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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「実は・・・今まで内緒にしてきたんだが、父さんは母さんに 出会う前に心から愛する人に巡り合った。その人はとても 美しく誇り高い人だった。でも、父さんはその人にフラれて しまってね。嘆き悲しみ、落ち込んでいる時に偶然その人に 顔がそっくりな母さんに出会ったんだ。奇跡かと思ったよ。 俺は結婚して幸せになろうと思った。でも、結婚して、 麻里緒が生まれると、心が揺らいだ。遺伝子のせいかな。 麻里緒は俺の愛した人と生き写しの顔だった。昔、アルバムを 見せてもらった事があるんだが、子供の頃の写真によく 似ている。きっと二十歳に成長したら、当時のあの人と同じ 顔になるだろう。俺には分かる。俺は愛する人に捨てられて、 愛するべきものの分身をこの世に生む為に結婚したんだ。 男の子と女の子を授かって、女の麻美は俺に似て、男の 麻里緒は誰よりも美しい。きっと、これは運命だと思う。 麻里緒は神様が俺にくれたプレゼントなんだ。あの人の 代わりに俺は生涯愛する事のできる血の繋がった息子を 手に入れた。それなのに、倫理的に批難されて、長い間、 手放していた。なんて俺は意気地なしなんだ。ごめんな。 麻里緒。もう、決して、この手を放さないから、俺と二人で やり直そう。」 父さんは僕を見ていなかった。僕をじっと見つめていながら、 僕に違う人の面影を重ねて、僕に愛を囁いていたのだった。 父さんだけは僕を愛してくれていると信じて疑わなかったけど、 父さんの心は違っていた。父さんの心の中には違う人が 住んでいた。愛を蝕む寄生虫のように黒い影は増殖し、 愛という名の闇に父さんは喰われていたのだった。 「愛してる。麻里緒。」 父さんはゆっくりと顔を近づけて、僕の唇に接吻した。僕は 逃げなかった。うっすらと口を開け、父さんの舌を受け入れた。 ねっとりと舌を吸われ、蕩けるように絡められ、蠢く舌に僕は 犯された。蕩けるような熱い舌に吐息までもが吸い込まれて いく。身体が蕩けるほどに僕の意思は奪われ、僕の想いが 吸い取られていくような気がして、僕は泣いてしまった。 涙を流しながら、僕は父さんの舌を噛んだ。甘い血の味がした と同時に僕の口内から舌が抜き取られ、 「痛っ。何するんだ。痛いじゃないか。」 という父さんの声を聴いた。僕の瞳は涙でぼやけて、何も 見えなかった。父さんが口を押さえて、怒っているような 気がしたけど、僕には何も見えなかった。 「父さんは無責任過ぎる。僕は父さんの恋人になりたくない。 離婚はしないほうがいいよ。」 責任感の強い相手に珍しく大人びた口調で僕は言った。 父さんは何か言おうとしたみたいだけど、声にならなくて、 呆然とした顔をしていた。 「ごめんなさい。噛んで・・・痛かった?」 僕が父さんの唇に手を伸ばすと、無言でパシッと手を はらわれた。父さんは怒っているようだった。 「何でだよ。何でなんだ。」 父さんが呟くように言った。僕は誰かの代わりなんて真っ平だ とは言えなかった。きっと言ったとしても分かってもらえない ような気がした。僕は 「ごめんなさい。」 と、もう一度謝ると、無言で車を降りた。 「待て!」 と叫ぶ父さんの声は聞こえないふりをした。そして、僕は 一人で、あてもなく歩き出した。 (続く)
2013年01月28日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 病院で僕は3針縫った。全治1週間の軽傷だった。本当に 母さんの言う通りたいした傷ではなかったのだ。お医者さんは 手首の血管は少し切っただけで大量に血が出るから、 動揺するのも分かるけど、別にそんなに心配は要らない。 1週間後に抜糸したらそれで治療は終わり。数ヶ月後には 傷跡は消えるって父さんに説明していた。また、どうして リストカットしたのかとお医者さんに僕は聞かれた。でも、 僕はリストカットという言葉を知らなくて返事ができなかった。 何故、自殺したのかと聞かれなかったのだろうと思いながら 僕は病院を後にした。そして、車に乗った時、父さんは突然 泣き崩れるように僕の手を取り、こう言った。 「麻里緒・・・お願いだ。もうやめてくれ。傷一つない美しい 身体に傷をつけるなんて。一生傷跡が残ったらどうするんだ。 リストカットなんて、もうしないと約束してくれ。」 涙を流す父さんに僕は 「リストカットって何?僕は今の自分が嫌で、自分をやめた かっただけだよ。死んだら生まれ変われるような気がして・・・ 手首を切ったんだ。」 と言った。すると、父さんはまるで信じられない物でも 見るような凄く恐い顔をして僕を凝視した後、こう言った。 「父さんが悪かった。母さんとは離婚する。これからは 二人で暮らそう。」 でも、僕は父さんの唐突な決断についていけなかった。 「何で?何でそうなるの?麻美は?父さんと母さんが 離婚したら、悲しむよ。」 「麻美は母さんが引き取って育てればいい。養育費も要るし、 慰謝料と財産分与で一文無しになるかもしれない。でも、 俺は、麻里緒がいれば、それでいい。東京に戻ろう。もう 麻里緒をこんな町には置いておけない。ワンルームマンション でもいいから、会社の近くにアパートを借りて、二人で住もう。 二人で・・・」 父さんは少し夢を見ているような笑顔を見せた。それで、 僕は少し心配になった。 「母さんは離婚するって言うかな。母さんは父さんの事が 好きみたいだし・・・」 「真理子は・・・母さんは意地になってるところがあるから、 すぐには離婚に応じないかもしれない。今までに何度も 離婚の危機が訪れたが、いつも逆上して怒るだけで・・・ あいつは俺と別れるとは言わなかった。クールに見えて、 粘着質な性格は誰に似たんだろう。」 父さんは遠い目をして言った。 (続く)
2013年01月27日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「キャアー!!」 絹を引き裂くような悲鳴が聞こえて、僕は目を覚ました。 「ママ!お兄ちゃんが死んでる!ママ!早く来て!」 妹の麻美が泣き叫んでいた。僕は虚ろに目を開けて、 自分で切った手首を見た。すると、傷口から溢れる血は 止まることなく、タラタラと流れ続け、カーペットを汚していた。 「麻美?!どうしたの?」 母さんの声がして、母さんが寝室から出てきた。母さんは 子供部屋の入口に立った時、凄く驚いた顔をして、こう言った。 「麻美!見ちゃだめよ!」 そして、両手で顔を覆うように泣きじゃくる麻美の目と口を 押さえた。母さんは錯乱状態に陥る寸前の麻美を救う為に 血で汚れた僕を麻美の視界から消したのだった。 「おーい!どうしたんだ?」 階段を上ってくる父さんの声がした。父さんは廊下から 僕を見るなり、走り寄ってきて、僕を抱きかかえた。 「麻里緒!しっかりしろ!死ぬな!麻里緒!救急車! 早く救急車を呼んでくれ!」 だが、しかし、狼狽する父さんに対して母さんは冷静だった。 「救急車って・・・よく見たら、救急車を呼ぶほどの傷でも ないんじゃない。世間体もあるし、あなた、車で病院に 連れて行ってくれないかしら。止血すれば、普通の外来でも きっと大丈夫よ。」 「おまえ、それでも母親か!チッ!もういい。俺が連れて行く。」 父さんはそう言うと、ポケットからハンカチを取り出し、僕の 手首に巻いた。そして、ぐったりとした僕を抱きかかえて 車へと連れて行った。 (続く)
2013年01月25日
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オリジナル小説「落日」第5部でリストカットのシーンが ありますが、麻里緒は死にませんので、ご安心ください。 自殺未遂するほど麻里緒の悲しみは深く、闇に包まれ、 第1部のはねをもがれた蝶を殺す麻里緒と連鎖して、 絶望から溢れる希望と願望をラストで描きました。 第1部~第5部までで起承転結の起承まで描きました。 第6部~第10部では、やさぐれた麻里緒を描きます。 やっとブログ初の長編小説も半分まできました。 ここまでこれたのは皆様のおかげです。 「落日」を読んでくださった皆様に感謝いたします。
2012年06月09日
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BLの苦手な方は読まないでください。 第5部最終話です。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕は母さんが意地悪な魔法使いに見えた。僕を惨めにする 呪文を浴びせる魔女だと思った。母さんは本気で僕が 父さんをたぶらかした悪い子だと思っているようだった。 血の繋がった実の父親に抱かれたいと思う子供が何処にいる というのだろう。僕は父さんに純粋に愛して欲しかっただけ なのに、たとえ愛の形が歪んでいたとしても、ただ愛されたい と願う気持ちからキスを受け入れただけなのに・・・泥棒猫 だなんて酷過ぎる。でも、僕は母さんを見て、嫉妬した。 今さっき僕の中に湧いた感情はまぎれもなく嫉妬だった。 夫婦なのだから、身体を繋ぐのは当たり前の行為なのに、 僕は心の何処かで父さんは母さんとしていないと思って いたかった。父さんの身も心も独占したいと思うなんて、 矛盾している。僕は本当に悪い子なのかもしれない。 「ごめんなさい。母さん。ごめんなさい。」 僕は涙を流して謝った。 「反省してるなら、もういいわ。私も昨日は嫌だって言うのに 無理やりされて疲れてるのよ。あの人は本当に困った人だわ。 あら、もうこんな時間?!麻里緒、早く制服に着替えて 学校に行きなさい。」 母さんはわざとらしく目覚まし時計を見て、僕を部屋から 追い出す口実を作った。僕は 「はい。」 と返事をして寝室から出た。母さんの勝ち誇った顔がしばらく 脳裏から離れないと思った。あの顔はまるで愛人から夫を 奪い返した女の顔だった。母さんは母親である前に女だった のだ。女として嫉妬し、今まで僕に辛く当たっていたのだった。 僕は悲しかった。母親から愛されていないだけじゃなくて、 憎まれていたなんて・・・僕は母さんと父さんを取り合う気は なかった。もう愛されなくてもいいと思った。首を絞められた 後も父さんは母さんに謝っていた。父さんは僕を追いかけて 来なかった。その時点で気付くべきだったのだ。父さんは僕を 大切に思っていないと・・・僕の身体を弄んだ先生と同じだと 思った。先生と父さんは性格が似ている。僕はどことなく 父さんに似た喋り方をする先生が好きになった。先生と一緒に いると、まるで父さんと一緒にいる時のように楽しかった。 僕は先生に頭を撫でられるのも好きだったし、手を繋いで 歩くのも好きだった。やっと、もう一度、僕を可愛がってくれる 人を見つけたと思っていたのに、先生はきっと僕の心の醜さを 知っていたのだろう。僕の前から姿を消してしまった。 僕は先生を失い、父親を失い、母親に首を絞められ、 先輩達に弄ばれ、好きでもない加藤君に抱かれ、唯一、 心の拠り所となる伊藤君は無力だった。伊藤君は何も 知らな過ぎる。僕は聖母マリアなんかじゃない。ましてや、 天使でもない。人は何故、己の見たいと思う姿に人を重ねて 見るのだろう。僕はもう何もかも嫌になった。死にたい。 そんな事が頭に浮かんだ。僕は子供部屋の机の引き出しから カッターナイフを取り出して、スーッと手首を切った。 血が溢れ、ポタポタと床に落ちて、カーペットを汚していった。 赤い血は僕の心を安らかにしてくれた。血に汚れて、僕は 美しく生まれ変わる蛹のように痛みも苦しみも感じなく なっていった。生まれ変わったら、空を舞う蝶になろう。 誰にも羽を?がれないように人に懐かない蝶になろう と思った。誰にも捕まらず、空高く飛ぶ美しい蝶を夢見て、 僕はゆっくりと目を閉じた。 (完)
2012年06月09日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 翌朝、僕が目を覚ますと、伊藤君がオーブントースターで 食パンを焼いていた。パン1枚と牛乳だけの朝食だったけど、 僕にはイエス・キリストの最後の晩餐のような楽しい食事だった。 「麻里緒のお母さんは厳しいだけで、本当は麻里緒の事を 思って、良い成績を取るように言ってるんじゃないのかな。 学校に行く前、制服に着替えに家に戻った時に、お母さんに 外泊した事を謝った方が良いよ。朝ならお父さんも居るだろ? あの優しいお父さんなら麻里緒を庇ってくれると思うから、 早く帰ったほうが良いよ。」 と伊藤君は言った。時刻は7時15分だった。伊藤君はわざと 早起きして、僕に朝食を作ってくれたのだった。父さんは 毎朝6時50分に出勤する。何も知らない伊藤君に僕は 何も言えなかった。 「うん。そうだね。そうするよ。」 僕はニコッと微笑んだ。母さんに酷く叱られるのを覚悟で 僕は家に帰ると、父さんが台所にいた。 「麻里緒!帰って来てくれたんだね!」 父さんは僕を見るなり、駆け寄ってきて、僕を抱きしめた。 「どこに行ってたんだ?心配したぞ。」 「伊藤君家。」 「そうか。ま、いいさ。父さん、朝食を作ったんだ。食べるか?」 ダイニングテーブルにはハムエッグとトーストが用意されて いて、妹の麻美が黙って一人で椅子に座って食べていた。 「麻美。お兄ちゃんが帰って来たよ。」 父さんが優しい口調で麻美に言った。 「おかえりなさい。」 麻美の表情は暗かった。不思議なほど何も聞かずに、 そっけない態度だった。 「さっ、麻里緒も食べなさい。あ、ちょっと冷めちゃったかな。」 父さんは無理して明るく振舞っているように見えた。 「悪いけど、僕、伊藤君の家で食べてきたんだ。母さんは?」 「母さんは気分が悪いって寝てるんだ。それで、今日、 父さんは有給をとって会社を休んで、朝ご飯を作ったんだ。」 僕の知る限り、家族が病気で父さんが会社を休んだのは 初めてだった。母さんは昨日の事がよほどショックだったのか 寝込んでしまったらしい。 「僕、着替えてくる。」 僕はそう言って、階段を上がった。 子供部屋に入る前に母さんが気になって、どうせ謝るなら 早い方が良いと思って、僕は寝室の扉をあけた。すると、 寝室の床には脱ぎ散らかした服が落ちていて、ベッドの 布団の中から母さんが顔を出して、こう言った。 「なんだ。帰ってきたの?」 ベッドから起き上がった母さんはパジャマを着ていなかった。 キャミソール1枚の下着姿で、乱れた髪を物憂げに掻き上げて 僕をじっと見た。母さんの首筋から胸元にかけて幾つもの キスマークがついていた。露わになった胸元が女体の 生々しさを僕に見せつけていた。父さんは僕に愛してると 言った口で母さんの肉体に口づけしたのかと思うと、僕は やるせなかった。思わず目を背けて、部屋を出ようとすると、 「昨日の事を謝りに来たのかと思ったのに、何しに来たの? 麻里緒は家を飛び出して外泊した事も反省してないの? それとも、逆に私に謝って欲しいわけ?私はあんたなんかに 謝らないわよ。泥棒猫のくせに!どういう子だろうね!」 と母さんは怒鳴った。 (続く)
2012年06月08日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「友達がいなくて悲しいって思った事ならあるよ。小学校 高学年の時にね。クラスが3年間違っていたせいもあるけど、 あの時は何で僕の傍にいてくれなかったの?」 僕は過去をむし返すように聞いた。 「俺も苛められてたから。もちろん麻里緒ほどじゃないけど、 ホモ友って言われて、上靴を隠されたり、文房具を盗まれたり したんだ。消しゴムを失くして可哀相だから先生の消しゴムを あげるって先生が消しゴムをくれてからは貧乏人ってあだ名に 変わったよ。3年生の時に麻里緒を庇って、いろんな奴と喧嘩 しただろ?それで、4年生の最初も喧嘩ばっかりしてたから、 学校の先生も親も心配して、同じクラスで友達を作りなさい って言うから、麻里緒とは正反対のタイプの友達を作ったよ。 俺は自分の身を守る為に麻里緒を見捨てたんだ。卑怯だと 思うよ。中学に入って、加藤と友達になった時も俺はこれで 坂田から麻里緒を守れるって思ったんだ。浅はかだったよ。 麻里緒が常磐先輩にまわされたり、売春を強要されたりする なんて思ってもみなかった。俺のせいだ。俺が全部悪いんだ。 あの夏の日も・・・」 伊藤君は酷く後悔していた。 「僕は公園に伊藤君が来なかったことを恨んでないよ。 人間誰でも約束を忘れることってあるしね。」 「違うんだ。本当は・・・あの日、お父さんが急に来て。あ、 お父さんは養育費を持って来いってお母さんに呼び出されて 来たんだけど、俺は何も知らなくて・・・再婚してお金に余裕が なくなったから、養育費を渡せないって。この5万円で最後に してくれって。月に1回息子と会う権利も要らないって言うから、 お母さんが怒って・・・包丁を台所から持ち出して、殺してやる って騒いだんだ。お父さんが手傷を負って、慌てて逃げた後も お母さんは呪ってやるとかずっと気が狂ったみたいになってて、 俺は恐くて、動けなかった。麻里緒に今日は遊べないって 連絡しなくちゃとは思ったけど、理由を言えないと思って・・・ 結局、ずっと家にいたんだ。夜、パトカーが家の近くを うろついていた時も警察がお母さんを捕まえに来たのかと 心配してた。後から電話で、お父さんはかすり傷だったから 病院には行ったけど、警察には行かなかったって聞いて、 ホッとしたけど、お父さんはもう二度と俺とも会わないし、 滞納してた分の養育費も払わないって言われて、ショック だったよ。俺は、あの夏の日、お父さんに捨てられたんだ。 今まで誰にも言えなくて・・・でも、それは自分のプライドを 保つ為で・・・俺の麻里緒にしてきた事を考えると、自分の 身勝手さに吐き気がするよ。」 伊藤君は泣いていた。僕は伊藤君の涙を初めてみた気がした。 僕は伊藤君がなんだか幼く見えて、気が付いたら、伊藤君の 唇に僕の唇を重ねてた。 「伊藤君は悪くないよ。伊藤君のせいじゃない。」 伊藤君を抱きしめて、僕は言った。 「アベ・マリア。女の子だったら、麻里亜って名前にしようと 麻里緒のお母さんは思ってたって、昔、麻里緒から聞いた 事があるけど、麻里緒は聖母マリア様みたいだ。」 伊藤君は僕の胸に顔をうずめて言った。昔、母さんは僕に 言っていた。生まれてくる子が女の子だったら、麻里亜と 名付けて、全ての過去を許そうと思っていたと・・・でも、 男の子の僕が生まれて、名前も考えるのが面倒だったから 麻里緒にしたんだって母さんは言ってた。 「麻里緒は総ての罪を許してくれるマリア様だ。もっと早くに 懺悔すれば良かった。」 伊藤君はそう言って、僕の唇に接吻した。伊藤君のキスは 舌は入って来なかった。僕達は何度もキスを重ねて、互いに 抱き合って寝た。まるで僕はセックスを知らない子供のように 服を着たまま抱きしめ合い、欲情の代わりに幸せを感じた。 伊藤君の腕の中で僕は肉親に抱かれて眠る赤子のように 安らかに眠りについた。 (続く)
2012年06月04日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m お風呂からあがると、僕は伊藤君のTシャツを借りた。 大人用のMサイズのTシャツはいつまでも子供服を 着ている僕にはブカブカで大きかった。寝室に行くと、 布団が一枚敷いてあった。 「お母さんの布団はシーツを今日洗ったから、使えないんだ。 俺と一緒でいいよな?」 と伊藤君が聞いた。伊藤君の家は貧乏でシーツの替えが なかった。洗濯したシーツが乾くまで布団が使えないって 可哀相だなと僕は思った。僕は伊藤君の布団に入って、 一緒に寝た。6畳2間のアパートにお母さんと二人暮らしの 伊藤君は中学生になっても、やっぱりお母さんと一緒の 部屋で寝ていたのだった。寝室と居間しかないから仕方ない のだけれど、幼稚園の頃からずっと一人で寝ている僕には 異世界のような感じがした。 「抱いていいよ。」 僕は隣で寝ている伊藤君に言った。驚くほど自然に出てきた 言葉だった。 「麻里緒・・・」 伊藤君は少し考えた顔をして、僕に言った。 「俺は抱かないよ。俺は麻里緒のことが好きだけど、 そういうことはしたくないんだ。」 「僕が女じゃないから嫌なの?」 「性別は関係ないよ。俺は麻里緒と友達のままでいたいんだ。」 「セックスしても友達のままでいればいいじゃん。加藤君には 内緒にしとこうよ。それとも常磐先輩が恐い?」 僕はずるそうな顔をして、伊藤君の足に僕の足を絡めた。 「加藤は友達だから内緒にはできないよ。でも、常磐先輩が 恐くて手が出せないとかそんなんじゃないんだ。みんな早く 童貞を捨てたがるけど、俺は違うんだ。体がまだ大人になって ないからだって加藤は言うけど、俺だって夢精くらいするし、 いつもその夢には麻里緒が出てくる。正直に言うと、麻里緒と したいと思った事はあるよ。だけど、俺は麻里緒の友達だから、 しちゃいけないと思うんだ。」 「どうして?」 「俺が麻里緒としちゃったら、麻里緒には本当の友達が いなくなってしまうだろ?それって悲しい事だと思わないか?」 僕は伊藤君の言ってる事が分からなかった。僕は今まで愛を 得る代償として身体を差し出してきた。僕に優しくしてくれる 総ての人間が僕の身体を求めてくると思っていたのに、 伊藤君は違っていた。 (続く)
2012年06月02日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕は走って走って、走りながら涙を流した。僕はもう家には 帰れないと思った。駅前の繁華街に行こうかとも思ったけど、 お金を持っていない事に気が付いた。でも、お金を取りに帰る 勇気は僕にはなかった。公園で野宿するか友達の家に行くか 考えて、加藤君ではなく伊藤君の家に行こうと思った。 伊藤君なら看護士のお母さんが夜勤の日は一人でいるはず だった。僕は伊藤君に一晩泊めてもらおうと思った。走って 来た道を引き返して、伊藤君のアパートの前まで行くと、 今度は家を飛び出した理由をなんて言おうかと迷った。僕は 父さんの事は伊藤君に知られたくなかった。テストの成績が 悪くて、母さんに怒られたってだけで泊めてくれるか心配に なった。やっぱり公園で野宿しようと思ったその時、伊藤君の 家の窓が開いた。伊藤君は僕を見て、声をかけてくれた。 「麻里緒!こんな夜遅くにどうしたんだ?」 「母さんと喧嘩しちゃった。」 「?!」 伊藤君は僕のついた嘘に凄く驚いたみたいだった。 「・・・。うちに来いよ。」 伊藤君はそれ以上何も聞かずに家に入れてくれた。 「お母さんは夜勤でいないんだ。」 家にあがると、伊藤君が言った。 「あ、そうなんだ。」 僕は知らなかったふりをした。 「何か食べる?」 伊藤君が冷蔵庫から麦茶を出してコップに注ぎながら聞いた。 「ありがとう。僕、母さんに夕飯抜きって言われて、何にも 食べてないんだ。」 僕は努めて明るい口調で言った。 「・・・。カップラーメン食べる?」 伊藤君はまた何か聞きたそうな顔をしたけど、何も聞かずに カップラーメンを作ってくれた。時計は11時をまわっていた。 「明日は学校に行くよな?」 「あ、うん。もちろんだよ。」 「なら、いいけど。」 伊藤君は心配そうに僕を見ていた。 「食べ終わったら、風呂に入れよ。」 伊藤君はそう言った後も僕をじっと見ていた。 (続く)
2012年05月31日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「何をしてるの?!」 部屋の入口に母さんが立っていた。父さんは慌てて僕を 突き離して、こう言った。 「違うんだ。」 「何が違うの!もう二度と麻里緒にキスしないって 約束したのに!昔の約束をよくも破ったわね!」 「ご、誤解だよ。麻里緒が泣いていたから、慰めていただけで、 キスしてない。」 父さんが誤魔化そうとして、ひきつった笑顔を浮かべた。 「な、麻里緒。そうだよな。」 父さんの顔は恐怖に慄いて醜く歪んでいた。 『母さんには内緒だよ』幼い頃に繰り返された行為が 醜い欲情によるものだと僕はようやく気付いた。 「真理子の見間違えだよ。」 父さんは母さんにそう言いながら近づいた。父さんが母さんを 名前で呼ぶ時は必ず喧嘩になる前触れだった。パシッと頬を 叩く音がした。母さんの振り上げた手が震えているのを僕は 見逃さなかった。しかし、平手打ちされた父さんは俯いて、 黙り込んでしまった。ギリシャ神話の石像のような精鍛な 顔立ちの父親が酷く醜い小男に見えた時、僕は何もかも 失くしても構わないと思った。 「僕がキスしたんだよ。」 一瞬、空気が張りつめて、信じられないものでも見るような 目で母さんが僕を見た。 「今、何て言った?」 「僕が父さんにキスしたって言ったんだよ。」 怒りで我を忘れた母さんが恐ろしい顔をして走り寄り、 僕の首に手をかけた。母さんは僕の首を絞めながら喚いた。 「この泥棒猫!あんたは泥棒猫にそっくりよ!あんたなんか 産むんじゃなかった。あんたなんか生まれてこなければ よかったのよ!」 美しい顔を歪ませて、醜い心の闇をぶちまけた母さんは 本気で僕を殺すのかと思うほどの力で僕の首を絞めた。 「やめろ!真理子!やめるんだ。」 父さんが母さんを無理矢理僕から引き剥がした。ゲホゲホと むせながら僕は父さんが押さえつけている母さんを横目で 見ると、母さんは気が狂ったように僕に手を伸ばしていた。 もう一度、僕の首を絞めようとする母さんに父さんは 「真理子。すまない。俺が悪かった。すまない。」 と、いつまでも謝り続けた。それは幼稚園の頃にお風呂で 見た光景と似ていた。僕は刹那的な感情に流されたことを 後悔した。そして、逃げるように家を飛び出した。 (続く)
2012年05月26日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 遠い過去の出来事はまるで思い出してはいけないように 僕の中で封印されていた。父さんは僕を床に押し倒して、 何度もキスをした。僕は閉ざされた過去の記憶に身を 支配されたかのように動けなかった。溢れる想いは涙となって 僕の頬を伝った。心の何処かでまだ拠り所にしていた 父さんへの甘い幻想が崩れて粉々に砕け散って行く。 絶望的な悲しみよりも切ない痛みのほうが強くて、 僕は胸が苦しくなった。 「泣いているのか?」 父さんが涙を流している僕に問いかけた。 「父さんはおまえが悪い遊びを覚えたって近所で噂に なってるって聞いて、こんなことになるくらいなら、 伊藤君とも担任の先生とも遊ばせなければ良かった って思ったら、無意識のうちにキスしていたんだ。 麻里緒は父さんのことが嫌いかい?」 僕は無言で首を横に振った。 「良かった。愛してるよ。麻里緒。」 父さんが僕を抱きしめた。 「父さんは麻里緒の事が好きで好きでたまらないんだ。 誰にも触らせたくない。仕事に行っている間も家の中に 閉じ込めておきたいくらいだよ。」 檻を作って、閉じ込めたらいいって僕は思った。 学校にも行かず、公園にも行かず、誰にも会わず、檻に 閉じ込められて暮らせたら、どんなに幸せだろう。父さんの 歪んだ愛で満たされて、死ぬまで檻の中にいる自分を 想像してみた。それはぞっとするほど甘美な世界だった。 僕は父さんの背中に腕をまわして、唇にキスをした。 僕が初めて血の繋がった肉親に自ら口づけした瞬間だった。 (続く)
2012年05月25日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「・・・父さん・・・」 唇を解放されても僕の思考回路は停止したままだった。 父さんが僕にキスをした事が理解できなかった。 「あの日。あの夏の日から麻里緒を見るのが辛くて、ずっと 目を背けてきたけど、父さんは麻里緒のことが好きなんだ。 麻里緒が生まれた時からずっと誰よりも麻里緒を愛してる。 それなのに、あんなことになるなんて・・・麻里緒が他の男に 穢されるくらいなら、いっそのこと父さんが・・・自らの手で 穢してしまえば良かったと後悔してるよ。」 父さんの目は真剣だった。そして、恐怖で身動きがとれない でいる僕を父さんは抱きしめた。父さんの腕の中でぎゅっと 抱きしめられると、僕は忘れていた子供の頃の記憶が 蘇ってきた。まだ幸せだった頃の記憶が父さんの腕の 温もりの中で走馬灯のように蘇った。 僕は父さんに愛されて育った。正確に言うと、父さんは僕を 溺愛していた。物心つく前から父さんは僕にキスしていた。 おはようのキスにおやすみのキス。毎日、抱っこして、頭を 優しく撫でて頬にキスをしてくれた。休日はよく公園に連れて 行ってくれた。僕はブランコが大好きだった。お風呂も父さんと 一緒に入っていた。幼稚園まで僕は父さんに身体を洗って もらっていた。僕がくすぐったいから自分で洗うと言っても 父さんは僕の胸や腹や尻を撫でまわすように洗っていた。 デリケートな部分は手で洗ったほうが良いと父さんは言って、 手に石鹸を泡立てて、直接下半身を握り、丁寧に優しく 洗っていた。時折、父さんはお風呂の中で僕にキスをした。 母さんの前では額か頬にしかキスしないのに、二人っきりで お風呂に入っている時に父さんは母さんの目を盗むように 僕の唇にキスをしていた。「母さんには内緒だよ」と、いつも そう言っていた。でも、ある日、母さんに見つかってしまった。 湯の中で父さんの膝の上に座って、後ろから抱きしめられて キスしているところを運悪く偶然見られてしまった。当時、 妊娠していた母さんはショックのあまり流産しそうになった。 何度も泣きながら母さんに謝っていた父さんを思い出した。 母さんは無事に妹を産んだけど、その日から母さんは 僕の事を嫌いになった。妹が生まれると妹だけ可愛がり、 父さんには妹にキスさせなかった。父さんは僕にもキス しなくなって、僕を抱っこもしなくなって、僕の身体にあんまり 触れなくなった。それでも、小学校2年生の夏休みまでは 父さんは僕に優しかった。僕が穢れたあの夏の日までは・・・ (続く)
2012年05月20日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕は自分の部屋に入るとすぐに貯金箱と財布を確認した。 5千円札は4枚ちゃんとあった。母さんはテストの結果が 気になって、机の中に無造作にしまってあった答案用紙を 見つけ出しただけで家捜しまではしていなかった。大丈夫。 バレてない。僕は心の中でつぶやくと、母さんが追い打ちを かけて怒ってきても大丈夫なように勉強を始めた。しかし、 2時間もすると、僕は眠くなり、ウトウトと机で眠ってしまった。 額に何か懐かしい感触がして、僕が目を覚ますと、父さんが 僕の頭を撫でていた。 「麻里緒。起きなさい。話がある。母さんと相談したんだが、 麻里緒も塾に行きなさい。母さんは麻美にだけピアノと水泳と 書道と英会話を習わせて、麻里緒には何も習わせなかった。 お稽古の一つでも習わせれば良いのにと、父さんは麻里緒が 小学校の頃から思っていたけれど、母さんは麻里緒が 習いたいものがないからと言って、麻里緒にお金を使うのを 極端に嫌がった。今でもそれは変わらないが、こんなに 成績が下がったのだから塾に行かせるのは親の務めだと 母さんに言ってやったんだ。それで、塾に行かせることに 決まったんだが、麻里緒は最近、学校帰りにお友達の家に よく遊びに行くそうだな。土日の昼間にお友達と遊ぶのは 構わないが、平日の夕方から遊びに行って夜の9時まで 帰って来ないとかそういうのはもうやめなさい。毎週金曜日 麻里緒は誰の家に遊びに行ってるんだ?加藤君とかいう 新しくできたお友達の家かい?」 僕は焦った。毎週金曜日に常磐先輩の家に行くのを 止められたら、常磐先輩に怒られる。どんな仕打ちをされるか 分からないと思ったのだ。 「ごめんなさい。加藤君が家に遊びに来てって誘うから・・・」 「週4回もかい?」 父さんが僕の言い訳を疑うように目を細めて言った。 「学校帰りに直接遊びに行く日は7時までにいつも帰って 来るのに、金曜日だけ家に帰って着替えてから出かける そうじゃないか。何故だい?父さんは麻里緒の交友関係に 口出しするつもりはないけど、夜遊びはいけないよ。誰か他に 知らない所で、不良と付き合ってるんじゃないのか?父さんは 心配だよ。小学校の頃はいつも担任の先生に勉強を教えて もらっていただろう?土日まで勉強するって先生の家に 通っていたね。あんなに勉強の好きだった麻里緒が一体 どうしたんだ?麻里緒は悪い子になってしまったのかい?」 父さんが僕の手首を掴んだ。目が凄く恐かった。 「ずっと後悔してたんだ。麻里緒を誰にも渡したくない。」 父さんの唇が僕の唇に重なった。僕はあまりの衝撃に目を 閉じることも出来なかった。1秒が1分に10秒が10分に 感じた。止まった時の中で、父さんは僕の舌を貪った。 (続く)
2012年05月19日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「麻里緒、スゲェぞ。2週間先まで予約がいっぱいだ。 麻里緒が人気者で俺は嬉しいよ。夏休みはどうする? 夏休みも毎週金曜日大丈夫か?」 と、学校の帰りに金田先輩が聞いてきた。 「はい。大丈夫です。」 僕はにっこり笑って返事をした。でも、僕は身体を売るのは あんまり好きじゃなかった。本当の事を言えば、夏休みは 誰にも会わずにゆっくり過ごしたかった。 「じゃ、よろしくな。」 金田先輩が笑顔で去って行くと、加藤君がこう言った。 「夏休みは俺と遊ぶ約束だろ?それに期末テストの結果も 悪かっただろ?勉強しなくて、いいのかよ?」 期末テストは43番だった。僕の成績はガタ落ちで、テストの 答案用紙も親に見せられずに机の引き出しに隠してある 状態だった。勉強しようにもHのし過ぎで体がだるくて、毎日 宿題をやるのが精一杯だった。期末テストの前も加藤君は 一緒に勉強しようって僕を家に誘って、僕を押し倒し、 Hした後で、僕に勉強を教えてもらって、自分だけ成績が 5番も上がった。伊藤君はHに全く参加しないで、毎日一人で 勉強していたおかげで、学年で10番という成績をとった。 僕だけが皆に利用されたせいで、成績がダダ下がりだ。 順位が今日分かって、母さんに成績個票を見せるのが 辛いのに、週3回もHしたがる加藤君に言われたくなかった。 家に帰ると、母さんが物凄く恐い顔で僕に怒鳴ってきた。 「ちょっと!麻里緒!これはどういうことなの!」 母さんが隠してあったテストを持って、僕の顔に叩きつけた。 「こんな70点台の点数ばっかり取って!数学なんか69点 じゃないの?80点台が一枚もないってどういうこと? まったく、あんたは毎日のように友達の家に遊びに行って、 勉強しないから、こういうことになるのよ!学年順位は 何番だったの?成績個票を見せなさい!」 僕は恐る恐る黙って成績個票を取り出すと、母さんに渡した。 「43番!一体どうやったら、こんな悪い成績とるのよ! 罰として、今晩の夕食は抜きね!何も食べずに自分の部屋で 反省してなさい!」 (続く)
2012年05月18日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 季節が夏へと移り変わる頃にはもう僕は身体を売る事に すっかり慣れてしまっていた。毎週金曜日に常磐先輩の 家に行って3Pして5千円貰う生活が1ヶ月も続くと、僕は 学校中で有名になった。もちろん陰口を言う奴はいたけど、 みんな常磐先輩が恐いのか誰も僕をいじめなかった。 常磐組は地域に根強く残っている地元ヤクザで祭りや賭博を 昔から仕切っていた上に関東を制圧した青龍会に属して いたから、僕が住んでいる地域だけでなく県全体に顔が利く 中堅クラスの暴力団だった。おまけに都心と違って田舎は 勢力争いがないから、組長自ら風俗店を経営して、荒稼ぎ している風俗王でもあった。ソープ、デリヘル、キャバクラ、 ラブホテルなどを県内にいくつも持っていて、暴力団幹部に それぞれの店を任せていた。そして、大人になったら、 常磐先輩はそれらを全て継ぐことになり、加藤君も風俗店を 経営する社長になるのだった。とんでもない資産家の御曹司 二人に気に入られ、ペットとして抱かれている僕は当然の如く 恐い先輩達からも可愛がられた。酒を飲まされ、キャバ嬢の ようにちやほやされて、僕は気分が良かった。相手が下手糞で Hがよくない時は金田先輩が手伝ってくれた。僕は金田先輩に 触られると、どんな相手でも気持ち良くなれたから、売春が 楽しくなった。金田先輩は2年生と3年生に金曜日のパー券を 売りまくって、酒やおつまみの買い出しをして、僕に5千円 渡して、常磐先輩に千円渡して、残りの売り上げを貰っていた。 パーティーの準備と後片付けも金田先輩が一人でやる約束で 約2千円の斡旋料を貰っていたのだった。金田先輩の家は 大手チェーン店に負けている自営業の焼肉屋で、美味くも 不味くもない肉を高い値段で売っているのに潰れないのは 常磐組の人が食べに来るからだと加藤君が言っていた。 学区内にある焼肉屋は2軒で、一般人は安くて美味しい 大手チェーン店に焼肉を食べに行く。僕も金田先輩の家には 一度も食べに行ったことがなかった。金田先輩は伊藤君ほど ではないけど、僕よりも貧乏だった。だから、必死になって 僕を励まし、僕に客をとらせ続けた。ブサイクとデブは嫌だ と言う僕に金田先輩は、目を瞑っていたら相手の顔なんて 分からないから目を瞑ってろとか色々なアドバイスをすると 同時に、童貞じゃ可哀相だからとか女にフラれたばかりで 可哀相だからとか相手に同情するような事を言って、どんな 相手とでも寝るように僕を仕込んだ。そのおかげで、僕は 次第に相手が誰でも平気で足を開くようになっていった。 (続く)
2012年05月17日
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いじめられっ子を卒業できたと思ったのも束の間、 今度は売春を強要されるという悲劇のヒロイン 麻里緒の過去に迫る話を第5部で書こうと思います。 第1部の伏線の謎解きを第5部で描きます。 「落日」は第1部~第2部が起承転結の起。 第3部~第5部が起承転結の承になりますが、 起承転結の転以降はあらすじを考えてはいるものの 未定です。前半ゆっくり丁寧に描き過ぎたせいで、 全10部予定の半分で中一の一学期終了です。 後半は端折るか全11部とかに増やすかします。 「落日」は自分の意志とは関係なくどんどん堕ちていく 麻里緒の可哀相な物語なので、性格の悪い子ばかり 登場します。何もそこまで麻里緒を不幸にしなくても って思う人もいるかも知れませんが、何故かというと、 私がドSなもので美少年を甚振るのが楽しいからです。 こんな私に文句も言わず、「落日」第4部全11話を 読んでくださった皆様に心からお礼申し上げます。
2012年04月20日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕がティッシュで身体を拭いて後始末をしていると、3年の 先輩達が財布から5千円札を出して、金田先輩に差し出した。 「へへっ・・・毎度あり。」 金田先輩はティッシュで拭いたばかりの手で、それを受け取り、 僕に1枚渡して、 「麻里緒は5千円で良いよな。パーティーの酒代とかもいったし、 1万円のうちの半分の5千円は俺と常磐の企画料っていうか 斡旋料ってことで。」 と言った。僕は最初、金田先輩が何を言ってるのか意味が 分からなかった。 「麻里緒も気持ち良い事して金が儲かるんだから良いだろ? 麻里緒のこと話したら、やりたいって奴がいっぱいでさ。 これから毎週よろしく頼むよ。」 金田先輩が笑顔で僕の手に5千円札を握らせようとした。 僕は思わず、 「要らない。」 と言って、5千円札を投げ捨てた。 「おい!金は受け取っとけよ!麻里緒の苦しむ顔が見える だけで十分俺は楽しめるから最初はまわすつもりだったんだ。 それを金田がタダなんてもったいないし、まわすのは可哀相だ って言うから、1人5千円って値をつけて、このパーティーを 企画したんだぜ。金が要らないって言うなら、麻里緒の 取り分なしで俺と金田の2人で分けるぞ。これから先も 何十人って客をとらせてやる。タダで男と寝たいなら、それでも 構わないぜ。麻里緒は公衆便所になりたいのか?」 常磐先輩が恐い顔をして僕に言った。すると、金田先輩が 床に落ちた5千円を拾って、もう一度、僕の手に握らせた。 「悪い事は言わないから、受け取れよ。常磐は本気だぞ。 公衆便所と娼婦とどっちが上だと思う?麻里緒は便所には なるな。」 金田先輩がいつもと違って、真剣な目をしていたので、僕は 5千円を黙って握りしめた。僕は身体を売る人間は最低だと 思っていた。小学生の時に100万円で魂を売ったと人から 罵られ、身売りされたと嘲られた時も示談金なのだから 恥じる事はないと自分に言い聞かせた。優しかったお兄さんが 刑務所に入ったら可哀相だからお金を受け取っただけで、 お金に目がくらんだのではないと胸を張って人に言えた。 僕がそう言ったら、皆はホモだって僕の事をいじめたけど、 僕は間違った事はしていないのだから、今まで身体は穢れても 心は穢れていないと自分では思っていた。今日だって僕は 男の数が7人から9人に2人増えただけだと思っていたのに 身体を売られていたなんて知らなかった。僕は何があっても 身体を売るなんてしたくなかった。お金を受け取ったら、僕の 魂が穢れるような気がしてたから、本当にお金は要らなかった。 僕の心はとうに腐り果て、善悪の区別さえ失くしていたけれど、 僕はいつまでも被害者のままでいたかったのかもしれない。 今日、僕は脅しに屈して、自分がなりたくない最低の人間に なってしまった。僕の瞳からは涙が溢れ、手に握りしめている 5千円札にポタポタと落ちていった。濡れてしわくちゃになった ボロボロのお札は僕の心に似ていた。僕は破れそうになった 5千円札をいつまでも握りしめて泣き続けた。 (完)
2012年04月20日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「入れるぜ。」 3年の先輩はそう言うと、僕の中に入ってきた。固くて 大きなものが肉を掻き分けるように入ってきて僕は声をあげた。 「ああっ。い、痛い。あっ。ああっ。」 「淫売のくせに痛いのかよ?クッ。きつ。小学生の頃から やりまくってるって聞いたのに、何でこんなに狭いんだ?」 「やりまくってた相手のサイズが大人のわりに小さくて、 俺と同じ大きさだったからだろ?先輩のは学校で一番 デカいから、痛いんだろ。」 常磐先輩が笑った。 「中学生サイズって小せぇな。確かに俺のはデカいからな。 そんで、痛がってんのかよ?」 3年の先輩が満足げに聞いてきた。先生が小さいなんて 嘘だと思った。僕は常磐先輩が大人並みに特別大きいと 思ってたのに、先生のほうが小さかったなんて。僕は先生の でも最初は痛くて、慣れるのに半年か1年かかったのに、 他の大人はもっと大きいって聞いたら、この先どれだけ 痛い思いをするのかと思うと、なんだか怖くなった。 萎えてきた僕を見て、金田先輩が心配そうに 「おい。そんなに痛いのか?」 と聞いてきた。僕が涙目になって、コクリと頷くと、金田先輩が 僕のものを握って、 「ここ触ってやるから、身体の力抜け。痛いって思うから 痛いんだ。気持ち良いほうに集中したら、痛くなくなるから。 我慢しろよ。」 と言った。僕は金田先輩が優しいと思った。金田先輩に身を 任せたら、だんだん気持ち良くなって痛みが薄らいでいった。 「あっ。ああ。ああ~」 僕は嬌声を上げながら、激しく突いてくる痛みに耐えた。やがて 3年の先輩が僕の中で果てると、身体いっぱいに入っていた 大きなものが抜き取られ、代わりに小さなものが入ってきた。 もう一人の先輩が僕の身体の中に入ってきたのだった。 2人目は全然痛くなかった。でも、金田先輩はそのまま 愛撫を続けてくれた。僕が歓喜の声をあげて絶頂に達すると、 小さいほうの先輩も僕の中で果てた。 (続く)
2012年04月18日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m みんな僕に優しかった。パーティーは楽しくて、ポッキーゲーム をして盛り上がった。僕はポッキーを銜えて目を瞑り、端から モグモグと食べて、3年の先輩たちとキスをした。最初はただ 唇に触れるだけのキスで、次第にだんだんと濃厚なキスに なっていった。僕は酔っぱらっていたせいか舌を絡めて チョコレートの味のする舌を味わった。僕が気持ち良くなって いると、3年の先輩が僕のTシャツの中に手を滑り込ませ、 胸の突起を指で摘まんだ。 「あっ。やっ。」 「なんだよ。もうそろそろいいだろ?」 そう言って、3年の先輩達は僕のTシャツをまくり上げ、 僕のズボンのベルトを外して、脱がそうとした。 「やっ、やだ。やめてください。」 僕が助けを求めるように金田先輩を見ると、 「いいじゃんか。減るもんじゃなし。まわさないから安心しろよ。」 と言って、金田先輩はヘラヘラ笑った。 「今更だろ?やらせろよ。それに今日は先輩たちが3Pしたい って言うから、おまえを呼んだんだ。俺が企画したのは 合コンじゃなくて、ヤリコンだ。」 常磐先輩が冷めた目で僕を見て言った。僕はちやほやされて 有頂天になっていた自分の愚かさを悔やんだ。常磐先輩が 本気で僕の事を褒める筈がなかったのだ。僕は3年の先輩 2人にあっという間に全裸にされてしまった。 「あっ。あっ。」 ローションをお尻に塗られて、ヌルッとした感触と共に指が1本 中に入って来たと思ったら、中指でグルグルっと掻き回された。 体内を探るように指を動かされて、僕は少し痛くて嫌だった。 もう一人は両方の胸の突起を指で摘まみ、弄り続けている。 僕はまるで胸を捕らえられて拘束されたみたいで、不思議と 感じてしまった。上半身が気持ち良くなると下半身も気持ち 良くなるのか、最初は嫌だったのに、次第に体内も緩んで、 気持ち良くなってきた。やがて、指が僕の良い所を捉えると、 僕は前を触れられてもいないのに、先端から蜜を滴らせた。 (続く)
2012年04月16日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 坂田は保健室にも行かずに早退し、3日間学校を休んだ。 親には転んで顔面を擦り剥いたと嘘をついたらしい。 常磐先輩が誰にも言うなと口止めしたのが効いたのか、 竹内と一之木も誰にも言わなかった。プライドの高い坂田は 生まれて初めて苛められて、よっぽどショックだったのか、 喧嘩で怪我をしたと勘違いした親や学校の先生に何を 聞かれても固く口を閉ざしていた。絆創膏だらけの顔が 痛々しくて、僕は伊藤君が止めてくれなかったら、今頃、 警察に傷害罪で捕まっていたかもしれないと思った。 復讐して警察に捕まったら、復讐した意味がないから、 我を失っていた僕を正気に戻してくれた伊藤君に感謝した。 伊藤君はやっぱり頭が良い。僕は伊藤君と友達で良かった と思った。それに比べて加藤君は馬鹿だった。一歩間違えば 警察沙汰になるところだったのに、まるで僕の武勇伝を 邪魔したかのごとく伊藤君を批判した。坂田なんか徹底的に 叩き潰せばいいのに何故止めたのかと伊藤君に文句を つけたのだ。僕の事は惚れ直したと褒め称え、伊藤君の事は 気が小さいとけなしたのだった。しかも、常磐先輩の事を 信用しているのか、常磐先輩の命令には絶対に逆らわない。 金曜日、一人で常磐先輩のマンションに来いと言われて、 僕は夕方、常磐先輩の家の前まで来たけれど、常磐先輩に 抱かれるのは気が進まなかった。金田先輩も一緒だから 大丈夫と言われても加藤君抜きでというのは何かおかしい と僕は思った。玄関のインターホンを押そうか迷っていると、 ドアが開いて、金田先輩が出てきた。 「何やってんだ。早く中に入れよ。遅いぞ。麻里緒。」 「すみません。」 僕はペコッと頭を下げた。リビングに連れて行かれて、僕は 驚いた。見知らぬ男が2人ソファに座っていて、テーブルに 缶ビールと缶酎ハイとスナック菓子が並べてあったのだ。 「今日はパーティーだ。3年の先輩達が麻里緒の話を聞いて、 遊びたいって言うからさ。俺と常磐で企画したんだ。まぁ、 合コンだと思ってくれよ。」 金田先輩がにこやかに言った。 「ここ座れよ。」 3年の先輩が自分たちの隣に僕を座らせた。 「何飲む?缶酎ハイでいい?」 金田先輩が缶酎ハイを僕に手渡した。 「乾杯しようぜ。カンパ~イ!」 乾杯してから5人で一斉にお酒を飲んだ。常磐先輩たちは ビールだった。 「聞いたぜ。おまえ、1年で番はってる奴を蹴って、全治 1週間の怪我させたんだって?」 「・・・」 3年の先輩に坂田の事を聞かれて、僕は何て答えて良いのか 分からなくて、黙ってしまった。 「常磐に頼んで、便所の水飲みさせたってことも聞いたけどさ。 人にシメてもらっただけじゃなくて、自分でもやったってとこが スゴイよ。」 もう1人の3年の先輩がフォローして、僕を褒めた。 「麻里緒の武勇伝を話したら、ぜひ会いたいって言われたんだ。」 と金田先輩が言った。 「そうそう。俺もおまえのこと見直したよ。」 常磐先輩も僕の事を褒めた。 「今日はパーッといこうぜ。」 金田先輩がニコニコ笑って言った。僕は何故褒められるのか よく分からなかったけど、皆にちやほやされて、嬉しかった。 (続く)
2012年04月14日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「おい。おまえも土下座しろ。」 金田先輩が坂田に言った。坂田はもう逆らわなかった。 よろよろと僕の前にやってきて、土下座した。 「すみませんって10回言えよ。」 僕は勝ち誇ったように坂田に命令した。 「・・・」 坂田は頭を下げたまま悔しそうに黙っていた。 「どうした?早く謝れ。」 金田先輩が坂田に言った。すると、坂田はまるで棒読みを 繰り返すように 「すみません。すみません。・・・」 と、小さな声で10回言った。 「感情がこもってないな。それに声が小さくて、何言ってるのか 聞こえないよ。」 僕は坂田に昔、言われた事を思い出して、意地悪な口調で 言った。すると、坂田が顔を上げて、憎しみを籠めた目で 僕を睨んだ。 「何?その目?今まで僕にしてきたことを考えたら、罰を 受けるのは当たり前だよね?僕がどうして小学校4年生の時に 学校に行けなくなったか分かる?トイレの床を舐めろって、 強要されて、僕が拒否したら、トイレのデッキブラシで顔面を 擦ったよね。僕が諦めて、床を舐めたら、翌月には便器を 舐めろって言ってきた。その時は小便器の外側でいいって 言ったけど、その次は内側を舐めろってきっと言うに決まってる。 だから、僕は学校に行かなくなったんだ。毎日、殴る蹴るされて、 土下座させられて、雑巾を舐めろとか無理難題を命令されて、 僕は頭がおかしくなりそうだったよ。」 僕の瞳からは涙が溢れた。過去を思い出しただけで辛くて、 泣けてきたのだった。 「謝れ!」 僕は泣きながら坂田の頭を蹴った。怒りに任せて、何度も 足を上から下へと踏み下ろすようにして後頭部を蹴った。 坂田はトイレの床に顔をつけたまま呻き声をあげていた。 「やめろ!もう、そのくらいにしておけ。」 伊藤君が僕を後ろから抱きしめた。 「これ以上、やったら、病院送りになるぞ。」 血が坂田の顔面から滲み出ていた。若干斜めを向いていた為、 鼻は折れなかったが、鼻血が出ていた。唇も切れて、血が 出ていたし、額と頬は擦り剥けて、真っ赤になり、所々切れて 血が流れていた。 「麻里緒が辛かったのはもう分かったから。俺は麻里緒を ずっと見てきて知ってるから。だから、もう、やめよう。 こんなこと、もう、やめろよ。」 伊藤君は僕の耳元で必死に説得した。痛みに耐えかねて泣く 坂田を見て、僕は警察沙汰になる前に伊藤君が止めてくれた ことに気が付いた。僕は伊藤君に後ろから抱きしめられて、 伊藤君の顔が見えなくても伊藤君の優しさが伝わってくるのが 分かった。それは怒りも悲しみも総て伊藤君が受け止めて くれると錯覚を起こすような優しさだった。 (続く)
2012年04月02日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「昔から常磐にたてついた奴は便所の水飲みと決まってんだ。 麻里緒は常磐の舎弟だ。その舎弟をボコったんだから、 覚悟しろよ!」 金田先輩が言った。 「すみません。俺達、舎弟だとか知らなくて・・・」 坂田は言い訳をしようとしたが、常磐先輩は坂田の胸ぐらを 片手で掴んだままトイレの個室のドアを開けて、坂田を中に 放り込んだ。転んでトイレの床に手をついた坂田の頭を 後ろから掴み、和式トイレに押し付けた。坂田の顔が便器の ふちについた時に 「うわぁああ」 と坂田は悲鳴をあげた。便器の中の後方に茶色いシミが ついていたのだった。半狂乱になって暴れる坂田の背中に 馬乗りになった状態で常磐先輩は坂田の両腕を後ろ手に 捩じ上げた。金田先輩が坂田の首根っこを掴んで、頭を 便器の中に引き摺り落とした。泣き喚く坂田に金田先輩は 容赦なくトイレの水を流した。 「うぅ・・・ガッ。ハァッ。ゲホッ。ゲホッ。」 トイレの水を飲まされた坂田は苦しそうだった。水の勢いは 強く、息を止めても何度も襲い来る流水に窒息寸前になり、 坂田は溺れて、口を開いてしまい、汚水を飲んだのだった。 3回連続水を流すその行為は5回繰り返された。 「そろそろ勘弁してやるか。」 常磐先輩はそう言うと、坂田の体から離れた。金田先輩が 再び坂田の首根っこを掴んで便器から引き摺り出した。 坂田は溺死したかと思うくらいにぐったりしていた。一之木と 竹内は声も出せずに怯えていた。 「次は誰にする?」 金田先輩がそう言った瞬間、一之木が失禁した。 「うわっ!汚ねぇ!」 一之木を捕まえていた加藤君が手を放した。 「なんだ。ビビってションベン漏らしたのか?情けねぇな。」 常磐先輩が笑った。濡れたズボンの前を手で押さえて、 一之木は泣き出してしまった。醜態を晒した一之木を皆は 嘲笑った。 「土下座しろ。麻里緒に謝ったら、おめぇら二人は許してやる。」 金田先輩が竹内に言った。竹内と一之木は二人並んで トイレの床に両手をついて頭を下げた。土下座する二人を 見て、僕はいい気味だと思った。 「麻里緒、これでいいか?」 金田先輩が僕に聞いた。僕はトイレの床に倒れている坂田を 見た。坂田は気絶しているわけではなかった。ゲホゲホと 水を吐いている坂田を見て、僕は 「坂田は土下座しないの?」 と言った。 (続く)
2012年03月31日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕は痛くて、しばらく立ち上がれなかった。泣きながらお腹を 押さえて、地面にうずくまっていた。胃と腸が潰されたように 痛い。大腿骨も骨折してないか心配なくらい痛かった。最初、 坂田は大腸と小腸の上にバランスをとりながら立っていたが、 竹内が乗る時に一歩前につめて、胃と小腸の上に乗り、 竹内はへそをはさんで大腸の上に立った。坂田が肋骨を 避けたおかげで骨は折れなかったけれど、3人合わせて 150キロ近くもあるから、病院に行ったほうがいいかもしれない と思った。とりあえず、保健室に行こうかと考えながら、 地面に倒れていると、金田先輩が現れて、 「麻里緒、大丈夫か?」 と、僕に声をかけた。 「ひっでぇことするな。常磐に頼んで、シメてやろうか?」 金田先輩は少し怒った顔で言った。坂田に苛められないように 加藤君と伊藤君にくっついているのが精一杯だった僕が 坂田に復讐できるなんて、今まで考えた事もなかった。 思いがけない金田先輩の提案を僕は有難く受け入れた。 翌日、僕らは昼休みに坂田たち3人をトイレに呼び出した。 金田先輩の企てた計画はこうだった。まず、加藤君が坂田に 話があるからと言って、誰の邪魔も入らないトイレで3対3で 話をしようとトイレまで誘き出す。麻里緒を苛めないでくれと 真剣な顔で言えば、坂田はきっと油断する。向こうもあれだけ のことをして、加藤君が何も言って来ないわけがないと 思ってるから、喧嘩にならなさそうな雰囲気なら、警戒しないで トイレまでついてくるに違いない。そこで、常磐先輩と金田先輩は トイレの中で待ち伏せするという計画だった。案の定、坂田は ひっかかった。トイレの扉を開けた瞬間、凍りついた顔をした 坂田の背中を加藤君は思い切り蹴り飛ばした。脅える竹内と 一之木も加藤君と伊藤君は無理やりトイレに引きずり込んだ。 トイレの床に倒れ込んだ坂田の胸ぐらを常磐先輩は掴んで、 こう言った。 「よくも麻里緒を踏んづけてくれたな。俺の舎弟に手ぇ出したら どうなるか思い知らせてやる!」 (続く)
2012年03月30日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「麻里緒のくせに生意気だぞ!」 坂田に蹴り飛ばされて、僕は地べたに倒れ込んだ。 「俺より100番も順位が上だったからって威張んなよ!」 一之木が僕を蹴って言った。すると、竹内が 「おいっ!俺ら二人とも130番以下だってバレんだろ。」 と、一之木に言った。坂田にいつもくっついている二人は 小学生の頃から出来が悪かったけど、中学になって一段と 成績が下がったようだった。坂田は昔から中の下くらいの 成績だったから、100番以内に入れて、内心ホッとしていた のだろう。でなければ、自分から学年順位を言うはずがない。 3人は僕を取り囲むようにして何度も蹴った。 「ホモのくせに生意気だぞ!ホモは社会のゴミだ!おまえ みたいな奴はこうしてやる!」 坂田がゴミ箱を僕の頭にかぶせた。僕の顔は鼻かんだ ティッシュや掃除の時にちりとりで集めた床のゴミとかに 埋もれてしまって、僕はゴミ箱の中で泣きそうになった。 「ハハハ・・・ざまぁみろ!いい気味だ!」 坂田は大笑いして僕を罵り、僕の腹を踏みつけた。すると、 ぎゅうっと押し潰されるような激痛が腹部に走った。坂田が 僕の腹の上に両足で乗っかったのだった。 「うあっ!ううっ!い、痛い!」 僕は坂田に腹の上に立たれて、呻き声をあげた。 「すみませんって10回言えよ。言わないと、こうだぞ!」 僕の両足の太ももに一之木が乗っかって立った。 「ううっ!あ、足が潰れる!い、痛い!やめて!」 「早く謝れよ!でないと、もう一人追加だ!」 僕の下腹に竹内が乗っかって立った。 「うぎゃぁぁ!」 と僕は悲鳴を上げた。自分よりも大きな3人に身体の上に 立たれて、僕は内臓が潰れた気がした。 「すみません。すみません。すみません。すみません。」 僕は泣きながら、すみませんと言った。 「おいおい。すみませんって10回言えって言ったのに、4回 しか言ってないぞ。おまえは数も数えられないバカなのか?」 坂田たちが僕の身体から降りてから意地悪く言った。 僕はゴミ箱から這い出て、すみませんと10回言った。 「二度と生意気な口きくんじゃねぇぞ!」 坂田たちは捨て台詞を吐いて、笑いながら去って行った。 (続く)
2012年03月28日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 中間テストの結果は140人中31番だった。上位2割に 入っていなくて、僕が落ち込んでいると、加藤君と伊藤君が 何番か聞いてきた。 「俺、26番だったけど、麻里緒は何番だった?」 「31番。」 「ふ~ん。そっか。ま、次、がんばれよ。」 伊藤君は何気に頭が良かった。そして、笑顔で励ましてくれた。 「俺なんか102番だったんだぜ。なんで二人ともそんなに 頭が良いんだよ。」 加藤君はバカだった。 「加藤も加藤なりに頑張ったじゃないか。金曜日も麻里緒と 一緒に勉強したんだろ?次はきっと100番以内に入れるよ。」 伊藤君は優しく加藤君を慰めたつもりだったけど、金曜日は Hだけして、勉強しなかったから、加藤君は更に落ち込んで しまった。僕たちがほうきを片手にため息をついていると、 「なんだ、おまえら。ボーっとしてないで掃除しろよ。」 と、廊下を通りがかった生活指導の体育の先生に注意された。 「ケッ。誰が掃除なんかしてられっかよ。」 先生が通り過ぎてから、加藤君が小声で悪態をついた。 「ま、そう言わずに、さっさと掃除終わらせようぜ。」 加藤君の肩をポンポンッと叩いて伊藤君が言った。 「僕、ゴミ捨ててくるよ。」 僕はゴミ箱を持って、教室を出た。伊藤君は加藤君と 友達になったのが不思議なくらい真面目で良い子だった。 校舎裏のゴミ捨て場の前まで来ると、坂田たちがいた。 僕はしまった!と思った。いつもは伊藤君と二人でゴミ捨てに 行くのに、サボってて掃除が遅くなったから、つい僕一人で 来てしまったけど、坂田たちと会うくらいなら、掃除の時間に 間に合わないほうがよっぽどマシだった。 「なんだよ。麻里緒。珍しく一人か?」 坂田がニヤッと笑って、僕に話しかけた。 「中間テスト、何番だった?小学校の時は良い点ばっか 取ってたけど、今回は悪かったんじゃないのか?おまえ、 小学校の時は神崎にテスト問題教えてもらってただろ?」 いいがかりだった。確かにテスト問題に酷似した練習問題の プリントを僕の為だけに先生は作ってくれたり、どことどこは テストまでにちゃんと覚えてきなさいと僕に教えてくれたり したけど、テスト問題を見せてくれたことは一度もなかった。 「その顔は相当、悪かったみたいだな。何番だったか言えよ。」 ニヤニヤして聞いてくる坂田に勇気を出して僕はこう言った。 「教えてくれたら、教えてやるよ。でも、どうせ坂田君たちは 3人とも100番以内に入ってないだろうけどね。」 「なんだと!馬鹿にするな。俺は95番だぞ!」 「僕は31番だったよ。」 勝った!っと、思ったのも束の間、僕は坂田にゴミ箱を ぶつけられた。 (続く)
2012年03月27日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「あっ、ん。あっ。」 加藤君が僕の胸を舐め始めてから何分経ったんだろう。 最初はくすぐったかったけど、下半身を握りしめられている うちに気持ち良くなった。僕は全裸にスクールソックスだけの 姿でよがり声をあげていた。先生も何故か靴下だけ残して、 僕の服を脱がせたり、わざわざ体操服を着せてみたりと、 訳の分からないところがあったけど、加藤君も先生と同じ 趣味なのだろうか・・・まさか中一でマニアックな趣味はないと 思うから、脱がし忘れただけかもしれないけど・・・ 「麻里緒。もう入れていい?」 加藤君が聞いてきた。 「ダメ。まだ入れないで。舐めてから。」 僕は下半身も舐めて欲しくて、加藤君に言った。すると、 加藤君は僕の足をV字型に大きく開かせたかと思うと、 僕のお尻を舐めた。 「や、ち、違っ。あっ、あん。」 いきなり蕾に舌を入れられて、僕は焦った。先生でも 滅多にしてくれなかったことを加藤君はやり始めたのだ。 加藤君はきっと知識が半端で、普通は入口だけで中まで 舐めないのに、舐めてと言われたら、舌を奥深くまで 差し込んで舐めるものだと勘違いしている。しかも、僕は 前を舐めてと言ったのに後ろを舐められて、それだけでも 先生とは手順が違って焦ったのに、サプライズなタイミングで 内壁を舐めまわされて、僕はとてつもなく感じてしまった。 「あっ、あ、あ、ああ~」 僕は数分間、悶え続けた。加藤君は胸の時もそうだけど、 同じことを何分も続ける。テクがないから、余計にひたすら 舐め続けるのだが、どこでどう知識を仕入れてきたのか 知らないけど、内壁を5分以上舐めるなんて凄過ぎる。 僕の身体はトロトロに蕩けて、前を触られてないのに、 絶頂に達してしまった。 「あっ、イク、あ、ああ~」 僕が放つと、慌てて口を離した加藤君の顔に少しかかって しまった。頬についたものを拭っている加藤君に僕は謝った。 「あっ、ごめん。」 「いいよ。それより入れていい?」 加藤君が僕の返事も待たずに入って来た。ローションを 使ってないのに不思議と痛くなかった。先生とはサイズが 違うから痛くないのかなって僕が思っていたら、 「うぅ。気持ちいい。麻里緒。もう、イっていい?」 と加藤君が腰を動かしながら聞いてきた。加藤君はやっぱり 2分しかもたなかった。 (続く)
2012年03月24日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕は4Pした後、加藤君と仲直りした。誰も僕の心の中は 覗けないのか、加藤君の恋人の地位に僕はまた納まった。 僕は加藤君の恋人で伊藤君の友達で常磐先輩と金田先輩の ペットになった。 「中間テスト近いだろ。勉強しようぜ。今から俺の家に来いよ。」 学校の帰り道に加藤君が言った。今日は金曜日で月曜日から 中間テストだった。常磐先輩は毎週すると言ったのに、 不思議とあれから何も言ってこなかった。僕は今日くらいに また呼び出されるのかと思ってたけど違っていた。この1週間 常磐先輩は僕が加藤君と一緒にいるのを見ても加藤君にだけ 話しかけ、僕の事を無視し続けた。 「うん。いいよ。加藤君に勉強教えてあげるよ。」 と、僕が言うと、伊藤君は何か思い出したように言った。 「麻里緒は頭が良いからな。小6の時の成績は4と5ばっか だったんだぜ。」 「すっげぇ!そんなに頭良かったんだ!」 加藤君は驚いたように言った。僕は小6の時、8科目中5が 4つと4が4つだった。でも、それは僕が2年間も先生の家に 通って、勉強を教えてもらっていたからで、本来の実力では なかった。僕は4年生までは5が1つもなかった。5年生から 急に成績が上がったのは先生のおかげだった。 「麻里緒に教えてもらいなよ。俺はちょっと・・・今日は 遠慮しとくから。」 伊藤君はそう言うと、笑顔で帰って行った。僕は伊藤君と 一緒に勉強したかったのに残念だった。加藤君の家に着くと、 すぐに加藤君は僕にキスしてきた。 「あっ、ちょっと待って。勉強するんじゃなかったの?」 キスの後、押し倒そうとした加藤君に僕は慌てた。 「勉強するけどさ。その前にやろうぜ。」 加藤君は僕をベッドに連れて行って、服を脱がせ始めた。 僕は呆れて、ものが言えなかった。どうせやるんなら、 勉強を口実に家に誘わなくてもストレートにやりたいって 最初から言えば良いのに、僕は加藤君のそういうところが 嫌いで面倒臭かった。 (続く)
2012年03月23日
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オリジナルBL小説「落日」(第3部)をフリーページに UPしました。皆様、拙い小説ではございますが、 もし、よろしければ、読んでやってくださいませ。 「落日」は全10部に分けて書く予定でして、 物語の起承転結の起にあたるのが第1部と第2部で、 承にあたるのが第3部~第6部です。そして、 承にあたる部分をまた起承転結の4つに分けて、 第3部(起)第4部(承)第5部(転)第6部(結)とします。 転は第7部~第9部。結は第10部になる予定です。 各10話前後で全10部完成しますと、全100話に なりますから、1年がかりで書いて行くつもりです。 中二病全開の長編小説につきあって、フリーページの 挿絵を描いてくださるMARISSA様に感謝です。 私は二次創作小説を書きたくて、ブログを始めたので、 途中、二次創作小説を書くこともあると思いますが、 一応「落日」が完成するまではこちらに重点をおいて、 書いて行きたいと思います。 なにしろ、大学を卒業して以来、初めての十数年ぶりの オリジナルですから、書くのが遅くて大変です。 私はもともと遅筆で、昔から短編が得意だったので、 長編は苦手なのですが、同人誌や文芸部の文集と違って、 ブログは締切がないものですから、挑戦してみました。 文句も言わず、温かい目で見守っていてくださっている 皆様に感謝しています。
2012年03月08日
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BLの苦手な方は読まないでください。 第3部最終話です。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「太一。どうだった?良かったか?」 常磐先輩がまだパンツも穿いていない加藤君に感想を 聞いてきた。 「すごく良かった。でも、俺、イクの早くなかったか?」 加藤君は2分しか持たなかった事を少し気にしていた みたいだった。僕はクスッと笑って、加藤君をぼんやりと 眺めていると、加藤君は僕が満足していると勘違いしたのか、 ホッとしたような顔をして、僕に微笑み返した。 「とうとう太一も男になったんだな。」 常磐先輩に頭を撫でられて、加藤君は照れながら 子供のように言った。 「もう1回したい。2回目はもっと上手にできるような 気がするから。」 「分かった。でも次は金田の番だから。また来週しよう。 毎週しような。」 常磐先輩はジェットコースターに何度も乗りたがる子供を あやす親のような顔で加藤君に言った。加藤君はあんなに 怖がっていたのに、する前とは別人のように目を輝かせて 嬉しそうにしていた。僕が呆れた顔をしていると、 「バックから入れていい?」 と金田先輩が聞いてきた。僕は四つん這いになって、 金田先輩を受け入れた。 「あっ、あ、ああ~」 金田先輩のは加藤君のと同じくらい小さくて、痛みを 感じなかった。常磐先輩のは先生と同じ大きさだから、 ローションを使っても痛かった。入れた時にじっとしてて くれたから、今日は切れなかったけど、神社の時と 同じくらい激しかったら、切れてたと思う。金田先輩は ゆっくりと腰を動かして、僕のイイところを探っていた。 「俺の言った通りだろ。麻里緒は喜んで俺達のペットに なるって。太一が気に病むことは何もないんだ。太一は ずっと俺の言う通りにしてればいい。」 服を着た加藤君の肩を抱いて、常磐先輩は言った。 「太一は俺が守ってやる。太一の欲しいもの総てを 俺が与えてやる。だから、俺に一生ついてきてくれ。 誰を好きになってもいいから、俺から離れるな。」 愛の告白だった。加藤君は気付いていないようだけど、 常磐先輩は加藤君が好きなのだと思った。常磐先輩の冷たい 目は僕を蔑んでいるのではなく、僕を憎んでいたのだった。 「麻里緒、太一ばっか見んなよ。今は俺としてるんだぜ。」 金田先輩が僕の耳元で囁いた。金田先輩は僕が加藤君を 好きだと誤解したようだった。今日の僕は加藤君ばかり 見ていたから、加藤君の事を気にしていると思われても 不思議ではなかった。僕が今まで加藤君に抱いていた 嫌悪感が何だったのかが分かって、僕は人から愛されてる 幸せな人間を愛せるほどお人よしではないのだと分かって、 自分の心の醜さに目が離せなかったのだ。 「あっ、ああ。」 僕は金田先輩にうなじを吸われて声を上げた。僕は首が 弱かった。金田先輩は腰を動かしながら、僕の首に何度も キスをした。やがて金田先輩は僕のイイところを探り当てると 僕のお尻を掴んで、激しく腰を突き動かした。 「あっ。ああ。ああ~。あっ。ああっ。」 僕は加藤君を見つめたまま絶頂に達した。常磐先輩の 憎しみに満ちた視線を痛いほどに感じながら、闇の中に 僕は堕ちていったのだった。 (完)
2012年03月07日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「気持ち良さそうだな。そろそろ入れるか?」 ずっと黙って見ていた常磐先輩がおもむろにローションを 取り出して、まるで観察日記でもつけているような冷静な 口調で言った。冷たい感触が僕のお尻を伝ったかと思うと、 まだ慣らしていないそこに常磐先輩が入って来た。 「あっ。ああ、いっ、痛い!ああ、や、やめ、ああ~」 大人と同じくらい大きい常磐先輩のものが無理矢理、肉を 掻き分けるように入ってきて、痛みを感じると共に僕は また切れるのではないかという恐怖に怯えた。 「痛がってるじゃないか。やめてあげなよ。」 加藤君が僕を心配して常磐先輩に言った。 「何言ってんだ?見ろよ。太一。こいつが痛がってるように 見えるか?」 常磐先輩は僕の天を仰いだ先端を指でピンッと軽く弾いた。 「あっ。」 僕は痛みを感じながらも貫かれて感じている自分に恥ずかしさ を覚えた。常磐先輩は僕の足を大きく広げて、身体を深く 沈め、腰を動かし始めた。僕は嬌声をあげながら加藤君を 見ていた。加藤君は興奮していた。僕は加藤君が僕の事を 本気で好きなのか疑問に思った。僕を弄んだ先生でさえ、 僕が友達と手をつないだり他の先生に頭を撫でられたり しただけで嫉妬して怒っていたのに、加藤君は僕が男に 抱かれているのを見て興奮している。加藤君が暗い顔を していたのは僕が先輩に抱かれるのが嫌なんじゃなくて、 自分が穢れるのが嫌だったんじゃないかと僕は思った。 「太一もしたいのか?そうだ。こいつにしゃぶらせろよ。」 「うん。でも・・・」 常盤先輩に言われて、加藤君がもじもじしていると、 「こいつ下手だぜ。うっかり噛まれるかもしれないから、 やめとけよ。」 と金田先輩が言った。 「確かにそうだな。やりまくってるわりに何にも仕込まれてない 気もする。去年、俺達が玩具にしてた女とは随分、違うな。 あの女、酔っぱらって、まだ小学生の太一にキスしやがった。 それで、俺は怒って、金田と寝るように言ったら、あの女は 童貞が好きなのか、あっさり寝やがった。3P4P平気でする女 だったから、卒業するまで俺と金田の二人で穴にしてたけど、 中三のくせに中一の俺達と寝て喜んでるイカれた女だったよ。 先輩達にまわされ過ぎて、女の友達が一人もいなかったし、 高校もすぐ中退して、今じゃ風俗で働いてるらしいぜ。」 「そんな話、しなくっても・・・」 罰が悪そうに僕を気にしながら加藤君が言った。小6でキス したって自慢してたけど、彼女がいたわけではなかったのだ。 僕はフッと笑ってしまった。 「なんだ、こいつ白痴みたいな顔で笑ってるぜ。気持ち 悪いな。麻里緒もあの女と一緒で童貞が好きなのか?」 常磐先輩が僕を嘲り、腰を激しく突き動かした。僕は再び 嬌声をあげて、赤ん坊のように啼きながら絶頂に達した。 常磐先輩が僕の中に出すと、加藤君が僕の中に入ってきた。 加藤君はろくに動きもしないで2分くらい僕の中にいただけで 達してしまった。おずおずと身体を離した加藤君に僕は 白痴のように微笑みかけた。 (続く)
2012年03月06日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 常磐先輩に言われて僕は服を脱いだ。学生服を脱ぎながら 人数を2人から6人に増やしたのは先輩なのに、何でビッチ 扱いされるんだと心の中で思った。僕は納得いかないけど、 逆らったら何されるか分からないから、命令通り服を脱いで パンツ1枚になった。でも、常盤先輩は 「何、ボーっと突っ立ってんだ?さっさとパンツも脱げよ。」 と、意地悪く言った。加藤君は相変わらずお葬式のような 暗い顔をしていて、僕を助ける気配は一向になかった。僕は 諦めてパンツを脱いで全裸になった。でも、全裸はさすがに 恥ずかしくて、僕は前を手で隠した。 「ビッチのくせに恥ずかしいのか?手どけて全部見せろよ。 ついでに座って、足広げろよ。」 と常磐先輩がニヤッと笑って言った。僕は足を開くなんて 絶対に嫌だと思ったけど、仕方なく両足を広げた。すると、 金田先輩が目を輝かせて僕を見て、 「うわーっ。すげぇ。麻里緒ってホント何でもするんだな。」 と言った。僕は顔を真っ赤にして、少しだけ潤んだ瞳で 金田先輩を見つめると、金田先輩は僕に手を伸ばし、そっと 僕の中心に触れた。 「あ、あん。あっ。」 金田先輩に愛撫されて、僕は声をあげた。常磐先輩の 冷たい視線に犯されながら、僕は加藤君がだんだんと 興奮しているのを感じた。三人とも学ランを脱いだだけで、 全裸の僕を見つめていた。僕は更に足を広げて、喘ぎ声で 加藤君を誘った。加藤君とはしたくないと思っていたのに、 純情そうにしている加藤君を見ていたら、何故か落として みたくなったのだ。穢れを知らない子供のように恐がっていた 加藤君を見て、僕は憎たらしいと思った。自分だけ崖の上の 安全な場所にいて、崖の下で這いつくばってる僕を見下ろして 眺めている加藤君を崖から引きずり下ろしたいと僕は思った。 僕は金田先輩に身体の中心を握られて、上下に擦られるたび 声をあげている。僕が口を開けて誘うような目で加藤君を 見ていると、まるで餌に引き寄せられる小鳥のように加藤君は 顔を近づけてきた。危険を承知で躊躇いながら餌を食べて 罠にかかる小鳥のように加藤君は僕の唇にキスをした。 僕は舌を絡めて加藤君を捕まえた。貪るようにキスをして 加藤君の舌を味わった。加藤君に押し倒されたふりをして 僕は床に背中をつけた。ゆっくりと寝転びながら加藤君の 背中に左手をまわし、片手で抱きしめた。 「胸、舐めてやりなよ。」 金田先輩が加藤君に言った。加藤君は僕の胸に吸い付いて 左の胸の突起を舐めまわした。加藤君の愛撫は下手過ぎて、 くすぐったかった。でも、僕は笑うのを堪えて我慢した。 金田先輩だったら、きっと上手に舐めてくれるのにと思って 見つめると、金田先輩が手に僕を握りしめたまま右の胸を 吸ってくれた。金田先輩は先生と同じくらい上手だった。 僕は二人同時に左右の胸を吸われる初めての感覚に 戸惑いながらも感じてしまった。 (続く)
2012年03月05日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 木曜日、加藤君は学校に来た。なんだかどんよりしてたけど、 僕とも喋ってくれた。僕は加藤君とまた友達に戻れたと 思ったのに、放課後、三人で学校から帰る途中、常磐先輩と 金田先輩がコンビニの前で待ち伏せしていた。 「太一、麻里緒にちゃんと話したか?」 「・・・ごめん。貴博君。俺、やっぱり・・・」 「なんだまだ話してないのか?しょうがないな。麻里緒、今から 俺ん家に来いよ。あ、伊藤はついてくるな。このまま帰れ。」 常磐先輩は機嫌の良さそうな顔をしていたけど、加藤君の 暗い顔を見ていると、僕は嫌な予感がしてきた。伊藤君は 僕には何も言わず、先輩達にお辞儀をして帰って行った。 僕は伊藤君も先輩が恐いのだろうと思った。僕も常磐先輩は 凄く恐い。何を考えているのかよく分からないし、一度 捕まってしまったら最後、逃げられないという恐ろしさがある。 僕は逆らう気力もなく、大人しく常磐先輩について行った。 常磐先輩の家は15階建ての高級マンションの最上階だった。 「俺の母親は組長の愛人なんだ。駅前のキャバクラの経営が 忙しくて、毎日午後2時か3時から朝まで家にいないから、 何してても何も言われないんだ。」 常磐先輩は僕たちを自分の部屋に招き入れた後、ニヤッと 笑って言った。 「麻里緒は知らないと思うから教えてやるけど、俺は将来、 常磐組を継ぐことになる。本宅には本妻が産んだ三姉妹が いて、そいつらに婿養子を取るって手もあるけど、親父は 俺に跡を継がせたがってるから、俺は高校を卒業したら、 構成員になって、親父が元気なうちに跡目を継ぐつもりだ。 太一も幹部候補として、高校を卒業したら組員になってもらう。 俺と太一は一心同体だからな。太一が生まれた時からずっと 一緒だ。俺達は姉弟よりも強い絆で結ばれている義兄弟だ。 大事な弟が泣いていたら、兄としてどうするか分かるか? 泣かせた奴をシメるのは当たり前だろ?じゃ、弟が性悪な ビッチに惚れたらどうする?もちろん、やめとけって言うさ。 でも、それでも忘れられないって泣いたらどうする?兄として ほっとけないだろ?ま、太一もそろそろ童貞捨てても良い 年頃だからな。てっとりばやく捕まえて、穴にしたら良いかと 思ってな。それで、二人っきりでまた弄ばれて捨てられたら、 太一が可哀相だろう?何しろ相手は6人もの男と寝てる 超ビッチだ。太一が傷つかないように見張っててやらないと なって考えたんだ。麻里緒。ビッチっておまえのことだよ。 分かったら、さっさと服を脱げ。」 (続く)
2012年02月20日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「アハハハ・・・!パンツも脱がせてやろうか?」 坂田が笑いながら、僕に言った。 「嫌だ!やめて!」 僕は運動場で下半身を露出させられるのかと思ったら、 泣けてきた。坂田が目を輝かせながら、僕のパンツを 脱がそうとしたその時、 「コラ!そこで何をしている!なんてことをするんだ!」 と、体育の先生が坂田の首根っこを掴まえて怒鳴った。 他にも3人の先生が駆けつけて、逃げようとした一之木と 竹内を捕まえた。 「大丈夫か?ケガはないか?」 体育の先生は僕のズボンを解きながら、聞いてきた。 「はい。」 僕はケガはしていなかったので、頷いて返事をした。 体育の先生はゴリラにそっくりで、生活指導もしてるせいか 口うるさくて、生徒からは嫌われていた。 「確かお前は一年の安部だったな。苛められていたのか。 早くズボンを穿きなさい。あいつらは職員室に連れてって 厳重注意しとくから。さぁ、早く涙を拭きなさい。それから、 何かあったら、いつでも先生に言いなさい。分かったな?」 「はい。ありがとうございました。」 僕はズボンを穿いた後、お礼を言って、家に帰った。 翌日、僕が学校に行くと、教室に伊藤君がいて、 「オッス!」 と声をかけてくれた。 「お、おはよう。伊藤君。加藤君は・・・」 「加藤は休みだよ。でも、明日はちゃんと学校来るってさ。」 「そう。」 僕はホッとした。 「昨日はごめんな。俺、月曜日に常磐先輩にいろいろと 言われてさ。昨日も加藤と一緒にいたら、またあれこれ 言われたんだけどさ。加藤は悩んじゃってるみたいでさ。 あいつあれで繊細なところがあるからな。あ、そうそう、 それから、昨日、担任がカバン届けに家に来て、なんで 学校を飛び出して帰ったのかってしつこく聞かれて困ったよ。 麻里緒のこと言う訳にはいかないしさ。黙ってたら、坂田に 苛められたのかって聞かれて、面倒臭かったからそういう事に しといたよ。加藤も同じこと聞かれて、そうしといたって。床に 落ちた弁当食えって苛めてたのをクラスの皆が見てたから、 坂田が悪の親玉みたいに先生は思ったのかな。」 カバンも持たずに泣きながら帰ったのだから、ただのサボり じゃないって誰でも気付く上に、僕が運動場を逃げ回って ズボンを脱がされた事件を考えたら、坂田から逃げたって 思うのが普通かな。何はともあれ伊藤君が怒られなくて 良かったって僕は思った。 (続く)
2012年02月15日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 教室に戻ると、僕は加藤君に謝った。 「僕が全部悪かったです。すみませんでした。許して下さい。」 僕は深々と頭を下げて、先輩に言われた通りに謝った。 でも、加藤君は 「何で謝るんだよ!」 と言って、泣きながら教室を飛び出してしまった。僕が 唖然として、その場に立ち尽くしていると、伊藤君が物凄く 何か言いたそうな目で僕を見た後、何も言わずに加藤君を 追いかけて教室を出て行ってしまった。また一人残された 僕は喉の奥に粘つく青臭い味を消し去れないまま午後の 授業を受けた。 結局、加藤君と伊藤君は戻って来なかった。授業後、 坂田たちが寄ってきて、こう言った。 「お前、昼休みに2年の先輩と何してたんだ?」 僕は無視して靴を履き替えて、帰ろうとしたけど、坂田は 「神崎、加藤の次はあの先輩か?次から次へとよくもまあ 乗り換えるな。加藤のやつ、泣きながら教室飛び出して、 とうとうエスケープしちまったな。それにしても、加藤を ふったって話は本当か?加藤ともやってたのか?」 僕はイラッとして、坂田を横目で睨みながら 「やってないよ。」 と言ってしまった。すると坂田は 「なんだ。その言い方は!麻里緒のくせに生意気だぞ! そうだ。ホモはケツ使うんだってな。昼休みにやらしいこと してないか確かめてやる。ズボン脱げよ!」 と言って、僕のズボンを脱がそうと手を伸ばした。僕は 必死に抵抗して、捕まる前に一目散に逃げた。運動場を 駆け抜けて、追いかけてくる坂田たちから逃げ惑った挙句、 運動場の端の鉄棒の前で捕まってしまった。 「コラァ!手間かけさせやがって!」 坂田が僕の背中を蹴った。僕が地面に倒れ込むと、坂田は 馬乗りになり、僕の頭を掴んで髪の毛をひっぱった。 「い、痛い!やだ!やめて!」 僕は必死でもがいたけど、竹内と一之木が二人がかりで 僕のズボンを無理やり脱がせ、坂田に渡してしまった。 坂田は僕の背中の上に乗ったまま 「逆らう奴は見せしめに縛ってやる。」 と言って、僕の両腕をズボンで縛り、僕から降りると、今度は 腕を縛ったズボンを引っ張り、鉄棒にズボンを結び付けた。 僕は運動場の鉄棒に縛り付けられてしまったのだった。 (続く)
2012年02月12日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「そのふてぶてしいまでの無表情、なんとかならないのか?」 常磐先輩は僕の顔が気に入らないといった感じで言ってきた。 「お前、本当に反省してるのか?本当は反省してないだろ? やっぱ、今日もまわすか?」 常磐先輩がニヤッと笑った。まわすという言葉に反応して、 僕の顔色が変わったからだった。土下座して許して貰ったら、 加藤君とまたお弁当が食べれて、坂田に苛められなくなると 思ったのに、話が違うと思った。 「へへへ・・・俺達にもさせてくれんの?」 神社にいなかった2人がニヤニヤ笑って聞いてきた。 「どうするかな。」 常磐先輩が楽しそうに僕の顔を見ながら言った。すると、 「おいおい。今日はまわさないって言ってたじゃないか。 それに、こいつ大人しく従っただろ?今日のところは このくらいで勘弁してやれよ。」 と、金田先輩は僕を庇ってくれた。でも、常磐先輩は 「土下座だけじゃ本当に従順なのか分からないぜ。証拠を 見せてもらわないとな。俺はこいつを見てると、飼い主の手を 平気で噛むような犬に見えるぜ。そうだ。こいつが良い犬か 悪い犬か見分ける方法がある。しゃぶらせろよ。それで 噛まなかったら、今日のところは合格にしておいてやるぜ。」 と言った。 「分かったよ。」 金田先輩はそう返事をすると、僕においでと手招きした。僕は 本当に犬になったような気分で金田先輩の足元に移動して、 まるでおすわりしている犬のように無言でじーっと金田先輩の 股間を見た。 「どうした?早くご奉仕させろよ。」 常磐先輩がヤジを飛ばし、皆がドッと笑った。金田先輩が ズボンのジッパーを下し、自ら取り出すと、小さいものが 僕の目の前に出てきた。金田先輩は僕とあまり大きさが 変わらなかった。僕は通りで痛くない筈だと思った。 「舐めろ。」 と命令されて、僕は金田先輩のものを口に含んだ。口の中で 金田先輩はあっという間に大きくなったけど、小さい時が 小さいだけに先生のよりもすっぽりと口の中に納まって、 ご奉仕しやすかった。でも、僕は舐めるのが上手じゃなくて、 先生も咥えてるだけで良いって言って、あんまり舐め方を 指導しなかったから、どう舐めたら相手をイかせられるのかが 分からなかった。3分くらい舐めていると、 「下手だな。もっと舌使えよ。」 と金田先輩に言われた。僕はアイスキャンディーの棒を 舐めるみたいに一生懸命ペロペロと舐めた。すると、 金田先輩はじれったそうな顔をして、 「そこはもういいって。早く。あ。もう、分かんないかな。 いいや。自分で動くから。」 と言って、腰を動かし始めた。僕は金田先輩に口を犯され ながら、先生にもこんなことをされた事があったなって ぼんやりと思った。 「あ、イク。飲めよ。」 金田先輩が僕の口の中に欲望を吐き出した。僕は一瞬、 むせそうになったけど、なんとか口いっぱいに広がる 体液を飲み込む事ができた。僕が口を手で押さえながら、 金田先輩を見ると、 「ホントに飲んだのか?」 と、聞かれた。飲めと言われたから飲んだのに、なんだか 心配そうに聞かれて、僕は不思議だった。先生だったら、 満足そうに笑って褒めてくれるのに・・・ 「よく飲んだな。普通、そんなの飲まねぇぞ。」 見物していた先輩達がゲラゲラ笑った。 「合格だ。約束通りペットにしてやる。気に入ったぜ。」 常磐先輩は先生と同じ眼差しで満足そうに僕に言った。 (続く)
2012年02月10日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「お取込み中、悪いけどよ。常磐が安部麻里緒を連れて来い って言うからさ。ちょっと借りるぜ。」 金田先輩はそう言うと、教室に入ってきて、僕の腕を掴んで 立たせ、有無を言わさず、僕を廊下に連れ出した。 「お前さ。苛められてんの?」 廊下を歩いてる時に金田先輩が僕の顔を覗き込むようにして 聞いてきた。僕はさっき坂田に落ちた物を食えって言われて、 伊藤君に助けを求めたのを見られたと思うと恥ずかしくなった。 「苛められっ子のくせに、よくもまぁ太一をフったもんだな。 普通、太一の女になってたほうが得だと思わないのか?」 「・・・」 「言っとくけど、常磐には逆らうな。あいつに逆らったら最後 学校に来られなくなると思えよ。今からお前を体育倉庫に 連れて行く。そこで常磐がお前に何か命令するけど、絶対に 逆らうな。舎弟か奴隷か何かになれって言われて、忠誠を 誓わされると思うけど、何でも従えよ。奴隷ったって本当の 奴隷じゃない。ただのパシリさ。とにかく常磐の配下に おさまったら、他の奴からは苛められなくなるからな。 ちょっとばかりプライド捨てて頭を下げたら、全て丸くおさまる と思って、我慢しろよ。」 金田先輩は薄笑いを浮かべながら僕に諭すように言った。 運動場の端にある体育倉庫に着くと、神社で僕を襲った 先輩の他に2人もいた。僕は6人にまわされたらどうしようと 心配しながら体育倉庫に入った。僕が入ると、金田先輩は 「連れてきたぜ。」 と言って、体育倉庫の扉を閉めた。 「昨日は何で学校休んだんだ?まさかと思うが、親には 言ってないだろうな。」 常磐先輩が凄みのある顔をして聞いてきた。 「はい。言ってないです。」 僕は怖くなって、とても小さな声で答えた。常磐先輩は そんな僕にイラッとしたのか、 「まずは土下座だな。」 と言った。すると、神社で見張り役をした下っ端っぽい先輩が 僕の足を後ろから蹴って、 「さっさと土下座しろ!」 と言った。僕は両手をついて土下座した。深々と頭を下げて、 じっとしていると、常磐先輩が 「つまんねぇ奴だな。無表情で土下座しやがる。」 と言った。僕がせっかく土下座したのに、常磐先輩は不満 そうだった。もっと僕が嫌がる姿を見たかったのかもしれない。 僕はたかが土下座くらいで全て丸くおさまるというのなら、 いくらでも土下座する。坂田に土下座したくないのは、また 奴隷あつかいされて、苛められるのが嫌だったからだ。 金田先輩が言っていた事が本当なら、逆らわないほうが 身の為だと僕は思った。でも、その小賢しい考えを見透かした ように常磐先輩はこう言った。 「金田に入れ知恵されたのか。」 「いや、俺は、何も言ってないよ。」 金田先輩がヘラヘラ笑いながら、即答で嘘をついた。 「どうだかな。金田は随分と気に入ったようだったからな。 ところで、お前、太一に謝ったのか?謝ってないなら謝れよ。 太一がお前を許したら、ペットにしてやるよ。その代り、 太一を二度と泣かすんじゃねぇぞ。分かったか?」 「はい。」 僕は金田先輩の忠告を思い出して、従順に返事をした。 心の中では謝れと言われても理不尽だと思っていたし、 ペットになりたいとも思わなかったけど、逆らえば、きっと 酷い事をされるに違いないし、この場を上手くやり過ごせば、 また加藤君とも仲直りできると思って、僕はしたたかに 返事をしたのだった。 (続く)
2012年02月09日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕には伊藤君と加藤君しか友達がいなかったから、二人が いないと、誰も僕と喋ってくれなかった。お昼に僕が一人で お弁当を食べていると、坂田達が寄って来た。 「一人で弁当食ってる奴がいるぞ~。ハハハ・・・暗い顔して どうしたんだ?麻里緒、加藤にふられたのか?」 坂田が俯いた僕の顔を覗き込んだ。 「相変わらず冷凍食品詰め込んだだけって感じの食ってんな。 とりの唐揚げとコロッケだけかよ。随分と手抜きな弁当だな。 もっとよく見せろよ。」 坂田はそう言うと、僕から弁当箱を取り上げた。 「返して!」 僕が立ち上がって手を伸ばすと、坂田はニヤッと笑って、 弁当箱から手を放した。僕の弁当は無残にも教室の床に ぶちまかれてしまった。 「あ~あ。手が滑っちまった。」 わざとらしく坂田が言うと、竹内と一之木が大笑いした。 「拾えよ。」 僕は坂田に言われて、怒りに震えながら、仕方なく、床に 落ちた弁当のおかずやご飯を手で拾って、弁当箱に入れた。 すると、今度は 「食え。食べ物は粗末にしちゃいけないんだぜ。食えよ。」 と言われた。さすがに僕でも床に落ちたものは汚くて 食べられなかった。しかも、食べずに持って帰るつもりで、 拾い集めたから、弁当箱の中身はぐちゃぐちゃだった。 「どうした?食わないのか?食わないと、もったいない お化けが出るぞ。お化けの代わりに俺達がお仕置きして やろうか?早くしろ!」 僕は竹内と一之木に後ろから背中を蹴られて、跪くように 床に倒れ込んだ。坂田は 「食え!」 と言って、嫌がる僕の頭を押さえつけて、弁当箱に顔を 押し付けようとした。僕は小4の時に何度も坂田に給食の おかずに消しゴムのカスを入れられたり、落としたものを 食べるように強要されたりして、その度に泣きながら食べた 事を思い出した。坂田は小4の時のように僕を苛めるつもりに 違いなかった。僕は再びあの地獄を味わうのは嫌だった。 僕は力の限り抵抗して、大きな声で叫んだ。 「い、嫌だ!誰が食べるもんか!い、伊藤君!助けて!」 僕は遠くの席で加藤君とお弁当を食べている伊藤君に 助けを求めた。でも、その時、教室の扉がガラガラっと開いて、 「お~い!安部麻里緒っているかぁ?」 という声がした。金曜日に神社の林で僕を襲った常盤先輩の 仲間の金田という二年の先輩だった。 (続く)
2012年01月22日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許し下さいませ。m(_ _)m 月曜日、僕は学校を休んだ。火曜日も休もうと思ったのに、 母さんに叩き起こされて、 「学校に行くか病院に行くかどっちかにしなさい。」 と言われ、僕はしぶしぶ学校に行った。結局、金曜日は 4人にまわされた。見張りの人も後から来て、僕を犯した。 終わった後、僕はしばらく放心状態だったけど、8歳の時と 同じで、誰も助けに来てくれなかったから、僕は独りで パンツとズボンを穿いて、歩いて家に帰った。トイレに行って、 お風呂に入って、血と男の体液がベッタリついたパンツは ゴミ箱に捨てた。僕は自分の部屋でお尻にオロナインを 塗って、夕食も食べずに寝た。夜になって、母さんが 「泥だらけの服が洗濯カゴに入ってたけど、どうしたの?」 と聞いてきたけど、僕は 「転んだ。」 と嘘をついた。僕は3日間ひたすらお尻にオロナインを塗って 傷を一人で治した。8歳の時と違って、僕の身体はもう 慣れているのか、初めてまわされたのに、それほど酷く 切れていなかった。2、3日で治る程度の傷で済んだ。僕が 学校を休みたがったのは加藤君に会いたくないからだった。 常磐先輩は僕が加藤君をふった仕返しだと言っていた。 学校に行っても、加藤君は僕と口を効いてくれないだろう。 色々考えると全てが嫌になって、月曜日は学校をサボった。 母さんは僕が苛められて学校に行きたくなくて仮病を使ってる と思ったのか、今日は強引に家から追い出されてしまった。 学校に着くと、加藤君は机に座っていて、伊藤君は加藤君の 隣に立っていた。僕は勇気を出して、伊藤君と加藤君に 「おはよう。」 と言った。しかし、 「お、おはよ。」 と伊藤君はひきつった笑顔で僕を見た。加藤君は僕から 目を逸らすと、何も言わずに廊下に出て行ってしまった。 すると、伊藤君は加藤君の後を追いかけて廊下に出て、 僕は独りぼっちになってしまった。 (続く)
2012年01月21日
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オリジナルBL小説「落日」(第1部)全23話 やっと完結いたしました。 この作品の主人公である麻里緒は美少年だけど、 人から好かれる性格ではありません。 麻里緒はいじめられっ子で痛い子ですけど、 本当は優しい子なんです。 でも、その優しさに誰も気づいてくれないのです。 不幸のどん底で生きている美少年を書いてみたくて、 私は「落日」を書きました。 フリーページの挿絵はMARISSA様に描いて頂きました。 いつも美しい挿絵を描いてくださるMARISSA様には 心から感謝しています。 「落日」(第1部)はフリーページの半角4万字の字数制限を 大幅に超え、半角5万字以上になってしまった為、 UP出来ず、前編後編の2ページに分けました。そこで、 第2部以降は最初から前編と後編に分けて書きます。 「落日」は起承転結を第1部~第4部の4つに分けて、 UPする予定でしたが、全部で8つに分ける事にしました。 予定は未定でどんどん延びてしまいましたし、 この調子だと1年がかりになるかもしれません。 もちろん、オリジナルだけで1年過ごす気はなく、途中、 二次創作小説も少しは書いて行くつもりです。 遅筆で申し訳ありませんが、温かい目で見守って、 お付き合い願えると、ありがたいと思いますので、 よろしくお願いします。
2012年01月16日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「うわぁ。血が出てる。俺、血って苦手なんだよね。」 「何、怖気づいてやがる。さっさとやれよ。金田。」 常磐先輩に金田と呼ばれた先輩は僕のお尻を見て、挿入を 躊躇っていたが、常磐先輩には逆らえないのか、ゆっくりと 僕の中に入って来た。 「あ、すげぇ。中、グチョグチョじゃん。女じゃなくても 濡れるんだな。」 痛がる僕とは対照的に気持ち良さそうな顔をして、 金田先輩は腰を動かし始めた。 「バ~カ。俺の出したやつがそいつの中に入ってるからで、 男が濡れるわけねぇだろ?おまえって本当のバカだな。」 常磐先輩が笑った。 「そっか。女みてぇな顔してても濡れねぇのか。でも、 胸は感じるかな。」 金田先輩はそう言うと、僕のシャツのボタンを外して、 胸を弄った。 「おい。痛めつけるのが目的だって忘れたのか?」 常磐先輩がムッとした顔で言った。 「でも、胸を摘まむと、こいつ、中が動くぜ。ほら。 少し立ってきた。」 さっきまで小さかった僕のものを金田先輩は握りしめ、 扱き始めた。前と後ろを同時に攻められて、僕は不覚にも 感じてしまった。痛みよりも勝る快楽の波にのまれて、 僕は絶頂に達した。 「うっ。こいつ、すげぇ締めつけるから、つられてイっちゃった。 あ~気持ち良かった。」 金田先輩が僕から離れると、常磐先輩は軽蔑したように 僕に言った。 「まわされて、イク奴なんて初めて見たぜ。この淫乱。お前は 好きでもない奴に抱かれて感じる最低な人間なんだな。 お前みたいな奴は太一に愛される資格はないぞ。そうだ。 これからは俺のペットにしてやるぜ。毎日、いろんな奴に 抱かせてやる。お前は男に抱かれながら、太一をふった事を 後悔して生きろ。死んだほうがマシだと思うくらいの地獄を 見せてやるぜ。」 残酷に笑う常磐先輩は僕を奈落の底へ突き落す為に現れた 地獄の番人のようだった。いつしか太陽は地獄の業火で 空を真っ赤に染めていた。名前も顔も知らない常磐先輩の 取り巻きの人が喜んで僕のお尻に欲望を突き立てた。 さっきの人と違って、今度は下手糞だった。顔も今まで寝た 誰よりもブサイクだった。これは罰だ。生きている事への罰だ。 8歳で純潔を奪われた事に対する罰だ。指切りしたのに、 父さんをがっかりさせた罰だ。僕はもう誰からも愛される 資格がないんだ。僕は涙を流して後悔した。落ちていく 太陽と共に僕は地獄へと堕ちて行った。地獄の扉を開いた 常磐先輩は死に逝く僕を見送るように笑っていた。 (完)
2012年01月15日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 激痛が僕の身体を引き裂いた。僕の身体は音を立てて 破れ、血が溢れた。常磐先輩はそれでもおかまいなしに 身体を挿入し、憎しみに満ちた瞳で僕を見下し、冷酷に 腰を動かした。僕は恐いと思った。殺されるような痛みを 味わうのは二度目だけど、愛のない暴行を受けたのは 初めてだった。一度目は、あの8歳の夏の日は愛があった。 本気で愛してくれた人だったから、僕は肛門を2針も縫う 大怪我をしたのに、許してあげたんだ。お兄さんの弁護士に 許してあげてって頼まれた時に100万円なんか貰わなくても 僕はお兄さんが刑務所に入るのは可哀相だと思った。僕に 優しかったお兄さんも僕の顔だけが好きだった先生も二人共 悪人じゃなかった。先生は苛められてる僕を助けてくれた。 僕の心の支えになってくれた。いつも優しく愛撫してくれて 僕の身体が傷つかないようにローションを使ってくれた。 走馬灯のように僕を愛してくれた人を想いながら、僕は意識が 遠退くのを感じた。 「寝るな!」 パシッと頬を打たれて、僕は気を失うタイミングを逃した。 残忍な常磐先輩の顔が僕をじっと見据えていた。 「ああ、よかった。死んだかと思ったぜ。」 僕を押さえつけていた一人が安堵したように言った。 「バカ。気絶しただけだろ?」 常磐先輩はフッと笑って言った。僕は痛みに耐えられず、 一瞬だけ気を失っていたらしい。さっき脳裏に浮かんだ 先生の顔は夢だったのだろうか・・・ 僕は気を失う事も許されず、先輩に犯された。僕の身体は 裂け、溢れる鮮血がローションの代わりとなって、ヌメヌメと 滑りを良くし、常磐先輩は僕の中で激しく腰を動かし続けた。 僕は内臓を抉られるような痛みを味わいながら、声にならない 叫びを上げ、一刻も早く終わってくれる事を願った。やがて、 常磐先輩が僕の中で果てると、次に、僕を押さえつけていた 先輩が僕にのしかかった。 (続く)
2012年01月14日
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BLの苦手な方は読まないで下さい。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m その時、突然、常磐先輩たちが現れた。 「テメェ!太一を泣かせやがったな!」 いきなり常磐先輩に顔を殴られた僕は吹っ飛び、地面に 倒れ込んだ。 「な、何するんですか?!」 伊藤君が僕を庇うように駆け寄り、僕と先輩の間に立った。 しかし、常磐先輩は 「どけ!」 と言って、伊藤君を殴った。伊藤君は僕同様に吹っ飛んで 地面に倒れてしまった。 「お前には関係ない。帰れ。」 常磐先輩は伊藤君に言った。 「で、でも・・・麻里緒は・・・」 伊藤君は殴られた右の頬を押さえながら、恐る恐る説明 しようとしたけど、常磐先輩は 「帰れって言ってんだろ!それとも、お前、ボコられてぇのか? つべこべ言わずにさっさと帰りやがれ!」 と言った。伊藤君はまだ何か言おうとしていたけど、 常磐先輩の取り巻き3人のうちの1人に胸ぐらを掴まれて 立たされ、無理やり追い払われてしまった。残された僕に 常磐先輩は 「太一をふったオトシマエはつけないとな。身の程知らずな テメェに礼儀ってものを教えてやるよ。それにしても、神社の 前にいるとはな。あの伊藤って奴もたらしこもうとしてたのか? 麻里緒は8歳から男銜えこんでるんだって?どうせ男なら 誰でも良いんだろ?好きじゃないけど抱かせてやるとか、 抱かないなら付き合っていても意味がないとか、太一に 言ったんだってな。太一は泣いてたよ。麻里緒の言ってる 意味がさっぱり分からないって。でも、ほら、あれだろ?要は 淫売なんだろ?太一の代わりに俺たちが遊んでやるよ。 神社の林の中でまわしてやる。男好きなテメェにはちょうど いいだろ?」 と言って、冷酷な笑みを浮かべて僕の腕を掴み、神社の中へ 引き摺り込もうとした。 「や、やめて下さい。い、嫌だ!」 僕は地面に這いつくばって、抵抗した。 「嫌だって?よくもそんな口が利けるな!ナイフでその口を 削ぎ落としてやろうか?」 常磐先輩がポケットからナイフを取り出して、脅してきた。 僕が恐くなって、目をぎゅっと瞑ると、後ろからハンカチで 口を押さえつけられ、3人がかりで身体を持ち上げられて、 僕は神社の裏の林の奥に連れ去られてしまった。無人神社は 参拝客もなく、ひっそりと広がる林には石でできたベンチが 所々あるのに、人影すら見えなかった。先輩たちは僕を 林の脇道に連れ込み、更に何もない空間に僕をドサッと 放り投げた。一瞬、悲鳴をあげて逃げようかと思ったら、 ハンカチを口に押し込められて、二人がかりで両手と身体を 押さえつけられた。3人のうちの1人は常磐先輩に見張りを 命じられ、林の向こう側にある公園から林の中に人が入って 来ないよう見張りに行った。常磐先輩はナイフで脅しながら 僕のズボンとパンツを脱がすと、僕の両足を持ち上げて、 僕の身体に欲望を突き立てた。 (続く)
2012年01月13日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m もう何も見えない状態になっていた僕は加藤君の家の前の 道で常磐先輩にぶつかってしまった。 「オイ!コラァ!誰にぶつかってると思ってんだ!」 常磐先輩の取り巻きの人たちが僕に威嚇してきた。 常磐先輩は恐い顔をして黙って僕を見下ろしていた。 僕は慌てて、 「すみません!」 と、お辞儀をして走り去った。僕はひたすら走って、 家の近くまで来ると、神社の前で伊藤君に会った。 伊藤君は心配そうな顔をして、 「麻里緒、どうしたんだ?」 と聞いてきた。 「僕、加藤君と指切りできなくて、別れようって言っちゃった。」 「なんだって?」 「だって一生ずっと傍にいてくれなんて言われても僕はそんな 約束できないよ。それに、僕の事を可愛い天使って言うんだ。 それって本当の僕を見てない証拠だと思うんだよね。」 「それは違うよ。」 「えっ?」 「加藤は生まれてからずっと中学に入るまで常磐先輩しか 仲の良い友達がいなかったんだ。金持ちなのをアピールして ジュースやお菓子をあげたり、ゲームを貸してあげたりして、 エサで釣るように友達を作っても、皆ヤクザの子だからって 腫れ物に触るみたいに接してくるから辛かったんだってさ。 4月に俺も加藤と指切りしたよ。中学3年間ずっと友達でいて くれって言われて・・・加藤は本気で麻里緒の事が好きで、 初めてできた恋人だから、少し舞い上がっていて・・・ 麻里緒には欲が出たんだろうな。確かに一生って言われたら 俺も指切りできなかったと思う。でも何故それで別れるんだ? 期間を短くしてもらうか先の事は分からないって言えば 良いだけだろ?」 「あっ、そっか。」 その手があった事にも気付かないなんて、僕はなんて馬鹿 なんだろうと思った。そして、僕は加藤君の気持ちを今まで 考えていなかった事を反省した。先生に捨てられたせいで 加藤君にも捨てられるような気がして、捨てられる前に 捨ててやれって思うなんて、馬鹿にもほどがある。僕が 傷ついたみたいに加藤君も傷ついたに違いない。僕が好き なのは伊藤君で加藤君じゃないけど、加藤君と一緒にいて、 嫌な事なんか一度もなかった。 「加藤に謝りに行こう。一緒について行ってやるから。」 「うん。」 僕は伊藤君に説得されて、加藤君に謝りに行く事にした。 (続く)
2012年01月12日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 僕は加藤君にこう言った。 「ごめん。指切りできない。」 「・・・。」 「僕、今はなんとなく加藤君と付き合っているだけで、 加藤君の事が好きかどうかも分からないのに、ずっと一緒に いるなんてできないよ。それに、僕、先生とは何度もHして たんだ。だから、加藤君が僕としたいなら、してもいいよ。 加藤君が僕の事を本気で好きって分かったから。指切り できない代わりに抱かせてあげる。」 僕は加藤君の誠意に応えなきゃと思って、正直に話した。 でも、加藤君は怪訝そうな顔をして、こう言った。 「な、何を言ってるんだ。意味わかんないよ。麻里緒は してもいいって言ってるのか?」 「うん。だって、加藤君は僕に優しいから・・・」 「でも、俺のことは好きじゃないんだろ?麻里緒は本当は 誰が好きなんだよ。正直に言えよ。」 「・・・。」 僕は何故か先生の顔が頭に浮かんできた。『麻里緒は 優しくしてくれる人なら誰でも良いんだ』って言った時の 先生の目と加藤君は同じ目で僕の事を見つめていた。 僕は取り返しのつかないことを言ってしまった気がして、 なんとかごまかさなきゃと思った。でも、僕はどうやって 取り繕えば良いのか分からなかった。できない約束は しないほうが良いって昔から母さんはいつも言っているし、 父さんの事を考えると、指切りはしないほうが良いと思う。 僕が正直に話したら、加藤君は怒り出したから、伊藤君が 好きだって事は言わないほうが良いと思う。何て言おうか 考えていると、 「もう、いい。・・・帰れ。」 と加藤君が言った。僕は先生に捨てられた時を思い出して、 加藤君に捨てられたくないと思った。それと同時に加藤君の 誠意に応える為に正直に話したのに何で捨てられるんだと 思ったら、腹が立ってきた。 「何だよ。何で帰れって言うんだよ!やらせてやるって 言ったのに・・・何でだよ!」 加藤君が驚いた顔で僕を見た。 「加藤君は僕の事を全然わかってない。僕は天使なんか じゃないし、堕天使でもない。僕は人間だ!」 怒りの頂点に達したように僕は怒鳴った。加藤君は あんぐりと口を開けて、僕を見ていた。 「別れよう。加藤君が僕を抱かないっていうなら、これ以上 付き合っていても意味がないだろ。僕は加藤君のことなんか 全然好きじゃないんだからね!」 僕はそう言い放つと、逃げるようにして加藤君の部屋から 飛び出した。 「ちょ、ちょっと、待てよ!」 加藤君が後から追いかけてきた気がしたけど、僕は一度も 振り向かずに、階段を駆け下りて玄関から外に出た。 (続く)
2012年01月09日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 母さんは指切りしない人だった。小さい頃、やたらと僕と指切り したがったのは父さんだった。あれは僕がまだ幼稚園の頃、 赤ちゃんが生まれて大変だからって、母さんは公園に連れて 行ってくれなかった。僕が友達と公園で遊びたくて、一人で 公園に行った日の事だった。普通に無事に楽しく遊んで 帰ってきたのに、父さんは心配して、僕に公園に遊びに行くな と言った。母さんは次からは帰る時刻に迎えに行くからと 言ってくれたけど、父さんは僕が可愛いから誘拐されたら どうするんだと母さんと口論した。結局、公園に遊びに行く 事は許可してくれたけど、幾つかの約束を僕は父さんとする 事になった。門限は5時。知らない人にはついて行かない。 知らない人からお菓子をもらわない。知らない人に遊ぼう って言われても絶対に遊ばない事。あとはなんだっけ? たくさんあり過ぎて忘れた。でも、父さんは指切りしようって 言って、僕は指切りした。そして、父さんは僕にこう言った。 「絶対に約束を守ってくれ。麻里緒の為に言ってるんだ。 世の中には小さな子を襲う悪い大人がいるんだよ。 わかったね。」 「うん。分かった。でも、もし、僕が襲われたら、どうする?」 と僕が聞くと、父さんは 「嫌いになる。」 と言った。僕は父さんに嫌われたくなくて、4歳からずっと 指切りした約束は守っていた。門限は小学生になってから 5時半とか6時とかにずるずる延びてしまったけど、僕は 知らない人にはついて行かなかった。知らない人から何も 貰わなかった。僕を襲ったのは、よく知っている近所の お兄さんだった。父さんは知らない人には気をつけろと 言ったけど、知っている人と遊ぶなとは言わなかった。 それなのに、父さんは指切りした約束を破って、日暮れ時に 遊んでいたからだって、僕の事を責めた。そして、父さんは 僕が襲われた日から、僕の事を嫌いになった。 (続く)
2012年01月08日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 加藤君家に遊びに行くと、部屋に入るなりすぐにキスされた。 加藤君は僕を膝の上に乗せて、後ろから抱きしめながら、 こう言った。 「好きだよ。こんなに人を好きになったのって初めてだ。」 加藤君の声は真剣だった。 「麻里緒の髪って柔らかい。」 加藤君は僕の頭を撫でながら言った。 「良い匂いがする。」 加藤君は僕の髪に顔をくっつけて、匂いを嗅いでいるよう だった。先生も僕の髪が好きだと言って、よく頭を撫でながら 匂いを嗅いでいた。シャンプーが母さんの好みでわりと高い やつ使ってるから家族全員同じ良い匂いがするんだけど・・・ そういえば、父さんも昔はよく僕の頭を撫でてくれたっけ。 僕は小学校2年生まで父さんの膝に座るのが好きだった。 僕は父さんが大好きで、テレビを観る時も父さんに抱っこして もらっていた。そう、あの日までは・・・ 「麻里緒は神崎先生と付き合ってたって伊藤が言ってたけど、 嘘だよな。もし付き合ってたとしても、最後までしてないよな。 だって、最初に俺がキスした時に麻里緒は恐がってたじゃん。 麻里緒が小2の時に襲われたのは俺も知ってる。だから、 恐いなら、最後までしなくてもいいんだ。俺は麻里緒のこと 好きだから。ずっと一緒にいたいだけなんだ。」 加藤君は一体何を言い出したんだろうって僕は思った。 こんなこと言われたら先生とやりまくってたなんて言えないよ。 加藤君は僕の事を美化し過ぎている。僕の身体が穢れている 事に目を背けて、現実逃避しようとしている。正直に話さ なくちゃ・・・と、僕が思ったその時、 「麻里緒は俺の天使だ。可愛い可愛い俺の天使。ずっと 一緒にいよう。麻里緒の為に俺、勉強するよ。大学行って、 ちゃんと就職する。ヤクザにはならない。だから、一生 俺の傍にいてくれ。」 加藤君は僕をぎゅっと抱きしめて、髪に何度もキスしながら 言った。僕は一生加藤君と一緒にいるつもりはなかった。 加藤君が将来ヤクザになっても僕とは関係ないと思っていた。 だから、僕は困ってしまった。でも、加藤君は僕の顔色が 変わったのに気付かないのか、 「麻里緒。ずっと一緒にいるって、どこにも行かないって、 約束してくれ。指切りしよう。」 と言った。僕は小指を差し出せなかった。僕は指切り できなかった。僕は心にもない約束はできなかった。 『指切り拳万の意味は、約束を破ったら、小指を切り落として 1万回殴るってことだよ』 って母さんが言ってたのを僕は思い出した。 (続く)
2012年01月06日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許し下さいませ。m(_ _)m ゴールデンウィークは加藤君と過ごした。僕は加藤君と二人で 映画を観たり、カラオケに行ったり、ボーリングをしたりして 楽しく過ごした。伊藤君も誘ったけど、金がないって断られた。 加藤君はデート代は男が出すものだって言って、全部奢って くれた。僕だって男なのに、加藤君は何故か彼女だって 僕の事を言う。僕は女の子じゃないのに、加藤君は僕が 女の子に見えるらしい。加藤君はとても不思議な子だった。 クラス中から恐れられているのに、僕には優しかった。 僕は毎日、加藤君とキスをして、腕を組んで、手をつないで、 穏やかで幸せな日々を過ごした。でも、僕は心のどこかで 先生に言われた言葉がひっかかっていた。『麻里緒は優しく してくれる人なら誰でも良いんだ』って先生に言われた時に 僕は心の中でそうじゃないって思ったのに、何だか加藤君と 付き合っている僕は先生に言われた言葉通りで、僕は 好きでもない加藤君と付き合うことに罪悪を感じていた。 本当は伊藤君が好きなのに、加藤君と付き合っていて、 いいのかなって疑問に思っていた。その思いは次第に 膨らんで行き、やがて、僕は取り返しのつかない選択を してしまうことになるのだった。 「ゴールデンウィークは楽しかったな。明日、おふくろが家に いないんだ。学校終わったら、家に来ないか?麻里緒。」 教室の前の廊下で僕がボーっと窓の外を眺めている時、 加藤君が言った。 「いいよ。伊藤君も行くよね?」 僕が隣にいた伊藤君に聞くと、 「明日は用事があるんだ。」 と伊藤君は無表情で言った。 「何の用事?」 と僕が聞くと、 「別に。」 と伊藤君は俯いて言った。すると、加藤君が 「あいつ、気を利かせてるつもりなんだぜ。」 と、照れたように言った。僕はなんとなく加藤君が考えている 事が分かった。明日、するつもりなんだと思った。付き合い 始めて2週間。そろそろかなって僕も思ってた。でも、加藤君 とはしたくなかった。僕も用事があるって嘘をついて断りたく なったけど、最初に行くって返事しちゃったから、行くしかない のかなって思った。その時だった。 「よぉ!太一!」 後ろから声がして、振り向くと、背が高くて、カッコイイ2年生の 先輩が立っていた。 「常磐先輩だ。」 伊藤君は小声で僕に言ったかと思うと、90度のお辞儀をした。 僕も慌てて伊藤君の真似をして、お辞儀をした。しかし、 加藤君はお辞儀もせずに 「貴博君!」 と笑顔で寄って行った。加藤君は学校で一番恐れられている 常磐先輩のことを貴博君と呼んでいた。常磐先輩は 関東青龍会常磐組の組長の息子だった。 「明日、金曜日だろ?俺んちに泊まりに来いよ。」 常磐先輩が加藤君に言った。 「ごめん。明日はダチが遊びにくっから。」 「へぇ。」 常磐先輩は僕の顔を興味津々といった感じで見た後、 小馬鹿にしたように笑った。 「麻里緒ってこいつか?スゲェ美人だな。ま、頑張れよ。」 常磐先輩は加藤君の肩をポンポンっと叩くと、にこやかに 去って行った。 「加藤ってスゲェな。常磐先輩にタメ口で話せるんだもんな。」 伊藤君が感心したように言った。 「貴博君は物心つく前からいつも一緒に遊んでたから、 兄貴みたいなもんだよ。貴博君も俺のこと本当の弟 みたいに思ってくれてるんだ。」 (続く)
2012年01月04日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「嫌だよ。俺。ファーストキスは大事にとっときたいんだ。」 伊藤君は真顔で断った。 「何ロマンチストなこと言ってんだよ。俺なんか小6で キスは済ませたぜ。伊藤もこの前、キスしてみたいって 言ってたじゃんかよ。麻里緒とキスしてみれば、本当に 麻里緒が好きかどうか分かんだろ?な?やってみろよ。」 僕は友達二人が低レベルな坂田たちと同じ童貞だって 事に気付いた。頭の中はやる事っていったら、キスしか 思い浮かばないお子様だってことも・・・僕はさっき 押し倒された時に恐がって損したと思った。 「分かった。じゃ、キスするよ。」 伊藤君が少しやけになったように言った。僕の顔に 緊張した伊藤君の顔が近づいてくる。伊藤君の唇が おそるおそる僕の唇に一瞬だけ触れたかと思うと、チュッ と音を立てて、離れた。伊藤君はキスした後、ハァっと 深呼吸をして、真っ赤になった。 「どうだ?伊藤。ファーストキスの味は?」 加藤君がからかうように聞いてきた。 「どうって?よく分からないよ。もう一回してみてもいいか?」 真っ赤になって聞いてくる伊藤君は可愛かった。僕は 「いいよ。」 と言って、伊藤君にキスをした。先生とする時みたいに 口を開けて、舌を絡ませて、伊藤君の舌をレロレロしながら 吸い上げた。伊藤君の唇は柔らかくて、とても気持ちが 良かった。唇を離した時、一筋の唾液が糸を引いて、 伊藤君の口から垂れた。伊藤君は手で口を拭うと、 泣きそうな顔をして、こう言った。 「気持ち悪い。」 僕はショックだった。好きな子とキスした後に気持ち悪い って言われるなんて、思ってもみなかったから、しばらく 立ち直れないって思うほどショックだった。 「ハハハ・・・伊藤はお子様だからな。おまえ、エロ本も 中学になるまで読んだことなかっただろ?この前、 貸してやったやつもキモイって言ってたろ?」 加藤君は大笑いした。 「それを言うな。」 伊藤君は真っ赤な顔を更に真っ赤にして怒ってしまった。 伊藤君は中学生になったとたんに言葉遣いが乱暴に なったけど、中身は昔のままの純粋な子供だった。 「俺が麻里緒と付き合うからな。異論はないな。」 と加藤君が言うと、伊藤君は拗ねたように 「勝手にしろ!」 と言った。僕は僕の意思を聞かれずに、加藤君と 付き合うことになってしまった。 (続く)
2011年12月19日
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BLの苦手な方は読まないでください。 18禁です。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 「ビール飲むか?」 加藤君が持ってきたのはお酒だった。僕はお酒なんか 飲んだことなかった。 「遠慮しとくよ。」 僕はお酒を断った。加藤君は少し残念そうな顔をしたけど、 すぐにニヤッと笑って 「伊藤は飲むだろ?」 と聞いた。しかし、伊藤君はきっぱりと言った。 「飲まないよ。俺、酒なんて飲んだことねぇし・・・ 加藤家は酒飲んでいいのか?」 「いいってことないけどさ・・・ビールの2、3本消えたって 誰も気付かないからな。たまに隠れて飲んでるんだ。」 「へぇ。」 「みんな飲まないなら、俺一人で飲む。」 加藤君はちょっとムッとした顔をして、缶ビールを開けた。 加藤君がビールを飲むのを僕らはじっと見ていた。 「やっぱり麻里緒も飲め!」 と加藤君は言って、僕に無理やり飲ませた。 「へへ・・・間接キスだ。」 加藤君は酔っぱらっているのか嬉しそうに笑った。 「麻里緒。キスってしたことある?あるよな。」 加藤君が僕の顔を覗き込んで聞いてきた。僕が返答に 困って、黙っていると、加藤君が僕にキスしてきた。一瞬、 唇に触れただけのキスだったけど、僕はびっくりして逃げた。 「な、何するんだよ!」 「俺、麻里緒のことが好きなんだ。だから、キスさせろよ。」 加藤君が僕を床に押し倒した。僕はジタバタ抵抗して 「嫌だ!」 と言ったけど、加藤君の力に敵うわけもなく、唇を奪われた。 がむしゃらに唇を押し当てる加藤君のせいで息苦しくなって、 何か言おうと口を開いたら、加藤君の舌が僕の口の中に 入って来た。僕の舌に加藤君は舌を絡ませて、吸ったり 舐めたりした。襲われると思って、僕が泣きそうになると、 加藤君は唇を離してくれた。加藤君は僕から離れると、 「へへ・・・キス。どうだった?俺、上手いだろ?」 と満足そうに言った。加藤君は先生よりもキスが下手だった。 僕が黙っていると、加藤君は 「もし、伊藤と俺とどっちかと付き合うなら、どっちを選ぶ? 麻里緒が決めろよ。」 と言った。僕は伊藤君が好きだから、伊藤君のほうを見ると、 「伊藤ともキスしてみるか?」 と加藤君は言った。 (続く)
2011年12月17日
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BLの苦手な方は読まないでください。 苦情は受け付けません。 何卒お許しくださいませ。m(_ _)m 先生と別れた数日後、僕は学校帰りに加藤君に誘われて、 伊藤君と一緒に加藤君家に遊びに行った。加藤君家は 豪邸だった。およそ百坪の土地を囲む高さ三メートルの 外壁に守られた要塞のような3階建ての家だった。庭には 獰猛そうな犬が2匹いた。 「今日はみんな出かけてて、誰も家にいないんだ。」 と加藤君は言って、玄関の鍵を開けた。玄関には高そうな 壺に花が活けてあった。廊下にも高そうな絵が飾られていて、 吹き抜けの螺旋階段を上って2階に行くと、長い廊下の両端に いくつものドアが見えた。 「すっごいね。この家、全部で何部屋あるの?」 「10部屋くらいかな。3階は事務所と倉庫になってるんだ。」 「事務所?!」 「事務所って言っても、組の看板掲げてる事務所は駅前の 繁華街のビルにあるから。家を建て直す時に10LDK+ 事務所って設計にしたらしいんだけど、実際には組員が 自宅に出入りするのをおふくろが嫌がって、使ってないんだ。」 「へぇ~。」 僕は加藤君が別世界の住人のような気がした。 加藤君の部屋も別世界だった。壁一面の棚にプラモデルと ゲームソフトが並べてあって、ゲーム機が5台置いてあった。 テレビ、ステレオ、ガラスのテーブル、学習机、ベッドと ウォークインクローゼットのある広い子供部屋だった。 「すげぇ。想像以上の金持ちだぁ。」 伊藤君も初めて加藤君の部屋に入ったのか、驚きの声を あげた。伊藤君の家は2DKのボロアパートだから、自分の 部屋が伊藤君はなかった。小学校1、2年の頃は何度も 遊びに行ったから知ってるけど、お母さんと二人暮らしだった。 お父さんと離婚してから看護士のお母さんが一人で育てて くれているらしい。今でもお母さんと一緒に寝てるのかなって 僕はふと思った。 「まあ、座れよ。ゲームでもやるか?あ、そうだ。飲み物と 食べ物とってくるから、ちょっと待ってろ。」 と加藤君が言った。僕と伊藤君は部屋に二人きりになった。 僕は少しドキドキした。先生にフラれたばかりだっていうのに 不謹慎な気もするけど、僕は伊藤君の事が好きだった。 初恋の人って言うのかな。小学校入学に合わせて引っ越して きた僕は知っている子が誰もいなくて不安だった。そんな 僕に伊藤君は笑顔で話しかけてきてくれた。僕達はすぐに 仲良くなって、毎日、学校から帰ると、家の近所の神社で よく遊んでた。あの忌まわしい神社は僕の家から徒歩2分。 忘れたくても忘れられないほど近い。あの日、伊藤君に遊ぶ 約束をすっぽかされたことを今でも僕は根に持っている。 でも、それとこれとは話が別で、やっぱり僕は伊藤君が 好きだ。何を話そう。緊張すると僕は何も喋れなくなる。 「お待たせ。いいもの持ってきたぜ。」 会話する暇もなく、加藤君があっという間に戻ってきた。 (続く)
2011年12月14日
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