扉のない休憩室

扉のない休憩室

April 18, 2008
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企画もの

詳しくは ここ から









薄暗くなった部屋の中に一人の少女がじっとしている。
その目線の先にはよくわからない器具の数々が置いてあり、その中心には淡く光る水晶が置かれている。
少女は瞬きもせずにその変化をじっと見つめている。
水晶は時に強く光り特に弱く光り安定しない。

「…だめね」

ふぅっと、溜息を吐いて力を抜く。その瞬間水晶から光が消えた。


扉をノックする音がする。おそらくミーアだ。

「何か用?」

扉を開けて招き入れる。やはりミーアだった。

「リースのところの猫が逃げ出したんだって。見てない?」

「見てないわ。ついさっきまで実験してたから部屋から出てないのよ」

「そっか。実験って、またあれ?」

「それ以外の実験なんて興味もないわ。ところでリースのところの猫って黒猫よね」

エリアが突然確認を求める。

「え~と、確かそうだったはずだよ」

「ちょっと太り気味」

「うんうん」



別に何事もなかったかのようにエリアは淡々と話す。

「お昼ごはんまだよね? 食べに行きましょ」







「ねぇ、大丈夫なの?」

休みの日とはいえ学食は混んでいる。そんな中スムーズに座れた二人は運がいいといえるだろう。

「何が?」



ミーアは本当に心配そうにしている。

「大丈夫よ。毒物でもないし多量の魔力が詰まってるわけでもない。ただの石ころなんだもの」

どうでもよさげにエリアはいう。あれはあれで相当どころかとんでもなく高価なものなのだがエリアはあまり気にしていないようだ。
エリアが気にしていないのに自分が気にするのもおかしい。ミーアも気にするのをやめた。

「ところで最近ダイエットでもしてるの? 全然食べてないじゃない」

「あなたみたいに胸に栄養がいかないから少なくしてるのよ。リゼみたいにお尻に栄養が行っても困るし」

「だ・れ・が・尻でかなのよ」

いつの間にかリゼがエリアの後ろに立っている。

「あら、そのいやらしいお尻で男子生徒を誘惑してるんじゃないの?」

「そんなわけないでしょ。ところでリースの猫は見つかったの?」

「ううん、まだ見つかってないみたい。リゼも探してるの?」

「私は忙しいから仕事の片手間でやってるのよ」

何やらあたりがざわめき始める。一人生徒がこちらへ走ってくる。

「リゼ先生! 大変なんです! 早く来てください!」

どうやら何か起きたらしい。生徒の状況からあまりゆっくりもしていられない。
三人は昼食を一時中断して生徒について行く。
生徒は中庭へと三人を連れてきた。そこには既に大勢の生徒でごった返していた。

「な、なに、あれ」

驚きのようなあきれたような声が思わず出てしまう。

「なんだ、教師のくせにそんなことも知らないのか? あれは猫だ」

クスクスと笑いながらエリアがいう。

「うわ~、おっきい猫だね~」

ミーアが見上げながら驚きの声を上げる。

「大きすぎるわよ!」

思わず叫んでしまう。
それもそのはず。少なくともよく見かける動物よりはよっぽど大きな猫がそこにどっしりと座っているのだ。

「これ、リースの猫だよね?」

「そうね。たぶん水晶にかすかだけど魔力が残っていてそれが原因でこんな姿になったんでしょ。別に害はないからほおっておきましょ」

そう言い残して立ち去ろうとするエリアをリゼが捕まえる。

「要するにまたあなたの実験のせいってわけね」

ちょっと怒り気味でリゼが言う。

「違うわ。みんなミーアの胸のせいよ。あのデカパイが男どもを狂わせてるせい…」

「私全く関係ないじゃん!」

突然振られたミーアは驚きながらもしっかりと突っ込みを入れている。
そんなことをしていると猫がこちらを向く。でかい二つの眼がじっとこちらを見つめている。

「ま、いいわ。ふがいない先生の変わりに優秀でいい子な私が解決してあげる」

一歩、前に進みでるエリア。
何事かつぶやき、すぐにこちらへと振り返る。

「終ったわ」

そういうとその場をさっさと去ろうとする。

「え? もう終わったの?」

ミーアがあまりのあっけなさにエリアに聞く。

「水晶が出なきゃ小さくならないわ。だから水晶が出るようにしたのよ」

「水晶が…出るように?」

ミーアがそういうと同時に猫がそっぽを向く。そして、おもむろに座る。

「お腹の中のものを出させるにはこれしかないじゃない。さ、私にそんな趣味はないからもう行くわね」

エリアが去った後の中庭では、また別の悲鳴がこだましたという。





窓から夜風が吹きこむ。
机の上には出てきた水晶が一個、転がっている。
こんなに小さな水晶でもとんでもない値段がつく。それほど、水晶とは高価で希少価値の高いものなのだ。
普通ならエリアのような学生身分で手にいれれるものではない。
水晶を拾い上げ箱に入れる。その箱を大事そうに机の中へしまう。
思わずため息を吐く。いくら油断していたとはいえ猫に飲み込まれるなんて失敗をした。
もし、あのままなくしてしまっても別に悔しくはない。欲しくて手に入れたものなんかじゃない。
押しつけられた。簡単にいえばそうなのかもしれない。
せっかくもらったものだ。有効活用したい。ただ、それだけしかない。
形見にするつもりもない。あんな人間が自分の親だと考えるだけでもぞっとする。
外を見る。明るい。この学園はまるで隔離された世界のようだ。そう思うのはおそらく自分だけだろう。


「…寝よう」

眠くなってきた。もう寝よう。明日になればまた馬鹿みたいな日常が戻ってくるはずだ。
早く寝て、こんな考えは早く捨ててしまいたい。エリアは心の底からそう思いながら目を閉じた。








シリアスもどろぐちゃもないただただ馬鹿なだけなお話。
たまにはこういうのも書いてみたいわけですよ。いいからはよ他のをかけですかそうですか





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最終更新日  April 18, 2008 10:51:39 PM
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