本の虫の読書ノート
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亀梨和也さん主演連続ドラマ原作・染井為人さんの「正体」を読みました。ドラマは見ていないのですが、たまたま本屋さんにあったのが目に留まりました。正体 (光文社文庫) [ 染井為人 ]読み終わった時涙が出て、親しい人を亡くしたような気持になりました。2歳の幼児とその両親の一家3人を殺し死刑判決を受けた少年が脱獄した。彼は転々と居場所を変えて、職を変えて、名前を変えて生き延びていた。殺された夫の母親が同居していたが、押し入れに隠れた彼女だけ助かった。一時娘の所に身を寄せていたが、グループホームに入所して暮らしていた。彼女は認知症と思われ、物忘れが多く、事件の記憶をなくしていた。逃亡中の少年は、中々見つからず、様々な場所で潜伏生活が続いていた。発見されそうになると…上手に逃げ切り、また違う場所へと逃亡した。逃亡先で一緒に働いたことのある人々は、皆一様にいい人だった、という。彼が殺人犯だとは到底思えないし、思いやりのある優しい人だったとも言った。次第に少年が何故そんな惨殺な事件を起こしたのか?人々は疑問を持ち出した。工事現場、スキー場の旅館、新興宗教の説教会、グループホーム等で働く少年、誰もが信じられない思いであったが…一人の弁護士が彼を助けようと立ち上がる。それぞれの職場、きちんとした履歴書の必要のない劣悪の条件の職場でも文句を言わず働く少年は、何故か分厚い法律書を持ち、人々の窮地を救うのだった。転々と職場を変えて、犯人に似ていると疑われ、発見されそうになると逃げる。まるで昔あったアメリカのテレビドラマ「逃亡者」を見ているようでした。無罪なのに有罪、それも死刑判決を受けた少年の冤罪事件を扱った作品です。「無実」を訴える少年、警察の在り方、最後の悲しい結末に涙を誘います。正体 (光文社文庫) [ 染井為人 ]染井為人さん:1983年千葉県生まれ、芸能プロダクションにで、マネジャーや舞台のプロディーサーを務める。2017年「悪い夏」で横溝正史ミステリー賞受賞デビュー。悪い夏 (角川文庫) [ 染井 為人 ]海神 (光文社文庫) [ 染井為人 ]正義の申し子 (角川文庫) [ 染井 為人 ]
2024.05.17
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