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2010/04/14
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カテゴリ: TA-KUの行状
昨日は、新宿の紀伊国屋ホールで開かれた「立川流一門会」に行ってきました。
1004_談志紀伊国屋1

この会、チケットを取るのがとても難しく。
まずは家元、立川談志の新刊『談志 最後の落語論』を新宿の紀伊国屋本店で買い、紀伊国屋本店で売っている本にしか付いていない抽選ハガキで応募。ハガキ一枚に付きチケット一枚、ということで、紀伊国屋ホールのキャパは400人強ですので、12月に新宿本店で第3位となったこの本、3刷までいっているので例えば15万部として、そのうち1万部を新宿本店と仮定してみると倍率は25倍。何でも、ヤフオクで10万円近くまで行ったとか、というまさにプレミアムチケットです。
※といいながら私のチケットは友人から譲っていただいたものでした。

実際、来ているお客さんも普段の落語会で見る人とは一味も二味も違う、談志さんと共に時代を生きてきた感じの、眼光鋭く矜持を感じる人たちがたくさん、でした。
何しろ昨年後半に体調不良で落語を休む、という宣言をした後の復帰高座なので、会場の緊張感も半端ではありません。


前座は談志さんの弟子、二つ目の談修さんによる「宮戸川」。
堅物だけど将棋が大好きで夜遅く帰ってきて、親から締め出しを食らった半七と、向かいで絵合わせカルタで夢中になって同じく締め出された幼馴染のお花。近くのおじさんの所で泊めてもらう、という半七に無理やり付いていったお花が・・・という淡い想いが匂うお噺。
でも、やはりこの後に控えている面々を目当てに来ているお客さんたちを相手にするのはあまりにも酷だったかも。





でもって、会場に入る際に渡された談志さんのコメントに「俺の分身」と言われた一人、志らくさん登場。
マクラではその後にやるもう一人の「分身」の兄弟子、談春さんをかなりイジリます。

家元から昔二人に、「談春、お前は名人になれ。志らく、お前は廃人になれ、と言われました。ずいぶん違うもんです」と笑いを取った後、数年前に、同じ面子(談志さん・談春さん・志らくさん)でやった親子会での談春さんの「策士、策におぼれる」噺を。
家元の前に二人でそれぞれ噺をする、ということで珍しく志らくさんの公演の楽屋に来た談春さんから、「ふたりで『子別れ』をやろう。おれがまず最初に上・中をやるから、お前は下をやれ」と持ちかけられた志らくさん。
この『子別れ』、下が有名で、とても分かりやすいのですが、談春さんは敢えて上・中をやって通を唸らせよう、という魂胆だったようなのですが、いかんせん会場が1000人入る読売ホールだったので、初めてのお客も多く、結局反応も中途半端に。
一方、下をやった志らくさんは、分かりやすさからドッカンドッカン受けてしまい。

そのあと、家元から「お前ら、最近俺が『子別れ』やってるの知っててやったのか?」と問われると、談春さんは「師匠、でも下をやったのは志らくですから」と責任回避をした、などなど。


で、「談春兄さんは絶対やらない噺をします」と言いつつ、『茶の湯』を。
引退して根津に引っ越した大店のご隠居さん、「風流だねえ」と言いつつ何もやることがなくて手持ち無沙汰だったところ、一緒に連れて来た小僧の定吉の勧めでお茶をやることに。
ところが本当は全くお茶を知らないのに、小僧の手前そうは言えず、泡立たせるために石鹸を入れたり、青い色のために青海苔を入れたり、というとんでもないものを作り、定吉だけにとどまらず長屋の連中やお客にも勧めて・・・という噺。
お茶をかき混ぜる道具の名前がわからず、「これはピーターという」と言ってしまったり、みんながどんどん食べてしまう羊羹の代わりに作ったものを「ジョンソン」と名づけるあたりは志らくさんのその場での思いつきにしても面白い。



「策士策におぼれる、の談春です」と軽く笑いをとりつつ、『包丁』へ。
師匠の談志さんをして、「包丁は俺より談春が上手い」と言わしめたといわれるこの噺を、談志さんと一緒の会でやるという談春さんの一途な想いと嬉し恥ずかしな気持ちが出ていて、普段は見られない談春さんがそこに。
ストーリーは、お金を使い果たして数年ぶりに江戸に戻ってきた寅が、昔の仲間にバッタリ会ったら、すっかりいい身分に。聞けば彼は清元の師匠といい仲になり、いわゆるヒモになっているものの、その年上の奥さんに飽き、若い女と一緒になるために寅に一計を持ちかけるものの・・・という噺。

調子のいい寅の話し方やキップのいい清元の師匠など、まさに談春ワールド全快。噂の噺を聞くことができて、とても幸せでした。


仲入り後、談春さん司会、志らくさん副司会で談志さんを囲んでの座談会。

家元を前に、とても可愛くなってしまう談春さんと志らくさん。ホントに惚れきっているんだなあ、と改めて確認できました。
家元が着物に着替えている間、飛び入りで放送作家の高田文夫も加わり、「昨日は玉置宏さんのお葬儀に行ってきたんだけど、二日連続にならなくって良かったよ」というような高田さんならではのジョークも交えつつ(さすが日芸の落研出身!)、家元の支度ができた、ということでお開きに。


袴姿で登場した談志さん、高座に座ると突然横に倒れてしまう、という談志さんらしいジョークで笑わせ、「今回は医者の間違いだったんですよ。子宮ガンだ、って言われてね」などと軽快に会場を巻き込みつつ、「小咄が好きなんでいくつかやってから、気違い落語でも」と言って小咄を。
昨年の読売ホールでもやはり最初にたくさん小咄をやったなあ、と思いつつ、陽の東西や時代を問わないそのネタ。

「先生、最近自分が蛾になった気がするんですが」
「それだったら精神科医に行ったほうがいいよ。私は歯科医だけど、なんでここに来たの?」
「ええ、夜でここだけ明かりが点いていたもんですから」

など、20くらいの小咄をやって(ロシアンルーレットならぬアフリカンルーレットの話も面白かった!)、その延長上で『首提灯』へ。
酔った勢いで田舎侍をからかった江戸の町人が、その侍の放った一刀で首を切られたのに気がつかず歩いていると、段々首が横にずれたり、くるくる3回転半回ってしまったり。
「やられた~」と言いつつ、運悪く火事にも出会ってしまったその町人が・・・という噺。

終わったあと、下がってくる緞帳を止めさせ、「足が痛くなっちゃったからゴメンね」と言いつつ胡坐をかいて、あまり本意でない出来だったことを言い、謝るという珍しいことが。


その後行われた記者会見の様子を今朝テレビで見たのですが、
「声が舞台でやるには全然出てない:状況設定とか人物設定とかが全然ダメだね」
「今日のようなことをやってたら、『辞めちまえ』と別の談志が俺に言っているようだ」
などとかなり気弱な発言でした。
※登場したあとのバタリとか蛾の小咄とか記者会見をカバーした共同通信の動画サイトはこちら http://bit.ly/9BagrK


確かに、全盛期の談志さんから比べると本調子ではなくご本人が不本意だったのも分かるのですが、それよりも、共に時代を生きてきた、という人たちと、家元に対する全面的な憧れを持った弟子たちに囲まれ、普通の落語会ではなく、何だか歴史の1ページに立ち会ったのかも、という深い感慨を抱きました。


あー、楽しかった!!

1004_談志紀伊国屋21004_談志紀伊国屋3





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Last updated  2010/04/15 02:32:01 AM
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siz@ Re:東洋人と西洋人の心理の違い by 世界まる見え特捜部(08/27) 私は完全日本人なんですが、全部西洋人に…
TA-KU @ Re:市民球団(11/11) ほしさん: はい、ぜひアメリカのカレッ…
ほしけんいち@ 市民球団 いやあいい話を聞きました。市民球団が出…
TA-KU @ Re:あらあら(09/13) ほしさん、コメントありがとうございます…
ほし@ あらあら 行ってしまったですか。 帰ったらまたね。

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