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注意したいのは、仕事ができない人を
「発達では?」「アスペっぽい」「ADHDなのかな」
などと言われていた、という回答も少なくなかった点だ。
このように評することは、
発達障害が悪口として使われているため差別的となる。
米国精神医学会(APA)は、精神科医が本人を直接診察しておらず、
また本人の同意なしに、公人や有名人の精神状態や診断名について
専門家として公に意見を述べることを禁じる
「ゴールドウォーター・ルール(Goldwater Rule)」
という倫理規定を設けている。
精神科医でもない会社員が中途半端な知識から
同僚に何らかの診断の疑いをかけ公言することは
倫理的な問題を内包する。
これは、いわゆるグレーゾーンに関しても同じだ。
診断名を出すことで問題の所在が曖昧になる危険性もある。
「仕事ができない」という漠然とした課題に
診断名を出したところで解決の糸口は見えてこない。
指示が入りにくいのであれば、指示の出し方を工夫するなど
の具体的な対策をすればよいにもかかわらず、
「病気かも」「発達かも」と思考停止してしまうためだ。
また、「『障害者なのにすごいね』と言われた」
「子どものように扱われた」という回答もあった。
これは障害者が劣っていることを前提にしており、
人として対等に見ていないことの裏返しとして
当事者を傷つける言動と認識したい。
当事者は、
就職活動においてもスティグマ(差別・偏見)に直面していた。
診断や障害者手帳の所持を開示したことが理由で
不採用になったと感じた経験を有する当事者は、
いずれも、3分の1強存在していた(図2)。
中には、
「内定後に障害者手帳の所持を聞かれ答えたら、
内定を取り消された」
「健常者に課されない試験を受けさせられた」
「一般枠の求人に障害者が応募することは企業に対して
失礼であり人として非常識で裏切り行為であると叱責された」
など、
障害者雇用促進法で差別として禁止されていることが生じていた。
このような職場におけるスティグマ(差別・偏見)、
アンコンシャスバイアスの存在により、
当事者は職場での開示に消極的であることも示された。
就労中に発達障害や精神疾患の診断を受けても
「職場の誰にも伝えていない」が37.6%で、
「信頼できる先輩や同僚、カウンセラーや産業医など
には伝えたが、上司には伝えていない」も8.7%存在し、
合わせると約半数が上司に伝えていないことが示された(図3)。
また、その理由としては、
「差別・偏見が怖い」「サポートが期待できない」
「キャリアへの影響が心配」など、スティグマや
周囲の無理解を理由とするものが多く(図4のオレンジ)、
「共有したくないプライベートなこと」
「伝える必要はないと判断」
など自身の考えから伝えていない
との回答は相対的に少なかった(図4の青)。
当事者は「社内でどう思われるか」をより心配しており、
社内で孤立しやすい立場にあることが示されたともいえる。
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