人生復刻版

Jun 7, 2014
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明け方にトイレに立った時、

その空気感が結びついた記憶が蘇った。

業界の視察旅行で、

初めてアメリカに降りた朝だった。

団体旅行で必ず抜け出す僕は、

サンフランシスコの公園に入った。

早朝のすがすがしい空気だった。

雨上がりだったと思う。

ひと気のない公園のベンチに、

若い女性がひとり本を読んでいた。

初体験で高揚していた僕は、

写真に撮ってもいいですか、と聞いた。

ごく自然な笑みで

いいですと答えてくれた。

デジカメじゃないから見せられないので、

住所をもらった。

ノースカロライナ州から来ていた。

その焼きつけた写真は、

長年家にあった。

北欧的な民族衣装のような素晴らしいもので、

とてもよく似合っていた。

写真は送れなかった。

住所のメモを

帰国までにもう失っていたのだ。

長年の心の傷が、

小さいけれどもくっきりしたままで半世紀近くなっている。

今なら、

愛フォンで撮ってバックアップするのに、

小さな後悔は

いつまで経っても色あせないでいるのだ。

あろうことか、

その写真さえも今は何処にあるのか分からないでいる。

でも、

頭の中には残っている。

あの朝の日の晩、

僕はまたしても単独行動して、

大手コンピュータ会社の駐在員がまわしてくれた車で

UCLA近くのオフィスに向かった。

乗ったことのない大型車で、

座席に埋まりそうになりながら、

嵐の中を少し不安な初心者モードの日本人になった。

アメリカ人の運転手と何を話せたかは忘れているが、

ハリケーンが来ていると彼は言った。

夜遅く、レストランはとてもよかった。

その経験以来、

外国に行くと、

大学のある近辺でレストランを探すようになった。

後年、オックスフォードでも、

それはイメージ通り当たった。

人は皆、

成功体験を生かすことができる。

成功体験を生かすことはできるけれども、

人皆、

得意なことで失敗する、

ということも言えている。

悪業の限りを尽くしているアベコベ氏にも

いつか破たんは来る。

そう期待している。






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Last updated  Jun 7, 2014 07:51:03 AM
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