突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2010.10.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アンタレスは何も答えなかった。

 やっぱりミラとアンタレスは、言葉すら必要ない、強い運命の絆で結ばれているのだ。

 この絆があれば大丈夫。
 きっとミラの“癒し”は本来の力以上の効果を発揮して、アンタレスの顔の傷をきれいに消すことができるはずだ。
 いや、絶対にやる。
 この命に代えても、アンタレスの顔を、元に戻すのだ!

 あの夜、酔漢たちからミラを救うために、闇の中から幻のように現れた、きりりとひきしまった端正な勇士の風貌に!
 みっともない武器を振り回す酔漢たち相手に、素手で、一瞬のうちに勝負を決めてしまった、戦さ神の化身とみまごう、あの荒々しくも優美なみめかたちに!

 あの日以来片時も忘れたことのない、ミラの愛して止まない、あのアンタレスの顔に、どうか戻って!

 両手のひらにアンタレスの顔をそっと包み込み、体中の細胞の一つ一つを全部エネルギーに変えるほどの熱い想いを、流し込んだ。  

 アンタレスは、まるで底なしのざるみたいに、ミラの熱い思いをぐんぐん吸収した。 その感触はあまりにも激烈で、貪欲で、飽くことがなく、このまま放っておいたらミラの体のすべてをむさぼり吸収しつくして、丸ごと飲み込んでしまうんじゃないかと思うくらい、恐ろしいほどの勢いだった。

 でも、怖いとは思わなかった。
 アンタレスの顔がもとに戻るなら、自分の体はこのまま消滅していいと思った。
 そうすればアンタレスを守る光となって、一生アンタレスに寄り添い、アンタレスとともに輝き続けることができるから。

 目を閉じ、心を開放して、ミラの命のすべてを、アンタレスに流し込んだ。

 ミラにとっては未来永劫続くかと思われるような長い、そしてどこか甘美な、けれど実際にはほんの十数秒に過ぎない時が流れて、ついにミラが手をどけた時、予想通り、その顔からはすっかり火傷の後が消えて、アンタレスは、ミラが始めて見た時そのままの風貌に戻っていた。 いや、ミラの魔法によって蘇ったその美貌は、以前よりさらに神秘的な深みを増し、どこか憂いを含んで妖艶ですらあり、無明の闇に妖しく咲く花のように、近づきがたく鬼気迫るものがあった。

 この結果に心の底から満足を覚え、安堵すると、ミラは精根使い果たして、どっと椅子に体を投げ出した。

 アンタレスは、やはり自分の顔に何が起きたのかわからないまま、きょとんとミラを見下ろしていた。
 アンタレスの正面の席で、あんぐりと口を開けたまま、絶句してこの様子を見ていたアルクトゥールスの手から、持っていたグラスがポロリと落ちた。






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最終更新日  2010.10.01 09:41:54
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