October 21, 2008
XML
カテゴリ: Life*Live*Love





『……なんでだよ!?

 みないさんも悪いかもしれないよ?

 だけど、もっといけないのは向こうだろ?




 もっといけないのは、

 しっかり“だめだ”って言ってやれなかった男の方なんだよ』




低い声で、ミナミくんが、電話越しに言った。



どうしてなの。

なんで一生懸命になってくれるの。



ミナミくんの優しさが、痛いよ。

優しく降り注いで、痛いよ。




『みないさん、ヘタしたら刺されるよ!?それでもいいのかよ!?』




一度、前に、あの人に言われたっけ。

『夜道、気をつけて。

 どっかで、妊娠していた愛人の女性が刺されたっていう事件があったから』







『いいんだ。それでも。

 だって。

 誰のせいでもないでしょ?

 あのひとのせいでも、誰のせいでもない。

 全ては、私があの人を好きになったことから始まってるから。




 刺される痛みなんて、きっと……我慢してれば、感じなくなるよ……』


嘘。

怖いよ。




『………覆面して、相手にケリくらわそーか』


『だめ!!

 そんなことしないで、お願い………絶対やめて、お願い。お願い…』




ミナミくん……。

これね、私が自分でしたことなんだ。


だから、私は、全てを投げうってでも、

最後に責任を果たす義務が生じるかもしれないよ。



『ふざけんなっ………そういうみないさんにも、イラっとくる………



 なんでだよ………。

 人を好きになるのは自由だろ!?

 なんで…みないさんだけ悪いんだよ?

 ふざけんなよ………。



 刺される筋合いなんかないだろ?

 それより自分の夫どうにかしろってんだ。

 もしそんなことがあったら、俺も一緒に行く。』



『みなみく………』



『じゃなかったら、俺がみないさんを刺した方が、ずっといい』




















胸の中が、揺さぶられた。

今までで、いちばん激しく。

いちばん、強く。










『…どうせ、俺は、ろくなことない人生なんだから。

 その方が、いいだろ?』













………あ、れ……………?








涙が、勝手に出てくる。

流れて、くる。





『………やだ』


やっと絞り出した声は、かすれてた。


『私のせいで、犯罪者なんかにさせたくないよ。

 だから、ミナミくんは………何もしないで………。

 巻き込みたくない。

 私の問題だから、ね?



 せっかく大変な病気から、助かったんでしょう?

 だから、お願い……無駄にしないで。お願い………』




ミナミくん。



私ね、どうしてミナミくんが可愛くて仕方ないのか、わかんなかったよ。



だから、好きだって言われても、どう応えていいかわかんなかった。



好きな人は、離れないで…って言う。



ミナミくんは、まっすぐ私へ気持ちを向かわせる。



ねぇ、ごめんね。

嫌な女でごめんね。



でも私、今、確かに、ちゃんとしなきゃって思い始めてる。



何かが、変わろうとしてる。



たぶん今、これを離しちゃ、いけない気がする………。








ミナミくん。

私、ミナミくんが大切なんだ。

好きなのかな?

わかんない。





でも。




ミナミくん。

私ね、







ちゃんと、したい。







もう、後悔するの、嫌だから、ちゃんと、したい。








どうか、そっと見守ってください…。↓
にほんブログ村 社内恋愛






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  October 21, 2008 07:33:18 PM
[Life*Live*Love] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: