320life on Archive Planet

PR

×

プロフィール

ノマ@320life

ノマ@320life

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

2021.10.20
XML
テーマ: 読書(9992)
本のタイトル・作者


琥珀の夏 [ 辻村 深月 ]

本の目次・あらすじ

私も、あの夏、あそこにいた。

静岡県で見つかった女児の白骨死体。
かつて、そこで活動していた<ミライの学校>。
親元を離れ、神聖な「泉」のそばで子どもたちの力をはぐくむ。
崇高な理念のもと、行われていたことは何だったのか―――。

弁護士・近藤法子は、見つかった女児が孫かを調べてほしいという依頼を受け、<ミライの学校>の事務局を訪れる。

あの夏の思い出。

永遠に続く夏の記憶。

引用

あなたは何も、悪くない。


感想

2021年244冊目
★★★★

カルト集団(というのだろうか、これは?)の中で育てられた子どもたちの物語。
そしてそこに、サマーキャンプの形で1週間参加した「部外者」の子どもたち。

死んだ女児は、誰だったのか。
なぜ、彼女は死んだのか。
その死を、隠されなくてはならなかったのか。

続きが気になって一気に読んでしまった。

チトセ。ノンコ。ミカ。ヒサノ。ユイ。サヤ。アミ。
それぞれが、それぞれに、痛みを抱いたまま、大人になったんだろう。

ちいさな子供を親から離して預けるなんて信じられない、と思っていた法子。
弁護士として働く彼女は、幼い娘を無認可保育園に通わせている。

一次選考は全滅。春からの預け先はない。
彼女が娘を迎えに行き、ひとりで夕食の支度をするシーンが、一番胸がぎゅっとなった。

坂の途中の家 [ 角田光代 ]

を思い出した。

はやくお迎えに行かなくちゃ。

はやくごはんを食べさせなくちゃ。
はやくお風呂にもいれないと。
はやく寝かせないと。
はやく、はやく、はやく。

ごはんの炊飯を忘れた。
娘が牛乳パックを倒す。
フライパンの中のハンバーグが焦げている。

その時の気持ちが、分かる。

叫びだしたい。
こんなはずじゃ、なかったと。
ぼろぼろ涙を零しながら、泣きわめきたい。
どうして私が、こんなめにあわないといけないのか。

子どもを愛している。
愛しているのに、辛い。

よい環境を、よい教育を。
そのために、子どもたちを<ミライの学校>に入れた大人たち。
自分の手を離すことで、彼らは安堵しなかったか。
その責任を逃れたことを。

子どもは、子どものままではない。
きれいなままの思い出は、隠され、覆われている。
琥珀の中に閉じ込めたように、とろりと甘い、はちみつのような色の記憶。

けれどそこから出よう。
遥か彼方まで、と祈りを込めて、願いを込めて。
ふるさとを憎みながら、そこで育った自分から、どうしようもなくそこから逃れられなくても。
逃げて逃げて、振り払って振り払って。

振り返る。

これまでの関連レビュー

かがみの孤城 [ 辻村深月 ]
傲慢と善良 [ 辻村深月 ]




にほんブログ村 にほんブログ村へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023.01.01 17:45:08
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: