びびあんシリマルダシ日記

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2012年10月23日
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さて、何から書き出すべきなのか。

一日置いても、ひたすら「うれしい」ってだけでまとまらんのだな。



と言ってても、何も書かずに終わらせるのもストレスだったりするので、
一個前でも書いた「コヅカとマチダは自分の立ち位置を見つけたんじゃなかろうか」という話。



今回のマチダくんを見ていて、昨年までとの大きな違いと言えば、
一つのミスから大きく崩れるということがなくなったこと。


フリーで4回転をミスしてしまうと、それを引きずってしまってすべての要素がダメになってた。


だけど、今回のスケートアメリカしかり、優勝したオンドレイ・ネペラ記念しかり、
転倒があっても、そのあとに大きく響いていない。



その前に彼が転んだかどうか、わからないと思う。


それができるようになったというのが、本当に素晴らしい。


去年までの葛藤って、すごくわかる。


世界に出るためには日本国内で勝たなくちゃいけなくて、
でも、国内で上位にいる選手たちはあまりにも強くて。


4回転を入れて挑めば「絶対に成功させなければ」と力が入ってしまうし、
4回転をはずせば「ノーミスで滑っただけじゃなくて、素晴らしい演技をしなくては」と思い詰めてしまうし。


それが今シーズンに入って、すっとそういう力みが抜けた気がするのです。


日本スケート連盟のサイトで、強化選手の自己紹介の欄があるのだけれど、
そこに紹介されているコメント

「町田樹らしいオリジナリティーなスケート、表現を追求します。


っていうのに、すべてがあらわされてるんじゃないかなと思う。


それから、このところのマチダには、自分の強い「意思」が見られる。


昨シーズンからアメリカに拠点をうつし、
コーチも自らの希望で、アンソニー・リュウ氏にお願いをした。


アンソニーは、中国出身ながらオーストラリア代表として活躍し、



リンクでの指導なんかはしていたのだけど、特定の、まして国際大会レベルの選手を受け持ったことはなく、
マチダからの申し出によって、初めて世界と戦うポジションについたという、
まるでジェレミー・アボットによって世界的なコーチとしてデビューしたサトウユカさんのような状態。


なので、今のところ、アンソニーが大会に帯同するレベルで指導している選手はマチダのみ。


アンソニーがマチダに集中してくれてるのは、見ていてすごくわかるし、
実は、マチダのコーチ就任以前にアンソニーが解説をしているのを聞いたことがあって、
声も話してる内容も素敵で、気になって五輪の演技の動画を検索したりして、ちょっとファンだったりしたもので、
内容が良かった時も、ダメだった時も、穏やかな笑顔でマチダの隣にいる姿を見ると、とても安心するし、感謝なのであります。


大会期間中の過ごし方だったり、程よく先輩としてのアドバイスも的確にくれるようで、
先生としてお兄さんとして、とてもいい関係が築けているようで何より。


タカハシやコヅカが、後輩たちと一緒に国際大会に出場して、
その背中を見せてくれてるというのも、もちろん重要なんだけど、
マチダにとっては、それはそれとしてありがたいけど、
でも、いつかは乗り越えなくちゃいけない壁だから、そういうのなしで参考になる人がいるってのはいいよね。


そして、今年のフリーの「火の鳥」。


定番曲でありながらユニークな振り付けで、
マチダだからこそこなせてるというような、見事な個性の表現もあったりして、
なんというか「センスがいい」振付だと思うのだけど、
これはフィリップ・ミルズという振付師の作品。


ミルズは、昨季のアメリカ女子シングル代表アシュリー・ワグナーのフリー「ブラックスワン」を振付けた人で、
四大陸選手権で、ワグナーのフリーに感激したマチダ自身が、
ミルズに振付してほしいと望んで実現した振付だとか。


衣装もワグナーのスワンと同じ人に依頼したこだわりの作品。


一個前でも載せたけど再度。

日本語解説だと佐野さんに気を取られてしますので、ユーロスポーツ英語版にて。






自分が「こうしたい」と決めて、だからこそ、迷いなく自信を持ってプログラムを演じている。

今季のマチダからは、そういう力強さを感じるのです。




そして、コヅカ。


メディアで紹介されている優勝後のコメントの、

「昨シーズンは勉強とスケートを両立しようとして失敗した。
 スケートも勉強もなめていたと思う。だから今年は休学して、競技に集中する」

っていうのも、もちろんあると思うんです。その通り。


プラス、何しろ本当に勉強のできる子なので、
昨年は、自分に計測の機材をつけて滑ってデータを取り、それを解析したりして、
そうなると、理論上、こうすればうまくいくはず…なのに、実際にやってみるとできない、
みたいな苦しみ方もしちゃったみたいだし。



そんな感情より頭脳が勝っちゃうタイプなものだから、
バンクーバー以降の悩みと言えば、「あとは表現だね」と言われてしまうこと。


バンクーバーシーズン、彼は自分の目指す表現として「音を滑る」と言っていた。


「音楽を表現する」でもなく、「音楽の中にある感情を演じる」のでもなく、
シンプルに、そこにある「音を滑る」。


私は、それはまったくの正解だとおもったし、
さすが頭がいいだけあって、自分のスケートをよく理解しているなと感心したりもした。


が、五輪そのあとの世界選手権を経て、ある一定以上の評価を受けてから、
なんだかそのポリシーに迷いが出てきたようで。


国内でも世界でも、ナンバー1になろうと思うなら、
そして「あとは表現」と言われてしまうと、
その前に立ちはだかるのはタカハシダイスケ。


音楽によってスケートの質まで変えて、
時にキュートに、時にセクシーに、客席とジャッジたちを誘惑しながら、
踊る、踊る、踊る。


「もっと表現しろ」と言うのは、
つまりはあれをやらなくちゃいけないのかと、思っちゃうのも仕方がない。


なので、この2シーズンほどの彼は、
「表現」と言われると、「顔の表情」だったり、いかに観客やジャッジと視線を合わせるかだったり、
そういうことに心を砕いているようだった。


そうじゃない。


技術的にクリアであるこ、
音そのものをすべること、
それこそが、コヅカタカヒコの表現であり、
だれにもまねできないオリジナルな魅力なのだと、私は思うから。


なので、今シーズンの彼を見て、
そこに戻ってくれたんじゃないかな、ってうれしく思う。


おそらくは、もともと感情の安定している人なのだろう。


メディアで報じられる彼の姿を見る限り、
まじめで誠実で穏やかで、
一時の激情でとっぴなことをするタイプじゃない。


そんな彼が、タカハシのような熱い感情表現をしようとしても難しい。

逆に言えば、タカハシが淡々と端正な表現をするのも難しいだろう。


この部分に関して言えば、自分にないものは出しようがない。


だから、今季のシンプルで端正で穏やかな、そんな彼の演技は実に魅力的で、
技術的に成熟して安定感を増したことによって、
ただただ、正確であること自体が表現であり、見る人の感動を誘う。



「勝ちたい」と思った時に、「大ちゃんにあって、自分にないものは何だろう」と考えるのではなく、
「自分の持ってるものの中で、武器になるものはなんだろう」と考えること、
それが今季はできているんじゃないかというのが、私の印象。


いや、そこはもっと突き抜けちゃって、
だれかに勝ちたいというよりも「自分は何ができて、何をすべきなのか」
という、さらにシンプルな考え方まで到達しているのかも。


マチダにしても、昨年までは、「勝つためにはこれをしなくちゃ」「勝とうと思ったら、これは失敗できない」みたいなところにとらわれてしまっていたけれど、
今季は、「僕がだれにも負けないと思うのはこれ」みたいな演技ができてるよね、と思う。



ということで、小塚のフリーの演技。
こちらは日本語解説にて。

今回、テレ朝の清水アナは、本当によく佐野さんに対応してたと思うよ。







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最終更新日  2012年10月24日 00時00分24秒
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