を聴いてみたいものです。

「ニコニコ動画」にある 「ときめきメモリアルSong Part32」 という動画の21分40秒のところから聴くことが出来ます。

CITRUS / BLUE MERCEDES (SIMPLY ETERNAL REALITY) '00 「wispy, no mercy」収録



90年代に活躍したフリッパーズギターのフォロワー的バンドの2000年の元気で疾走感のある曲。編集盤「Pits Are The Pits (25 GOLD=RARE=DEBRIS 1992-2000)」にも収録。

曲全体に漂う逼迫感、緊迫感そして青さ加減がパーフリの1STを思わせ好印象。基本、宅録バンドとのことだけど、ゴージャスで厚みのある音造りはそれを全く感じさせませんね。特に幾度となく来襲する雷ドラムの迫力はウォール・オブ・サウンド的と言っていい内容で効果的。ただ、女性リードのファルセットが弱弱しく、何と歌っているのか全く分からないのでイライラさせられ残念。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(雷ドラム) ポップ偏差値合計
7
7 7 8 7 7 8 7 3 61


高岡早紀 / 悲しみよこんにちは '89 作曲編曲加藤和彦 「SABRINA」収録

TAKAOKA KANASIMI.jpgTAKAOKA SABRINA.jpg

元サディスティック・ミカ・バンドで、音壁ファンには「岡崎友紀 / ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」などを手がけた事でも知られる加藤和彦Pによる軽めのウォール・オブ・サウンド。曲は静かで落ち着いたバラードですが、アイドルポップ系バラードとしては、かなり高品質の素晴らしいメロディを持っています。洋楽的ハイカラ・センスを持つ加藤和彦ならではの流石のメロディラインという感じですが、アレンジも同級に見事な出来栄え。

イントロ等で複合的に奏でられるストリングスの音色は優しさ、品の良さ、そしてどこか物悲しさを感じさせ、軽くエコーのかけられたドラムスは曲全体を淡い靄をかけたかのように幻想的なムードを高めます。高岡早紀の柔らかな歌声もそんなソフトフォーカスされたような音世界に合わせ大人っぽい色香をも漂わせていますね。音壁という程に派手なアレンジでは無いけど、ストリングスの持つ優雅な響きとエコーによる音響効果をバランス良く配した、上品にして味わい深い実に玄人好みのサウンドです。あまり知られていない加藤和彦Pの隠れた名曲と言えるでしょう。 「YOU TUBE」 で聴けます。

ERI(菅井えり) / 恋はドーナツショップで '86 作曲木戸やすひろ 編曲新川博 「SKIP!」収録

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菅井えりさんのERI名義の初期作品で音壁ポップ。ジャケのイメージや「ドーナツショップ」というタイトルから60年代のアメリカン・オールディーズ志向が伺えますね。曲はそれ程までには元気で能天気という訳ではなく、爽やかで乾いた空気の下に歌われるメロディは、多少湿り気を感じさせる情緒的なもの。ただしバックの男性コーラスは山下達郎や岩崎元是に通じる80年代的な洗練された明朗なもので瑞々しさを加えることに成功しています。加えて「STOP! IN THE NAME OF LOVE」風の軽快なトラックに大滝詠一ナイアガラ風アレンジを随所に散りばめたサウンドが心地よい作品です。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ナイアガラ風) ポップ偏差値合計
7
6 7 6 8 7 8 7 5 61


工藤夕貴 / カレン '86 作曲鈴木キサブロー 編曲和泉一弥 「STRAWBERRY TOWN」収録

KUDOU YUKI STRAWBERRY TOWN.jpg

フィルスペクター/大滝詠一ナイアガラ系音壁サウンド。「カレン」というタイトルは大滝詠一氏へのリスペクトが感じられますね。サウンド製作にもナイアガラ関連の方々が多く関っているらしいです。唐突に始まり一気にエコーの深いタイトなドラミングを中心とした、心地よーい音壁ワールドへズン、ズン、ズン、ズンと突入。ストリングスも爽やかで高揚感があっていいです。メロディは決して突出した出来ではないが、なかなか乾いてて明るい。このアルバムでは、しっぽりとしたバラードタイプの「DIARYは秘密でいっぱい」、疾走感のあるロック調の「涙のペチコート」も偏差値60クラスの傑作です。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ズンズンきます) ポップ偏差値合計
7
6 7 6 8 6 9 7 5 61


若林加奈 / COOL~アナタガタリナイ~ '85 作曲大森隆志 編曲船山基紀

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作曲は2006年5月に覚醒剤取締法違反等の現行犯で逮捕された元サザンオールスターズの大森隆志か?だとしたら桑田佳祐の陰でなかなかの作曲を披露していると言える。ただそれよりもこの曲の最大の売りはカランカランとウルサイぐらいに鳴り響くエレピや重量感あるベース、エコー深めのドラムスなどのスペクター/ナイアガラ系サウンドだ。純粋なアイドルポップスとしてこれだけ厚く深く作りこんだサウンドは少ないようで現時点でかなり貴重な音壁作品と言える。ヴォーカルも声質、歌唱ともなかなか良い。「おしえてアイドル 日本コロムビア編 地下鉄マドンナ」収録。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(厚い音壁) ポップ偏差値合計
6
6 7 6 7 8 9 7 5 61


【 ポップ偏差値 61

福永恵規 / 風のINVITATION '86 作曲高橋研 編曲佐藤準

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「夕やけニャンニャン」エンディングテーマ。おニャン子クラブのメンバーのソロ曲で作詞は秋元康が担当。個人的におニャン子クラブものは秋元康の打算的な顔が思い浮かんで、いまいち触手が伸びない。お前達の欲しがってるのはコレだろう?ってな氏のうすら笑いが目に浮かぶ。しかし、エレピが爽快に鳴り響くこの曲はよく出来ている。「らめぇっ!エレピが気持ちイイ!くやしい・・・でも感じちゃう!!」ってところですね。

徐々に盛り上げていく出だしは「SUGAR BABY LOVE」風。ロック調のリズムに合いの手ギターの入れ方なんかは王道パターンのそれ。エレピの軽やかな響きと全体に漂うスピード感は佐野元春風。ドラムのエコー感と高揚感のある爽やかなコーラス等などで極上のポップスに仕上がっています。ただ全体として如何にも業界人が「狙った」感が強いのと、ちょっと機械臭が漂うのがマイナス要因かな。因みに「ボク」という一人称で女性が歌うという、いわゆる「ボクもの」ソングでもあります。アルバム『SPLASH!』にはアルバム・バージョンが収録されているそうです。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(エレピの響き) ポップ偏差値合計
8
8 8 8 7 6 7 7 2 61


BERNARD BUTLER / NOT ALONE '98 「PEOPLE MOVE ON」

BERNARD BUTLER  NOT ALONE.jpgBERNARD BUTLER People Move ON.jpg

元SUEDEのギタリスト、バーナード・バトラーのファースト・アルバム「PEOPLE MOVE ON」収録曲。ストリングスを厚めに取り入れたゆったりとした曲で、明るくポップという訳ではありませんが、フィルスペクター/ウォール・オブ・サウンド的感触が心地よいギターポップ。曲としては 「RONETTES / WALKING IN THE RAIN」 辺りをよりゴージャスにした感じか。アコギを含めた格調高いストリングス・サウンドは大仰で、ヴォーカルの感傷的な唱法、メロディと相まって感動の押し売り的側面はあるな。ドラムやベースにエコー感が無いのは残念だけど、ロック色の濃いギターの音色と陽性の声質でイギリス若者の瑞々しいエキスを滴らせ、とっても美味。「YOU TUBE」で 試聴 出来ます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ストリングス) ポップ偏差値合計
6
7 7 5 6 8 9 8 5 61


【 ポップ偏差値 60

Machico / 勇気のつばさ '16 作曲池毅 編曲岩崎元是 「12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~」



TVアニメ「12歳。~ちっちゃなムネのトキメキ~」2ndシーズンのエンディング曲。アレンジは当ブログでは 「金月真美 / 夏に、まだ少し・・・」 「鈴木真仁 / あのね・・・。」 「小西寛子 / きっと きっと・・・」 など多数のアニソン名曲でお馴染みの音壁職人岩崎元是氏。作曲も 「FOUR SEASONS / 北へ。」 「MAHO堂 / おジャ魔女カーニバル!! 」 「國府田マリ子 / 曇りのち晴れ」 など多数のアニソン名曲で当ブログ一押しの池毅氏。元是Pによると製作依頼者は音壁ファンとのことなので、ポップセンスに優れた池毅氏への依頼も狙ってのことだったのでしょう。同じポップ嗜好を持つ者として、この黄金コンビによる作品を世に送り出してくれたことにとても感謝しています。

曲は憂いを帯びたメロディを持つ元是P流のウォール・オブ・サウンドでJポップという雰囲気。12歳の女の子が主人公という設定のロリータ系アニソンという感じが全く無いのが残念。歌手のMachicoさんの歌声も元是Pの「・・・。」三部作や池毅氏の「北へ。」三部作のような萌えは全く感じさせず、更に強く歌い過ぎな印象。個人的には残念な人選ですが、逆により多くの人の耳に馴染み易いかなとは思います。メロディもしっかりした作りで完成度は高いと思うのですが暗めの内容なので、池毅氏の明るく元気なメロディにこそ魅力を感じていた者としては、作曲者が「池毅氏」である意義が薄れてしまったかなと思います。元是Pのアレンジはいつも通りの全力投球で、グロッケンやカスタ、アコギ等の高音域のシャンシャン感、エレピのエコー感、ドラムやベースの重低音などがバランス良く配備され非常に奥行のある聴き応えのある内容。是非フル・ヴォリュームで堪能して下さい。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁アレンジ) ポップ偏差値合計
6
8 7 6 6 6 10 6 5 60


井上陽水 TEENAGER '98 作曲井上陽水/平井夏美 編曲藤井丈司 ストリングス編曲島健 「九段」収録



70年代からフォークシンガーとして活躍してきた井上陽水の98年の音壁曲。個人的に全く聞いてこなかったジャンルなので、フォークシンガーがウォール・オブ・サウンド?って感じでしたが、実際に聴いてみると違和感は無いですね。

テンポの速い曲で、ストリングスをふんだんに使った厚めの音作りが特徴的。迫力あるドラム&ベースの重量感、カスタネットやベルのシャンシャン感、間奏で入るピアノの透明感、そして気品を感じさせながらも曲全体に躍動感を加味させたストリングスの華麗な響きが素晴らしい。これらの過剰なまでの厚めの音壁に切迫感の有るコーラスも加わり、フォークソング的なメロディと歌声も個人的にはあまり気にならないですね。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ストリングス) ポップ偏差値合計
6
7 7 6 6 6 10 7 5 60


松任谷由実 / SUNNY DAY HOLIDAY (SINGLE MIX) '97 作曲松任谷由実 編曲松任谷正隆

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ベテランのシンガーソングライター、ユーミンの97年製音壁曲。アレンジは旦那さんの松任谷正隆氏です。ドラマ「成田離婚」の主題歌。このSINGLE MIXはアルバム「スユアの波」収録のALBUM MIXより若干長いバージョンとなっています。

メロディはオーソドックスなユーミン・バラードで、しっとりと落ち着いた中に仄かな悲しみ、寂しさといったものを感じさせるもの。タイトルの「晴れた休日」というイメージとはちょっと違うイメージですね。突出した出来とまでは言いませんが、彼女らしい完成度の高い、高品質なメロディラインです。そしてこの曲の最大の魅力は荘厳な雰囲気を醸すウォール・オブ・サウンドなアレンジにあります。

ピアノの生音の響きを生かしたイントロに、鐘の音、カスタネット、タンバリン、ストリングスと厚く重ねていきながらも、ユーミンのヴォーカルを損なうことのない品の有るアレンジ。時折ドスンと重低音を響かせたりと一本調子に終わらせない趣向を凝らした仕事が素晴らしいですね。それら音壁効果により全体として幻想的な雰囲気と雄大な自然、長大な時の流れ等を感じさせる内容に仕上がっています。長いキャリアを誇り多作な彼女だけど、こうした音壁曲は極めて珍しいようですね。この曲を聴く限り彼女と旦那さんと音壁との相性はイイと思うのでこれからも演って欲しいものです。

「YOU TUBE」 で聴けます。

竹内まりや / 色・ホワイトブレンド '87 作曲竹内まりや 編曲山下達郎 「REQUEST」収録



山下達郎/竹内まりや夫妻によるウォール・オブ・サウンド。オリジナルは86年のアイドル歌手・中山美穂版なので、本曲は竹内まりやのセルフ・カバー曲という位置づけになります。リズムはモータウンの「SUPREMES / STOP! IN THE NAME OF LOVE」あたりを参考にしたシャッフル・ビート(より近いリズムトラックが有るのかも)。ウォーキング・テンポでなかなかグルーヴィーなリズムですが、更に音壁アレンジになっているので、サウンドが素晴らしいですね。流石、山下達郎という感じです。個人的には出来の悪い中山美穂版の印象から当時はあまり耳にすることが無かったのだけれど、サウンドの光るこの竹内まりや版は濃い目の音楽ファンには是非お勧めしたいですね。また、この竹内まりや版「色・ホワイトブレンド」トラックは96年に音壁の天才・岩崎元是Pにより 「鈴木真仁 / あのね・・・。」 で使用され、より厚く深いウォール・オブ・サウンドに進化を遂げています。この素晴らしいトラックがより多くの音楽家に使用され、更に進化して欲しいものです。

「YOU TUBE」 で聴けます。 「鈴木真仁 / あのね・・・。」 もどうぞ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁アレンジ) ポップ偏差値合計
6
6 7 6 7 7 9 7 5 60


美裕リュウ / ひとりぼっちの僕たち '95 作曲高橋研 編曲梁邦彦 「RYU」収録

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美裕(みひろ)リュウさんのサードシングルで、TVドラマ「カケオチのススメ」の主題歌。ちょっとボーイッシュなルックスの彼女はボヘミアンの葛城ユキを彷彿させるハスキーヴォイスが特徴的でヴォーカルの力量は十二分。(小柳ゆきという歌手のお姉さんらしいです。)

曲は「BE MY BABY」のエッセンスを取り入れたウォール・オブ・サウンド。イントロから聴けるエレピの軽やかな響きが効果的で、随所に入る弦の奏でるフレーズも印象的。カスタネットなどの高音域からドラムなどの低音域まで幅広い音域に気が配られた音壁は聴き応え十分。泣きの入ったメロディもなかなかのもので、日本製音壁の傑作の一つと言えるでしょう。

浜田省吾 / MIDNIGHT FLIGHT -ひとりぼっちのクリスマス・イブ- '85 作曲浜田省吾 編曲星勝 「CLUB SNOWBOUND」収録

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クリスマス・ソングは音壁率が高いけど、浜田省吾の85年のアルバム「CLUB SNOWBOUND」収録のこの泣きのバラードもその一つ。この曲の特徴の一つに彼自身の書いた の独特な世界観があります。「夜空」、「空港」、「高速を都心へ」、「ニューヨーク」といった「たまらなくアーベイン」(笑)な言葉を羅列した世界に浸れるかどうかがこの曲を素直に楽しめるかどうかの分かれ道。ただ、ひたすらゴージャスで大袈裟な浜田省吾ワールドを具現化するのに、大滝詠一直系のウォール・オブ・サウンドは非常に効果的。

低音部のドラム&ベースはかなり重たくエコーも深くかかり、壮大で重厚な雰囲気を醸し出すことに成功。国産もの音壁としては最重量級サウンドと言えるでしょう。ゆったりとしたテンポに乗って、粘っこく情感込めて歌う浜田省吾の歌も、クリスマスっぽく荘厳で空間的拡がりのあるコーラスを伴ってなかなか大掛かり。音壁の大切な要素のエレピやカスタネットも脇を固め、かなり完成度の高いサウンドが展開されています。ただ折角「雨」や「雪」も降ってるんだから、どうせならシャンシャン、シャンシャンと鈴の音も派手に入れて欲しかったところですね。

北原佐和子 / 悲しきカレッジ・ボーイ '84 作曲岸正之 編曲萩田光雄

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編曲の萩田光雄氏はやはり音壁アイドルポップの名曲 「井森美幸 / 99粒の涙」 をアレンジされており、他にもフィリー風アイドルポップ 「桑江知子 / 永遠の朝」 などなど当ブログでも幾つもの名曲を紹介してきた名アレンジャーです。この曲はアイドルグループ、パンジーの一員だった北原佐和子のソロ作品で、ここでも「99粒の涙」調のバラード系ウォール・オブ・サウンドを展開しています。

一番の聴き所はイントロのエレピやベースのコンビネーションによる厚みのある音壁で、サウンドを立体的に奥行き深く表現することの快楽を思う存分魅せつけてくれます。その後の展開にはエコーが少なくちょっと不満が残りますが、カスタネットの軽やかな響きやシャンシャン感などアイドルポップものとしては上位の音壁と言えます。メロディは暗く湿り気のあるバラードものですが、ちょっと悲しげでセンチな感じはなかなか聴かせますね。ただ「99粒の涙」の様に聴くに耐えないという程ではありませんが、歌声に全く魅力が感じられないのが惜しい。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁アレンジ) ポップ偏差値合計
5
6 7 5 7 8 10 7 5 60


キングトーンズ / 奥さまお手をどうぞ! '90 作曲編曲宮田繁男

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古くは68年に 「グッド・ナイト・ベイビー」 の国民的歌謡ヒットを出し、甘茶ソウルファンには78年の山下達郎作曲の「TOUCH ME LIGHTLY」で知られる日本のコーラスグループの大御所ザ・キングトーンズ。この曲はそんな彼等の90年に入ってからのCDS「100万の想い出」のカップリング曲。おそらくアルバム未収録曲なので、これを知ってる人は音壁ファンとしても甘茶ソウルファンとしても相当マニアックな方と言えるでしょう。

曲の内容はウォール・オブ・サウンド仕立ての甘めのファルセット・ダンサーという、その中身自体も大変珍しいもの。まず出だしのドラムを中心とした重低音の迫力とそのエコー感のある響きが素晴らしく、ハープや鐘の音などを煌びやかに散りばめたサウンドは実にゴージャス。いきなりテンションの高いファルセット・リードのサビで始まり、「奥さまお手をどうぞ!」というタイトル通りの華やかな世界が展開されます。カスタネットが一つだけなのは音壁ものとしてそこだけ少し寂しいけれど、全体としてシャンシャン感は十分で、壁はかなり厚く高く満足のいく内容。

全体のメロディもなかなかのもので、途中ベースシンガーとの絡みやドゥーワップ的なコーラスの入る和製ソウル的側面は、その手の作品が好きな人にも喜ばれそう。音壁ファンには癖のあるファルセット(裏声)は少し違和感があるかも知れませんが、私のような両刀使いには(ブログ的にも)一粒で二度美味しい作品ですね。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁ダンサー) ポップ偏差値合計
6
8 7 7 6 7 8 6 5 60


原めぐみ / 離さないで '81 編曲藤田大土

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CONNIE FRANCIS / 離さないでね(DON'T EVER LEAVE ME)のカバー。手元の「CONNIE FRANCIS GREATEST HITS IN JAPANESE」で聴ける原曲の方はモノラルにして聴けばようやくバックの演奏が少し聴こえるといった程度の代物だけど、こちらのカバーではドラムスが転がりまくるフィルスペクターサウンドで聴けるのです。音の厚みはもう一息、ヴォーカルの魅力もコニーのものには及ばないけど、コーラスやストリングスの爽快さ、ノリノリなリズムなどはなかなかでトータルではスペクタードラムもあってこちらの方が上か。
「V.A フェイヴァリッツ! 魅惑の60'sポップスカヴァー 04年(TECN-25960)」収録
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(スペクタードラム) ポップ偏差値合計
7
6 7 8 7 6 8 6 5 60


レインボーシスターズ / 悲しきウェザーガール '84 作曲編曲木森敏之

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重低音ナイアガラサウンド炸裂。基本メロディはPHIL SPECTORの「RONNETS / I WONDER」とあと他にも何か混じってる気がします。全体のエコー感は大滝詠一ナイアガラ系で特にドラム&ベースの重量感が凄い。お約束のカスタネットも響いてます。擬音ファンには嬉しい雨音と雷の擬音入りで使い方も上手です。シスターズとは言ってもヴォーカルは一人のようで、それがチト弱く、女性コーラスはどうやらプロによるもの。「80'Sメモリアル・アイドル ファースト・キッス」収録。

84年4月より始まったテレビ朝日系「ウェザーショー」の毎日変る7人のお天気お姉さん達が、このレインボーシスターズ。予報が外れると翌夜の「トゥナイト」で顔にパイをぶつけられていたとのこと。女子アナの迫文代さんも在籍。

レインボーシスターズに関する記事を見つけましたので、画像追加アップしました。この記事によると、実際に録音したのは、井上摩美、よしだ麻子、栗田真里の3人だそうです。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(音壁の重量感) ポップ偏差値合計
6
6 7 7 7 7 9 6 5 60


虹野沙希 / 涙のエール 作曲編曲岩崎元是 '98 「虹のリトグラフ」収録
NIJINO
ときめきメモリアルのキャラクター「虹野沙希」の歌うアルバム「虹のリトグラフ」収録作。このCDにはやはり岩崎元是作品の「白いTシャツとスニーカー 」というYOU CAN'T HURRY LOVE(恋はあせらず)トラックな明るく元気でテンポの良い曲も収録されている。他にも岩崎元是さんはほとんどの曲で作曲や編曲を手がけている。

その中でも特にナイアガラ風音壁が厚いこの曲は明るくポップという曲調ではありませんがオススメです。どこか聴き覚えがある出だしのナイアガラな展開でイヤがうえにも期待が高まります。深く奥行きのあるちょっと大掛かりなサウンドと軽快なカスタネット。しかしその後に聴こえてくるアニメ声がちょっと強烈、、、。大仰で感動的なメロディライン含めて曲全体のクオリティは高く素晴らしい曲なので、この声優さんの声にうまくはまれれば最高なんだろうとは思われますが。とはいえ私はカーステに入れてガンガンそのナイアガラなサウンドに酔いしれています。大部アニメ声にも慣れてきまして、ちょっとだけ「ときメモ」もプレイしてみてもいいかなと思えるようになってきました。*元ネタ=「ALAN PARSONS PROJECT / DON'T ANSWER ME」


音壁の世界(4)へ続きます。


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