カトチャンのムチャ釣り日記2012

カトチャンのムチャ釣り日記2012

PR

2008年10月27日
XML
カテゴリ: 連載小説


ayuugoki





川に近い学校だからな儂は30匹ヤマメを一週間前から釣って用意しておいたんじゃ。
しかしな、何度数えても29匹しかいないんじゃ、儂は困り果ててしまった。
みんなに山女が行き渡らないからな。

そんな儂の様子を見てな一人の子供が儂の前に得意気な顔で現れたんじゃ。

ワタルって子だったかな。バケツを持ってきて、「 これ、どうですか?」
て問いかけてきたんだ。

ワシがバケツの中を見たら、そこには大きな鰻が入ってたんじゃ。






君はどこで捕って来たんだ。」 って聞いたよ。

「これ、いつも、鰻捕りの名人の人に教えてもらっている道具で、やり方も聞いているんだ。場所は絶対、秘密だよ。先生にも教えないよ。」 とワタルは言ったよ。

「そうか、それはいいよ。それじゃ、君がその鰻を料理するか?」 ワシがそう言うとな。
僕はいつもお父さんに調理してもらっているんだ。だから出来ないよ。」 その言葉に

じゃあの、ワシがその鰻は調理しようかな。良く見ときなさい





そう言って、わしはまな板に鰻を千枚通しで固定して、背開きにして、鰻の蒲焼の準備をしたんじゃ。
ま~、教育実習で鰻の蒲焼なんて、やらないから、適当な味付けで適当に作ったんじゃ。

ヤマメはその辺の子供は塩焼きはいつも食べてるから、勝手に串打ちして、何とか作っていたよ。

ワシは自分の目の前の鰻の処理に手一杯だったんだ。

とりあえず、みんなの作業も終わったので、やまめの味見をしたんじゃがな、山女は炭火で焼いたので、みんな上手そうに食っていたんじゃ。
ワシもチョット分けてもらい、食べたらえも言われぬいい味だったよ。

しかしな、ワシの作った鰻の蒲焼を食べたワタルは
先生、何だか、すごく固いよ。焼き方とか間違ってるんじゃない、それにすごくしょっぱいよ。」 と言って来た。



わしもひと口食べて見たらそのとおりだったよ。完全な失敗作だったんじゃ。
ワシのは完全な失敗だな。ワタル、ご免な。この村で鰻の蒲焼の名人でもいたら教えてくれるか、今度その人に聞きに行くよ。」
「それだったら、今、僕が教わってる鰻捕り名人に聞くのが一番だよ。今度の休みに先生、紹介するよ。あの人は何でも知ってるんだ。」

ワタルはまた、自慢げな顔だ。

それじゃ、今度の日曜日にでも行くか。一緒に行こうな。」 ワシはな、子供と同じ目線で話すのを、モットーにしてたんじゃ。
だから、そう言ったんだ。

先生、ついでにさ、鰻捕りもやろうよ。土曜日の夕方に先生っちに行くから待っててね。」 先までは絶対秘密だって言ってたけど、舌のかわかぬまに秘密などどうでも良くなったみたいだ。
ワタルとワシはそんな約束をしたんじゃ。楽しいことじゃった。

ワシは少し、ワクワクしてきたんじゃ。何しろ、鰻なぞ、捕ったことがなかったからな。
ワタルの師匠の鰻捕り名人に会うのが待ち遠しかったんじゃ。
その時の一週間はとても長く感じたよ。

あんまり、仕事も手に付かなかったんじゃ。

小学生の子供に教えられるのもその頃のワシには楽しかったよ。

田舎の子供はワシの心に飛び込んでくれるからな・・・



続く・・・
ランキング にほんブログ村 小説ブログ 童話・児童小説へ 二つポチポチしてね





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008年10月28日 13時03分06秒
コメント(2) | コメントを書く
[連載小説] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

プロフィール

ayuパパ

ayuパパ

カレンダー

コメント新着

ジョンリーフッカー @ Re:4日の日記(10/04) お疲れ様でした。 その後復活され一安心し…
小波5869 @ Re:4日の日記(10/04) 発作??不整脈ですか? お大事にしてくだ…
釣りお爺 @ Re:柔軟な思考力(09/02) 職場ではそれぞれの立ち場が有り責任を果…
小波5869 @ Re:柔軟な思考力(09/02) 新しいやり方を受け入れるのは、難しいで…
小波5869 @ Re:10日の日記(08/10) かわいいです♪ 手作り、ってところが、 …

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: