近所のその土地は、
子供の頃は空き地だった。
その近くに住んでいた英国系イラン人、
ーそういうふうに聞いていたー
の中に病気療養中のような人がいて、
パジャマ姿でよくその空き地に佇んでいたことが
当時中3の卒業後の残像だ。
なぜ覚えているかというと、
そこの家族に少年もいて、
外国人が珍しい時代だったから僕は友達になりたかったからだ。
そのパジャマ姿の人は望郷の想いをもって佇んでいると
僕には映っていた。
イギリスがまだイランを支配していた頃の
石油会社の人たちだった。
その空き地は長い間空き地だったけれど、
いつしか大きなお屋敷になった。
有名企業のオーナーだったけれど、
平屋で塀に囲まれた広大な家だった。
塀からは冬には紅梅が咲いてよく似合っていた。
その決して古びているとは見えないお屋敷が
2年ほど前に取り壊されて、
梅の木も移送されていった。
半世紀を経てまた空き地になった。
それが4分割されて販売され、
50数坪づつなのだけど、
僕にお金があれば買いたいと思う場所がすぐに売れた。
そこに今は3階建ての***ホームが建築中だ。
その配置はこうだ。

真っ先に売れて今建設中なのは1だ。
南側だし、
南側の道路の手前は水路になっている。
角地だし、ベストロケーション。
でもね、
こんなところに3階建てを先に建てたら、
2は売れるかな。
なんだかひどい話だなと僕は思っている。
妻はここを買うという夢を見たらしい。
僕は先に建っている家が不意に無くなった夢を見た。
妻には資金があるのだろう(笑)。
というか、
妻には気の毒な人の身になる心が強いから
自ら不利なことを被ろうとしたのかもしれない。
僕の場合、
そんなことしていいのかという気持ちがあったから、
せめて夢の中で白紙に戻ったのだろう。
原発もこうなってほしい。