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2019.06.27
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カテゴリ: チベット仏教





6 月15日の日記「サカダワ入り前に、ダライラマ法王の夢」 ​の続きです。

もう1月も前の話になってしまうけれど、5 26 日の 明け方に見たダライラマ法王の夢の余韻に包まれたまま、 ゲシェⅮの1 Day コースに参加するために 地元のチベット仏教寺院に向かった。

ゲシェⅮの講義には毎週参加しているのだけれど(今はツォンカパの『LAM RIM CHEN MO菩提道次第広論』を勉強しています)、1日コースに出るのは久しぶりだった。

今回のテーマは「 トンレン― The Giving and Taking practice 」。

トンレン Tonglen とは、チベット語で「与えること」と「受け取ること」を意味する。

いわゆる、ギブ & テイク。

だけど一般にいう、あげて頂いて、お互いに WinWin のフェアな関係ね、というのとはちょっと違う。

誰に何を与えて何を受け取るかといえば、 ( 自分の利益とは関係なく ) 生きとし生けるものに自らの幸福を与えて、代わりに彼らの苦悩を受け取るのだ。

慈愛と慈悲の心を培う、チベット大乗仏教の重要な瞑想法 である。

ゲシェDはまず瞑想について話をされた。

瞑想をしていると、次第に心がリラックスしてくる。

毎日続けてゆくうちに平和で、喜びにあふれ、澄んだ心の状態が現れる。

その心の状態は自分だけでなく、他者にとっても有益な精神状態である。

私たちは瞑想行で慈愛と慈悲の心を培うことができる。

そうして得られた利他的な心こそ、仏陀の教えであり、最も貴重な心の状態であって、何物にも代えがたい内的財産である。

生きとし生けるものは、本質的に、誰もが幸福を求めている。

誰もが苦難や苦悩を避けたいと願っている。

だからこそ慈愛と慈悲の心が自分にとっても、周りの人たちにとっても重要になる のだ。

まずこの事実をしっかりと認識する必要がある。

例えば、理想のパートナーを見つけたとする。

けれど果たして、相手がどれほど幸福の因として頼りになるものなのか?

理想の仕事につけたとしても、それがどれほど永続的な幸福の源となるのだろう?

より多くの友人をもつことが幸福の因になると思っていても、実際は単に人間関係の問題が益々増えただけかもしれない。

それは果たして、真の幸福の因なのか、永続的な幸福の源なのか、それをまずきちんと識別する英知が重要になってくる。

外的な幸福の要因は、内的なそれに比べ、遥かに脆いものだ。

本当は自ら培った慈愛と慈悲の心こそが、人生で最も信頼できる真の友なのだ。

だからこそ日々の生活の中で慈愛と慈悲の心を培う必要がある。

そのための瞑想がトンレンであり、大乗仏教の大切な瞑想行なのだ、と。

私がトンレン― The Giving and Taking Meditation を初めて体験したのは 20 年ほど前だった。

このチベット仏教寺院のブックショップで見つけたガイド瞑想のテープが切っ掛けだった。

それを初めて試したときには、英語の聞き間違えかと思ったものだ。

ニューエイジ系仏教系に関わらず、それまで試した瞑想の大半はリラクゼーション系のものだったから。

たいていは呼吸に意識の焦点を合わせて、イメージする。

息を吐くときには疲れやストレスが黒鉛となって吐き出され、息を吸うときには白い光を吸い込み、その光で全身がゆったりとリラックスしてゆく、と。

ところがこれは、他者の苦しみを黒煙としてイメージして自分の中に取り込んでゆき、吸い込んだら今度は自らの幸福を白光としてイメージし、息を吐き出しながら他者に与えてゆく、というものなのだから。

え、何それ・・・? マジ・・・ですか? 

英語のヒアリング・ミスかしら?

でもやってみたら、涙が止めどなく溢れてきた。

そうして瞑想を終えたときには、驚くほど清々しい気持ちになっていた。

今までの瞑想とは比べようもないほど、パワフルな瞑想ができたのだった。

トンレン瞑想自体は行の中で習慣的に続けているのだけれど、このカセットテープを使っての瞑想はもう何年もしていなかった。

これを書きながら思い出して、本棚や引き出しの中を引っ掻き回してカセットテープを探してみた。

果たしてそれは本棚の下段、棚の中の単行本や文庫本、CDやカセットテープやらが乱雑に押し込まれた奥の奥にあった。

Meditations for Developing Compassion by Pende Hawter

Side1 – Loving-kindness meditation 慈愛と慈悲の瞑想。

Side2 – Opening the heart meditation 心を開く瞑想―トンレン瞑想。

改めて見てみると、「 The Karuna Hospice Service 」とカセットテープに記されている。

ホスピスで催されたガイド瞑想を録音したテープらしい。

やっと見つけたので久しぶりにやってみることにした。ぽっ

まずは1面の Loving-kindness ―慈愛と慈悲の心を育む瞑想> から。

これはトンレンではないのだけれど、やはり慈悲の心を養う瞑想法です。

このカセットテープに入った瞑想のリンクが見つからなかったので、参考になることを願ってせめても概要を説明します。

まずは意識を呼吸に集中することで、心を静かに、平和にしてゆく。

意識を身体に向けて、全身をスキャンしてゆく。

緊張のある部分を感じたら、息とともに吐き出し、ほぐし、リラックスさせてゆく。

頭上に白光、目映く光り輝く光の玉(仏陀でもキリストでも自分にとってスピリチュアルな存在があれば、それ)をイメージする。

それは癒しの光であり、完全な慈愛と慈悲のエネルギーである。

その温かい光が顔、首、背中へと広がってゆき、完全に全身を満たしてくれると想像する。

心配、問題、悲しみ、すべての負の想念や感情も癒され、白光に吸い込まれて、すべての問題が消えてゆく。

そうして力や能力、愛と勇気に満たされ、心は完全にオープンになってゆく、と。

自分にとって愛しい人、大切な人を思い浮かべて、心の真ん中からその白い光を送る。

家族や友人、親戚の人たちも。

彼らが苦悩や問題から解放されて、幸福とその因に恵まれるようにと願いながら。

次いで、自分と対立する相手や嫌いな人、いわゆる敵を思い浮かべる。

そうして大切な人同様に、彼らにも光を送る。

私たちが嫌いな人たちも、私たち自身や友人同様に、幸福を求め、苦難を避けたいと願っているから。

彼らもやはり愛情や思いやりを必要としているから。

周りにいる病気の人たちを思い浮かべる。

癌やエイズや肉体的に病気の人、鬱病や神経症や心を病んでいる人たち。

日本中の、世界中の病院にいる患者さんたちを思い浮かべて、彼らの全てに光を送る。

彼らが病気や苦痛や問題から解放され、癒され、幸福とその因に恵まれるようにと強く願いながら。

世界中で貧困や飢餓に苦しんでいる人たちを思い浮かべて、光を送る。

彼らが食事や物質的豊かさに恵まれて、苦しみから解放されるようにと強く、強く願いながら。

世界中の孤独な人たちを思い浮かべる。

現代社会では多くの人たちが慢性的な孤独感や憂鬱感に苛まれている。

一人暮らしの老人たち、寂しさ頼りなさに圧倒されている人たちを思い、彼らの孤独や痛みを自分のそれのように感じ想像してみる。

そうして彼らが苦痛から解放されるよう強く、心から願いながら光を送る。

世界中で紛争や戦争に巻き込まれている人たち、基本的人権が日常的に侵されているような国に住む人たちを思い浮かべる。

彼らが日々の暮らしの中で感じている恐怖や不安を想像してみる。

彼らの苦悩を思いながら、光を送る。

今度は独裁者や支配者の方にも、同様に光を送る。

彼らも私たち同様に慈愛と慈悲の光を必要としているから。

刑務所の囚人たちを思い浮かべる。

してはいけないことの理解が足りず、塀の中に閉じ込められている人たちもやはり光のエネルギーを必要としているから、彼らにも光を送る。

最後に、自分自身に。

自らの心から光が出て、ブーメランのように戻ってくる、とイメージする。

自分自身を心から愛して、自身の弱さや欠点も受け入れる。

自分の欠点や弱点を受け入れられずに、他者のそれを受け入れることなどできないから。

他の人たちも自分同様に苦しみたくないと、幸せになりたいと願っていることを心から理解する。

そうして他者に心を開くのだと、強く決意をして、瞑想を終える。

この瞑想を初めてしたとき―

嫌いな人に光をってところで、早くも心が抵抗してしまったものだった。

え~、せっかく心が良い感じになってるのに…

何もわざわざ嫌な奴のことを思い浮かべたくはないかも…、とか。

だけどそれぞれの人たちの思いを想像しながら続けるうちに、世界中の孤独な人たち・・・の辺りで、ほろりとしてきた。

最後の刑務所の・・・を思い浮かべるころには、もはや号泣していた。号泣

もちろん私が光を送ったからといって、病に苦しむ人たちが幸せになるわけでは全然ない。

お腹を空かせた人たちのお腹が満たされるわけでも、全くない。

だけど瞑想を終えたとき、確実に自分の心は軽くなっていた。 温かく、優しい気持ちになっていたのだった。

この瞑想を続けるうちに少しずつ、ほんと~に微々たるものではあっても、必ず変化は起きてくる。

そうしてその変化は、自分だけでなく、周囲にも広がってゆく。


難民を助けることはできなくても、家族にもっと優しくできるようになるかもしれない。

スーパーで重そうなカートを一人でよろよろと押しているご年配の方がいたら、一緒に押してあげたくなるかもしれない。

ホームレスの人が路上に帽子を置いていたら ( メルボルンのシティでは残念ながら良く見かける ) 、挨拶をして硬貨を入れたくなるとか…。

難民の方にだって、直接助けることはできなくても、サポートのボランティア団体に寄付をしたくなるとか。

自分のできる範囲でやってみて、それで喜んでもらえたりしたら、それこそ自分の心もますます嬉しくなるだろう。

そんな温かい変化は、小さく儚い細波ではあっても、少しずつ広がってゆく。ぽっ

続きは、 6 月29日の日記「ゲシェDの1 Day コースとトンレン瞑想 ( 後編 ) ​でお読みください。

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Last updated  2019.07.05 09:07:08
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