
秋の夜の照明 4
好天気の昨日、
たまにきてくれる植木屋さんが生垣を電動バリカンで刈っていた。
その苦情電話が裏のほうの家からかかってきたのでビックリ。
といっても、こわもて風の恫喝口調だった。
休日なのにどう考えてるのか、ということだった。
植木屋さんには大きな木数本と生垣だけを任せていて、
年間数回むこうの都合で一方的に入ってもらっている。
休日なのに、という言い分は
騒音の程度はたいしたことは無いけれど、
こちらの弱みだった。
謝って終わったのだけれど、
謝らせただけで終わったのはまだましだった。
裏のマンションは幼馴染のお屋敷が売られて出来たので、
見知らぬ人が住んでいてそういう人もいそうなのだけど、
昨日のは昔からのお宅の人だったので驚いた。
世代が変わり、
時代が変わり、
交流も途絶えていた。
結局あとで妻などの情報を総合すると、
昔から知ってるお宅の息子氏のようだった。
思わぬ罵声を浴びたことのある人もいたようだった。
虫の居所が悪かったかもしれない。
家族の介護とかで煮詰まって窮地のときだったかもしれない。
謝りに来い、とか
どうしてくれる?
とかいうような、
その道のやからの手口じゃなかったので、
逆に想像が膨らんだ。
恫喝には、
大概の人は弱いものだ。
僕も弱い。
恫喝がうまい人は、
とりあえず優位に立つ。
弱いけれど、
大嫌いだ。
歯向かえば悪循環して事があらぬほうに展開するから、
そういう面倒な人には
ただ謝るしかないのだけど、
結局はあとでその人物を心の中で総括してしまうし、
いつかどこかでそういう報いは本人を襲うのだ。
残るのは、
ちょっと悲哀のようなものなのだ。
有料老人ホームを運営していた頃、
ゴミ回収車の作業音と匂いがけしからんと
物凄い大声の恫喝で手を焼いたことがある。
ごみ保管倉庫がその男の住む隣接マンションの前にあって、
換気扇の影響があったようだった。
手を焼いたことも事実だけど、
しびれるような日々だった。
入居者が250人いて、
その男の暴言と何するか分からない蛮行ぶりこそ
騒音だったので、
かなり神経磨り減る思いをした。
ああいうのは一種の病気のようなものだけど、
その男は極道風だけど一匹狼だった。
紆余曲折の末で、
最後は高級な割烹店に呼ばれて、
お手打ちのようなことになったのだけど、
自慢話のような身の上話をきかされて、
その高級懐石がぜんぜんおいしくなかったことは、
言うまでも無い。
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それもあとで考えると、
悲哀漂う出来事ではあったのだ。
I think a threat has something sad.