ハンドメイド色々

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2023.09.08
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カテゴリ: 日々の生活
{真理子の執念}
 聡子はその後も昇とはあれ以来の関係でそのままの状態が続いていた
春も過ぎて初夏になりそろそろ花の入れ替えをしなければいけない時期になってい
た。
そんなある日、聡子は庭に出て花をいじっていた。昇はもちろんいつものように会社
へ出かけている。
聡子の庭は通りに面しているので人の通りはよく分かるのであった。そんな中遠く
の方から一人の女が聡子の家を盗み見している姿があった。まだ聡子は気がつい
てない様子で暢気に花の手入れをしていた。
その後買い物へ出かけた時に近所の主婦から思いがけない事を聞かされた。
私が「何か内田さんに用ですか」って聞いたら「いいえ別に・・」と言って去ってい
ったとの事だった。
聡子は不審に思いながら家に帰りカ-テンの隙間から外を伺っていたら、主婦が言
ってたようにしばらくすると一人の女が近づいてきて通りを挟んだ向こう側から聡子の
家を見ている姿があった。
聡子はハッとして思わずカ-テンを閉めてしまった。またそっと覗いてみると女は身
動きもせずにじっとこちらを見ているだけであった。
聡子はその女に見覚えがあるような気がしていた。
(そうだ、あの女に違いない)
それはいつか聡子が康弘と食事をしていた時に近くにいた女に違いなかった。
今は帽子を目深にかぶっているので顔は分からないが、あの特徴のある雰囲気は
あの女に絶対間違いないと思った。
聡子は気味悪くて女が入ってきたらどうしようか、昇に電話した方がいいのだろうか
・・など色々考えていた。
その時玄関のチャイムがなり、聡子は腰が抜けたかと思ったほどびっくりしてしまっ
外を覗いたら女の姿は見えず車だけが通り過ぎていった。聡子は恐る恐るインタ-
ホンに写ってる姿を見てみたらやはりそこには今まで通りの向こうに身を潜めるよう
して我が家を見つめていたあの女が立っていたのである。
前見た時も黒い洋服を着ていたが、今日もこの初夏を迎えて暖かくなってきたとい
うのにやはり黒の洋服を着ていた。
インタ-ホンごしに聡子は
「どちら様ですか」と聞いた。女は
「堺真理子と言います、奥様に昇さんの事でお話があるのですけど・・」
その声はイチオクタ-ブ上がってるような少し高い声で昇の名前を言った。
聡子はほんとは話などしたくもなかったが近所の手前、これ以上夫の名前を呼ばれ
たくなくて仕方なくドアを開けた。
真理子は悪びれる風もなく堂々と玄関へ入り、聡子の目の前に立った。
聡子は内心ドキドキしていたが相手に威圧感を持たせたら最後だと思い自分の方
「主人の事だそうですけど、何ですか」と聞いてみた。
真理子は
「玄関先で話す事でもないので上に上がってもいいですか」
まるっきり平気な顔でヒ-ルの靴を脱ぐとさっさと居間の方へ上がっていった。
聡子が後ろから付いていく形になり聡子は益々不愉快な思いになるのだった。
ソファに座った真理子は長い足を組みタバコを取り出して
「灰皿貸してもらえませんか」と聞いた。
聡子の家では昇は前からタバコは吸わず聡子も吸わないので灰皿は棚の奥にし
まってあった。それを取り出し真理子を横から見てたら図太そうにしている割に真
理子のタバコを持つ手が少し震えてるのを見逃しはしなかった。
聡子はそれで少し落ち着き真理子が言い出すまで何も言わないでおこうとわざと
黙っていた。
しばらくそのままお互いに沈黙した状態が続いていた。
真理子は少しいらついてきたらしくタバコを次から次と吸っていた。やがて真理子
が話しはじめた
「奥さん、ご主人と別れてください」
突然、突拍子もない言葉を真理子は聡子になげかけた
聡子はすぐには言葉が出てこず、たたぼんやりと真理子が吐くタバコの煙を追っ
ていた。
「昇さんと別れてよ」
「別れてくれと言われても・・主人は何て言ってるんですか」
「別れると言ってますよ」
「そんな事嘘です。私は何も聞いてませんから」
「私にはそう言いましたよ」
「とにかく主人と話し合ってみますので今日はもうお帰り下さい」
聡子は真理子と話していると胸がムカムカしてきて今にも吐きそうになるのだった。
今は真理子の顔も見たくなくて一刻も早くこの家から出ていってほしかったのだ
聡子がそう言いながら玄関を開けようと居間を出たところで真理子が突然に襲い
かかってきた
手には果物ナイフが光っており聡子めがけて今にもナイフが飛んできそうな気が
した。
聡子は咄嗟の判断で身体をよじり玄関を慌てて出て行った。
何が何か分からずに聡子は隣の家へ逃げ込んでいった。
隣の主婦が慌てて出てきてとりあえず聡子を部屋へ入れてそれから警察へ連絡
を入れてくれた。
聡子は裸足のままで出てきてガタガタ震えており歯がカチカチ鳴っていた。聡子の
右腕の薄いブラウスが少し破れうっすらと赤く滲んできていた。真理子が襲いかか
ってきた時に腕を少し怪我したようだ。
警察が来て玄関のところでまだナイフを片手に持ちぼんやりと立っていた真理子を
連れていった。
家の周りは警察騒ぎで野次馬が沢山集まり、警官が野次馬の整理をしていた。
警察から連絡がいったのか、昇が慌てた様子で家へ帰ってきたのは隣の主婦に
軽い怪我の手当てをしてもらい、警察に事件の経緯を聞かれているところだった。
「聡子・・・・」
昇は真っ青な顔で聡子の名前を呼んでいた。







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Last updated  2023.09.08 10:30:20


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やすじ2004 @ Re:500円のやすらぎ(02/23) こんにちは!! 今日は日中15度で少しポ…
kazu495 @ Re:卒園・卒業式に・・(02/14) お返事遅くなりました。 ここ数日忙しくPC…
やすじ2004 @ Re:卒園・卒業式に・・(02/14) 今日も一日お疲れ様でした 寒い日が続い…
kazu495 @ Re[1]:防犯に(02/02) やすじ2004さんへ コメントありがとうござ…
やすじ2004 @ Re:防犯に(02/02) 今日もお疲れ様でした 今週は気温の変化…

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