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2004年05月31日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 イヌザメが落ちた。
 最近落ちた話が続いているけれど、生き物を扱っていると死は仕方がない。でもこのイヌザメの死は事情がチョット違う。

 このイヌザメはこの水族館で生まれたサメだった。しかも6年も生きていた。

 午前中の作業が終わって控え室に戻る途中、午後入るサメの水槽を上から覗いたらイヌザメが腹を上にして沈んでいた。
 担当の方を呼んで引き上げたのだけれど、まだ死んではいなくてかろうじて生きていた。Kさんが潜って抱えた瞬間動いたのでかなり驚いた様子で泡が一気に浮上してきた。生きていたとはいえ瀕死の状態だから噛み付くとか暴れる事はできない。水槽の縁にあげると取りあえず全身をチェックした。皮膚の色がおかしくて、黒いシミのようなものが浮き上がっていた。その場では判断できないから解剖してみるとの事で、研究室の方に運んでいった。

 水族館の役目の一つに生物の繁殖がある。絶滅危惧種などを繁殖させ飼育方法を研究している。多くは他の水族館や水産試験場とタイアップして情報の交換をしているそうだ。

 さて、約6年前にこの水族館で生まれたこのイヌザメは「繁殖賞」を受賞した魚だった。「繁殖賞」とはその水族館で生まれて6ヶ月以上生存した魚や海獣などに贈られる日本動物園水族館協会が与える賞だ。

 この賞にはいくつかのルールがあって、初めての生物でなくてはならない。他の水族館ですでに繁殖賞を受賞したものには贈られない。
 その水族館で誕生していなければならない。だから他の水族館で孵化した生物を譲り受けた場合は該当しない。勿論、海から採取して6ヶ月以上飼育しても対象にならない。

 その他にも幾つかの規定がある。

 この賞は水族館にとっては勲章で、その水族館の飼育能力の高さを示すものだからだ。すでに20以上の繁殖賞を持っている水族館もあるのだそうだ。
 私がお世話になっているこの水族館は3つの繁殖賞を受賞している。今も数種類の魚で繁殖賞を狙っているが、初めての魚でなければいけないという事は飼育ノウハウが確率されていない訳だからどうしてもトライ&エラーになってしまい、今チャレンジしている魚は今年で3年目だそうだ。今年は何とか受賞できるかもしれないとかなり力が入っている。

 ポピュラーな魚はある程度の飼育ノウハウが確率している。しかし、マイナーな魚は生態もしっかり知られていないので難しい。だからこそチャレンジのしがいがあって面白いのだそうだ。

 実際に飼育現場を見たけれど、稚魚は糸くずみたいに小さいので、家庭の水槽でも見る事ができるブクブクと出る酸素の泡でも身体が裂けてしまうほどデリケートなのだそうだ。虫眼鏡で見ないと稚魚が分らなかった。

 いろいろ工夫してダメージを与えないようにしている。水族館の用具は規格品が少ないので、魚に合わせて自作する事が多い。工作室にはいろいろな工具がある。

 繁殖賞とは関係ないけれど、飼育方法の確立している生物の同じ受精卵を譲り受けても、A水族館では飼育できて、B水族館では飼育できない事もあるそうだ。濾過装置や温度管理などを同じにしてもダメらしい。水の違いによって飼育ができない事もあるらしいので飼育は本当に難しいと仰っていた。

 かくしてイヌザメは死んでしまったけれど、水槽内は相変わらず泳ぎ回るハンマーヘッドと寝ているトラフザメやイヌザメ達のいる気だるい午後が始まろうとしていた。





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Last updated  2004年05月31日 20時36分11秒
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