人生復刻版

Apr 27, 2016
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パンジーが徒長し始めて、

虫も散見されるようになった。

朝、

門の前でパンジーの花殻を取っていたら、

ふと背後にひと気を感じて振り返ってみた。

犬の散歩の人だったので安心した。

犬の散歩の人は多いのだけど、

普通の通行人とちがって立ち止まっていることが多い。

なに?と思って足元に犬がいると安心する。


なぜそんなことぐらいで安心するのか。



安心といえば今朝の場合には、

そいういうことがあってから間もなく、

おはようございます、という声がこちらに向けられたように感じたので、

また振り返ったら、

珍しいことに警官が徒歩で一人で通り過ぎるところだった。

あ、おはようございます。


歩いてるんですかと聞きたかったが、

通過してしまった。



丸腰じゃないとは思うけど、

警官だから自転車かバイクかパトカーにしてね、

とちょっと思った。



警官がコンビニにお弁当買いに入るのは見たことがある。

見ていてなんだか可笑しかった。


おおむね平和な国だから、いいなとも思う。





もう10年は経つと思うけれど、

その朝も同じように花殻をとっていて、

僕は背後に何かひと気を感じた。

その時は、

通行人ではなく、

犬の散歩の人でもなく、

ご近所さんらしくもなく、

なにか変な感じの後姿で少年かもしれなかった。

5~6メートル離れているのだけど、

放心したような後姿でほとんど歩かずに佇んだ感じだった。



家に入っても気になって、

2階から見たら、

まだほとんど同じところに佇んでいたので、

おかしいなと気になってよくよく見てみたら、

だらんと両腕が下がっていて、

片手にキラリと光るものが見える気がした。

茶髪だったし、

ただならぬオーラ?を感じた。



110番して様子を説明した。

パトカーは5分後ぐらいに来たのだけど、

もう姿がなかった。

説明している間に警官どうしであわただしいやりとりがあって、

近くの交番に来て暴れたから捕まえたということだった。



実際には、

それは17歳の茶髪の少女だった。

知らなかったのだけど、

すぐ見える近所のお宅の子で、

家庭内暴力直後の飛び出して来た放心状態だったらしい。

自分で交番に来て、

誰か刺してやると暴れたらしい。



パトカーが迎えに来て、

僕は生まれて初めてパトカーに乗ったのだった。

警官は、

僕が変にその子にかかわらなくてよかった、と言った。

昔はパトロールカーがよく巡回してくれていたのに、

警官増やしてほしいと思う、

と僕が言うと、

警官は言った。

いえ、

増やせば悪い警官も増えるんです、と。



その家族は、

まもなく引っ越してしまった。

あの子はどうしてるかなとよく思い出す。

パンジーの花殻とってると、

あの朝の空気感が蘇るのだ。










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Last updated  Apr 27, 2016 04:19:49 PM
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