あめりの小部屋

April 15, 2006
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まだ気持ちの整理は全くついていないけど、振り返る意味でもここに残しておこうかと思います。

皆さんはstillbornという言葉を知っていますか?
日本語に訳すと「誕生死」という意味です。

詳しく書くことはしませんが、助産師になって初めて「誕生死」に、つい最近直面しました。
助産師になって、お産がすばらしいものであることは身をもって分かっていました。それと同時に2つの命を預かる怖さ、お産は母児にとって命がけであることを分かっていたつもりでした。
でもいざこのような場面に直面した時。
「どうしてこの子が?」という思いでいっぱいでした。
普通に元気に生まれるはずの命だったのに。
ついさっきまで元気にパクパクと脈打っていたあの子の心臓がもう再び動き出すことはありませんでした。


「なんで?どうして?」と自問自答しながら蘇生の介助につき、祈りながらバギングをしました。
最期はお母さんの胸の中で抱かれながら赤ちゃんは天国へと旅立ちました。



お産は本当に命がけです。
命がけであるからこそ「無事に生まれてよかったね、おめでとう」なのです。
すべてのお産が無事におわるのにこしたこそはありませんし、それは私達産婦人科で働くスタッフ一同の願いでもあります。
でもやはり今回のように悲しいお産となる場合もあります。
このことはけして忘れてはいけないことだし、もちろん忘れることはできないでしょう。
幸せに生まれてくることが当たり前のように思いますが、それを当たり前と思ってはならないし、常に2つの命を預かるという責任と使命感を持っていき続けなければならないのだと。



ひとつの詩を紹介します。

STILLBORN

私は希望に満ちて、あなたを宿していた
その、長い九ヶ月の間
私は思い出す
あなたを宿したあの親密な時を
時々蹴ったり、動いたりしているのを感じた
あなたが私の中でゆっくりと成長するにつれ
あなたはどんな子かしらと
あなたの濡れた頭が、のぞいたとき
女の子?男の子?
なんという喜びの瞬間よ
私はあなたの産声を聞くはずだった
そして、あなたにこんにちはと言うはずだった
あなたのために、みんな揃えて
あとはあなたを迎えるばかり…
手足ににじむ汗
私の小さな呼び声が夏の空に混じり
あなたは産まれた
あなたは産声をあげなかった
私達はこんなことになるなんて、思ってもみなかった
あなたの誕生は意味がなかったの?
それともあなたが私を見捨ててしまったの?
人々はあなたを生きていなかったと言うでしょう
あなたを死産と記録するでしょう
けれどもあなたはあの時からずっと生きていました
私の暗いお腹の中で
そして今、私があなたを思う時
あなたの死は本当だったのですね
でも、私にとってあなたはやはり産まれて来たのです
私はあなたを永遠にわすれないでしょう
私の赤ちゃん
あなたはいつでも、私と一緒
今も、ずっと私のもの
生も死も、同じように意味があるのです


Leonard Clark







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Last updated  April 15, 2006 07:23:14 AM
コメント(8) | コメントを書く


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Re:stillborn(04/15)  
こんばんは、医学が進んでも、悲しい結果に終わるお産もあるのですね。
無事産まれてこれたことを感謝したい気持ちでいっぱいになりました。


(April 15, 2006 09:47:10 PM)

そうですね。  
>幸せに生まれてくることが当たり前のように思いますが、それを当たり前と思ってはならない…

本当にそう思います。
こういう経験ってできればしたくないですが、こういう経験のおかげで、お産の怖さと無事生まれてくることの幸せを今まで以上に感じることができますよね。その意味でも、なくなってしまったけど、生まれてきた赤ちゃんに感謝です。


(April 15, 2006 10:32:13 PM)

Re:  
あめり11  さん
>ウサコレさん
本当に・・・無事に生まれてくることだけで本当に私達はよかったね、おめでとうって心から思います。
生まれてきた瞬間のあの安堵感。
そしてお母さんやお父さんの笑顔、涙。
それと同時に産声をあげる赤ちゃんに。
このすべてにおめでとう・ありがとうって伝えているつもりです。

>アヒルさん
コメントありがとうございました。
アヒルさんが経験されたケースと実に状況がよく似ていてトラバしてくださったあの日記何度も何度も読みました。本当にどうして、なんで・・・そんな思いでいっぱいです。
もっとしてあげられることがあったんじゃないか。
帝王切開にしていれば助かったんじゃないか。
もっと先生にプッシュすることはできなかったのか。
後悔は尽きません。

でも本当にこのお産を通して、命の重み・ありがたみを再確認しました。
日々、命の重さを軽視していたわけではけしてないですが、幸せに生まれることに慣れすぎていたようにも思いました。
やはり今回のように悲しいお産になるケースもあるのだと、分娩の怖さをまじまじと痛感します。
悲しみは大きく、この先も、けして忘れることはないでしょう。でもこれはあの子が私達助産師に伝えてくれた一つのメッセージであると思います。
その命の重みをこれからも胸に仕事をしていきたいですね。


(April 16, 2006 09:21:42 PM)

Re:stillborn(04/15)  
楓望ママ  さん
すごく心を揺さぶられました。助産師という仕事についても改めて考えさせられました。
 よく助産師さんがお産を知りすぎて、自分では妊娠が怖いという話を聞きます。
 私も今の子を妊娠した時、嬉しかったのと同時に、流産したらどうしよう、死産になったらどうしようという不安の気持ちも持っていました。
 最近、子育てしながらその気持ちを忘れてました。
 生まれてくれて、無事に育ってくれて、当たり前のことが奇跡で、こんなにも幸せだってこと。
 あめりさんが再び気づかせてくれた気持ち、もっと大事にしていこうと思います。 (April 19, 2006 01:06:49 PM)

こんばんは。  
りらまや  さん
『誕生死』,悲しいですよね。
私も大学病院に勤務していた頃,年間で数例は経験しました。ほんとうに辛くて,自分の無力さを思い知りました。

あめりさん,悲しいかもしれないけれどママを支えてあげてください。
亡くなってしまった子のことを知っている数少ない者として,ママとパパの側にいてあげてください。
残念ですが助産師として,当たり前のことができていないことが多いです。

ママを支えることに重きをおくと,自分が疲れてしまうので必ず息抜きをしてください。
説教くさくなってごめんなさい。

(April 19, 2006 09:22:08 PM)

Re:stillborn(04/15)  
あめり11  さん
>楓望ママさん
私も助産師になる前はお産は幸せなもの、悲しい結果に終わるお産があるなんて考えもしませんでした。
でも改めてこの職業について、死産に至らずとも搬送になったり、心音が落ちたり、出血が多かったりと怖い思いを沢山しました。
お産というのは本当に命がけだということ。だからこそ生命誕生の瞬間は感動するのだと思います。
助産師になってこういう悲しい経験もありますがでもそれ以上に嬉しいこと・感動はたくさんあります。
だからこそこの当たり前のように思える奇跡を軽んじてはならないと思うんです。
本当に生と死は紙一重だということ、痛感しました。
楓望ちゃんが生まれてきてくれた奇跡。
本当にすばらしいことだと思います。


>りらまやさん
コメントありがとございます。
本当に悲しくて悔しくてやりきれなくて。
でもママとパパ達の方がもっともっと辛かったと思います。
私に何ができたかはわからないです。
本当に・・・
一緒に泣くことしかできなかった・・・
なんて声をかけていいのか、本当に分からなかった。
これから先もこういう悲しいお産に出会う可能性はあると思います。
りらまやさんの言うとおり、ママやパパ達を支えてあげられるようなかかわり、本当に大事ですよね。
説教くさいなんてとんでもありません。
本当にありがとうございました。
(April 20, 2006 11:52:14 AM)

誕生死  
MW moeko  さん
これは永遠のテーマですね。私もいろいろ考える点多々あります。しかし、いろんな考えがあると思いますが、私とある小児科の先生の中では、後悔が少しでも残らないようにと抱っこしてもらって最期を迎える、一緒に沐浴をする、写真としてのこしてあげる(抱っこして、ご両親で)ということをよくご両親に話しています。難しいですよね。誕生死の本読まれましたか?私はまだ一部しか読んでいませんが、良い本だと思います。 (April 21, 2006 11:27:03 AM)

ひさしぶり!  
なお さん
こんにちは。
遅くなっちゃったけどメイルありがとう!
ミクシーで探してみたけど検索にヒットしませんでした@
むーん。
わたしは「助産師になりたい」って250人くらいのコミュにいるので、そこからだと探しやすいかな?
あめりはどこにいるんだー。

ところで日記の内容にもちょっとふれます。
うちには小児循環器があって、
先天性心疾患の子がたくさん来ます。
生まれてすぐチアノーゼが出てしまって、急いで運ばれてきたりするの。
これでもか!ってくらい病気はたくさんあって、
オペしても助けられなかった子もいっぱいいる。
毎日そんな重症な子どもばかり見ていると、
普通に健康に生まれてくることがどんなに幸せなことなのかって思い知らされるよ。
いつもあめりの日記を読んで、幸せなお産はいいなって思う。
わたしも助産師になりたいよー。
そしてもうひとつブログを作ったよん。
<small> <a href=" http://crystalshower.jugem.jp/" ; target="_blank"> http://crystalshower.jugem.jp/< ;/a></small> (May 5, 2006 03:19:29 PM)

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