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2022.09.08
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テーマ: 読書(8214)

本のタイトル・作者



香君 上 西から来た少女 [ 上橋 菜穂子 ]

本の目次・あらすじ


オアレ稲。
香りで万象を知る「香君」とともに、神郷オアレマヅラからもたらされた奇跡の稲。
それは実り多く、かつてない数の民を養った。
象徴としての香君と、実権を握る皇帝。
ウマール帝国は、オアレ稲の種籾と肥料を管理することで、領土を拡大し、国を支配した。

そして時は下り―――。
国を追われた西カンタル藩王の孫・アイシャ。
かすかな匂いも感じ取ることのできる鋭い嗅覚を持つ少女は、藩王国の視察官・マシュウ=カシュガに命を助けられる。


ではもし、オアレ稲に致命的なことがあれば?
今や帝国の民の命を支えるオアレ稲に、危機が迫っていた。

引用


「不思議ね。――この世は無情で、動けぬ気は、樹皮が剥げれば立ち枯れていく。でも、こうして周りが手を差し伸べてくれて、守られることもある」
オリエは細い声で言った。
「ここに来るたびに、思うの。多くの他者が互いに手を差し伸べあっていることの意味を。弱いものを見放さず、手を差し伸べることが、何を守るのかを」
そして、陽当たりのよい草地に目をやった。
「お日さまの光を独り占めして立つ木は、幸福そうに見えても、周りと繋がりを絶たれて、吹きさらしの中で、ひとり生きていかねばならない。本当は寂しいのかもしれないわね」


感想


2022年231冊目
★★★

きれいな表紙。
上下巻ならべるともっと素敵。
金色のところは箔押し。

余白が多く、漢字にもけっこう振り仮名がふってある。
扱いは児童書になるのだろうか。
先日、図書館の予約カウンターでこの上下巻を年配のご婦人が受け取ってらっしゃり、その顔が「うふふふ」ともう喜色満面だったので、「ああ、いいなあ」と思った。
物語の世界に、年齢は関係ないよね。

上橋さん、ちゃんと読んだことがなく、アニメ「精霊の守り人」をプロダクション I.Gが作っていたので見て、原作1巻だけ読んだのだったかな。
この人すごいな、風俗風土をほんとにあるみたいに書くのだな、と思ったことを覚えている。


これも設定が凝っていて、ファンタジーものには必須の地図と登場人物紹介も冒頭にある。
上巻は「オアレ稲、香君の秘密」がメイン。
そして帝国に迫る危機。
物語が途中、けっこうパッと数年経つので、章の読み初め「おうっ?」となった。
上巻の最後は「何を、何を見たの…!!!!」と一刻もはやく下巻が読みたくなる終わり方。


それにオオヨマという虫がついてしまう。
アイシャたちは、オアレ稲と他の生物の共生の方法、オオヨマを生じさせない道を探るが――という上巻。

匂いに敏感なアイシャの世界は、どんなものなのだろう。
彼女には、「匂いが煩い」のだ。
『鬼滅の刃』の炭治郎もおんなじなのかな。

登場人物がみんな魅力的なのだけど、私は特にマシュウ×オリエ推しです!!!
新カシュガ家の前当主の弟を父と、辺境の地の母を持つマシュウ。
小貴族の娘だったが、「香君の生まれ変わり」として見いだされ、帝国の飾り灯篭として生きることになったオリエ。

香君は、恋をしてはいけない。
誰かを愛せば、殺されてしまう。

なんとかオリエを守ろうと緻密に、冷徹に計画を巡らせるマシュウ。
美しく優しいだけではない、芯の強いオリエ。
山奥で秘密の愛をはぐくむ二人。

ぐはああぁあっ!ああああああ!!!笑
鳩便で、ふたりにしかわからない言葉で手紙のやりとりするの、良すぎるんですけど!!!
子供の頃からマシュウが「好きになられたら困る」と言ってたの、良すぎるんですが!!!

オアレ稲の衰退は、香君への崇拝の力を弱める。
香君は「生まれ変わり」。
弱まれば、いくらでも「替え」を用意されるのだ。

民の飢えを防ぐ。
それと同じだけの切実さで、真摯さで、マシュウはオリエを守ろうと算段している。
幾重にも罠を張って、幾筋も計画を練って。
ああ、愛が重い。そこが良い。

ハッピーエンドで!と思うのだけど、どうなるかハラハラ。
香君制度がある限り、オリエはマシュウとは結ばれないよね…。
マシュウよ、またヒリン(量によって仮死状態を作れる)つかう?




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最終更新日  2022.12.03 23:42:37
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