320life

PR

プロフィール

ノマ@320life

ノマ@320life

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

2020.10.09
XML
テーマ: 読書(8214)
カテゴリ: 【読書】未分類

本のタイトル・作者



フィンランド人はなぜ「学校教育」だけで英語が話せるのか [ 米崎 里 ]

本の目次・あらすじ


第1章 町のふつうの人がふつうに英語を話す
第2章 フィンランドもかつては文法重視、訳読重視だった
第3章 驚きの小学校英語教育ー分厚いワークブック
第4章 中学英語もすごい、高校英語はもっとすごいー身近な問題を論じ合う
第5章 先生はこうやって教えているー教師の自律性のある授業
第6章 フィンランド方式がうまくいった理由ー教師は教えるプロ
終章 フィンランドの英語教育から何が学べるのかー日本の未来の英語教育への示唆

引用


フィンランドの教員は「国民のろうそく」と呼ばれており、暗闇に明かりを灯し、人々を導いていく人とされている。教員には明かりを灯す大切な役割があるから、彼らが安全に歩けるための道は国(政府)が提供する。それがフィンランドだ。


感想


2020年読書:175冊目
おすすめ度:★★★


言語と言語学が大好きなので、こういう本がとても楽しい。

アメリカ国防省管轄のForeign Language Instituteによる「英語母語話者から見た諸言語の習得難易度の分類表」が興味深い。
これ、前に言語学の授業でも見たことがある気がする。

カテゴリー1(英語に非常に近い言語)…デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、オランダ語、フランス語
カテゴリー2(英語に類似した言語)…ドイツ語
カテゴリー3(英語と言語的、もしくは文化的に異質な言語)…インドネシア語
カテゴリー4(英語とは言語的、もしくは文化的に非常に異質な言語
)…フィンランド語
カテゴリー5(英語の母語話者には極端に困難な言語)…アラビア語、中国語、日本語(とりわけ困難)、朝鮮語

で、フィンランド語は「北欧」と一括りにされるけど、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンとは言語体系が異なるのですね。
この表を見た時、『宝石商リチャード氏の謎鑑定』でリチャード(英国人)が「アラビア語か日本語を学べと言われた」という記述に何か根拠があるのかと思っていたけど、これか。


いくら同時翻訳が進もうが、AIが言葉を変えてくれようが、そもそも言葉が、文化が違う。
そのことを身体で理解するには、言語というのは本当にとても役に立つ。
日本語よりはマシとはいえ、同じく英語を習得するのが難しいはずのフィンランドでは、地方のガソリンスタンドの年配の人でも英語で観光客と会話できる。その秘訣は何だろう?

 国家予算をかけ、少人数学級で、教員は修士(大学院)の資格を持ち、主に専科指導(教科担任)を受け持つ。分厚い教科書とワークブックを備え、教員は教材作成を行うことは少ない。デジタル教科書も活用される。塾は無いので宿題がたくさん出る。会話重視かと思いきや、文法もみっちり。ただ暗記を求めることはしない。

・教育予算

 1975年 国家予算全体の16.9%

・GDPに対する初等教育から高等教育への政府財政支出の割合
 フィンランド 5.6%
 OECD平均 4.2% 
 日本 2.9%

・教員の給与は高くないが、労働時間が短く、社会的評価が高い

・2020年春学期から小学1年生から英語を導入(それ以前は3年生)

・小学校1クラスの平均人数は20人(日本は27人)
 英語の授業ではさらに2分割される

・2019年から大学入学資格試験がペーパーレスになった

・昨今はCLIL(Content&Language Integrated Learning :内容言語統合型学習)と呼ばれる教授法を用いた授業が急速に広まっている。

・教育実習は半年以上

読んでいると、日本の最近の英語教育事情も分かる。
フィンランドだって、初めから何もかもがパーフェクトな夢の楽園だったわけではない。
国が教育方針を変え、大きく舵を取って、ここまで来た。

PISAでフィンランドがトップに躍り出た時、日本から視察が押し寄せたらしい。
昔読んだ本に書いてあった。
「日本の人はみんな、『素晴らしい!でも日本では出来ない』と言うんです。だったらあなたたちは、何をしにここへ来たのですか」

日本も今、変化のただなかにいる。
私の子供たちは、新しいカリキュラムを受ける。
これからどうなっていくだろう。

フィンランドをはじめ、ヨーロッパの若い人はたいてい英語を話す。
というか、他の国でも若い人は、けっこう英語を話す。
大学を出ている人、に限るとかなりの割合な気がする。
で、己を省みて思う。
私は…うん。喋れる。おそらく、「英語を話せる」とは言える。
それは学校教育の賜物だ。
ただ、流暢には程遠い。
私は日本語のインプット・アウトプット量が多いので、特に英語を話そうとすると余りに語彙が限られて、鎖を付けられて海に沈められたような、舌を縛られているような苦しさがある。
これは私の言葉ではない。
日常を送る言葉と物語る言葉とは違うのだ、と思う。
そこは諦めるしかないのだろう。

子どもたちには、物語ることが出来るレベルまで英語ができるようになって欲しいなあ。
なんて、自分が出来なかったことを、願う。
…大人だって学校を卒業したからって、学びの足を止めてはいけないよね。


にほんブログ村 にほんブログ村へ



ランキングページに日々の呟きを毎日更新しています。
「みたよ」「いいね」の代わりに押してもらえると、喜びます。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2020.10.09 03:19:10
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: