突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2010.10.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 きっと、家に帰ったらヴェガにすごく怒られるんだろうな。
 そう思って覚悟を決めていたミラだったが、ヴェガは何も言わなかった。

 さっきミラを睨みつけた怖い顔は見間違いだったのかといぶかしむくらい、いつもと少しも変わらない調子で、冗談口を叩きながらベッドにもぐりこんでいくヴェガを、ちょっと拍子抜けした思いで眺めていたとき、ベッド脇のテーブルの上で、何かがきらっと金色に光ってミラの目をひいた。

 それは、ヴェガが『猫目石』と呼んでいる髪飾りだった。

 髪飾りといえば、最近ヴェガが好んで挿している『氷の花』という髪飾りには不思議な力があって、ヴェガにとっては今や、なくてはならないものなんだそうだけれど、この『猫目石』のほうは、役に立たないのか気にいらないのか、ずっとそこに置きっぱなしになっている。 
 ミラも掃除の時などに、なにげなくこの『猫目石』の髪飾りを手にとって調べてみたりしたことはあるのだが、今までは特に関心を持ったこともなかった。

 それが、今、髪飾りが光ったのを目にしたとき、突然、電撃を受けたように、ミラは一瞬ですべてを理解したのだ。

 ――― あの『猫目石』は、僕が、アンタレスのために使う髪飾り!
 そう直感した。


 バルドーラ武族より強く、リシャーナ魔族よりもたくみに魔法を操る、伝説の戦士。 
 アンタレスこそ、『リシャーナの戦士』にほかならない!
 ミラが、これほど強くアンタレスに惹かれるのも、アンタレスがリシャーナの戦士としての資質を備えているからだったのだ。

 おそらくアンタレスは、近い将来、必ず、そのリシャーナの戦士に変身することになる。 ならばそのとき、誰かがアンタレスに、リシャーナの魔力を授けなければならない。

 今では長老ただひとりしかできないという、魔力授けの秘儀。
 それを、ミラに教えてくれるのが、この髪飾りなのだ。

 それだけのことを一瞬にして悟ると、ミラは矢も立てもたまらず、テーブルの上の髪飾りをひっつかんだ。
 「ヴェガ、これ僕にちょうだい!」

 ベッドの奥にもぐりこもうとしていたヴェガが、びっくりしたように跳ね起きた。
 「ね、猫目石の髪飾り・・・? それはだめだよ、ミラ! おまえが使うものじゃない」


 思わず声を荒げた。
 「僕が使うんだよ! 僕が、アンタレスのために使うんだ! 他の誰にも使わせない!」

 そのただならぬ剣幕に目を見開いて、一瞬押し黙ったヴェガが、ベッドの上にあぐらをかいて座りなおし、考え込みながらミラを見つめた。
 「・・・あのさあ、ミラ、おまえ、どうしてそんなにアンタレスに肩入れすんの? さっきは、頼まれもしないのにあいつの顔の傷まで直しちゃったり、なんでああいう危ないことすんのよ。 酒場中の客が目玉ひん剥いておまえのこと睨んでたじゃない。 俺、酒場丸ごと敵に回すことになるかと思って、生きた心地もしなかったぜ。 ミラ、言っとくけどあいつはおまえが考えてるような人間じゃないぞ。 人を殺すのなんかなんとも思わない冷酷漢、極悪人だ。 怪物の同類だよ。 あいつを恨んでるやつは星の数ほどいる。 あの酒場の雰囲気を見るだけだって、アンタレスがどんなにみんなに憎まれ、嫌われ、恐れられているか、おまえだって気がついたろ? あんなのと関わりあうと、ろくなことにならない。 もうアンタレスには近づくなよ。 その『猫目石の髪飾り』にどんな力があるのか、俺にはわからないけど、なにか特別な力があるのはわかってる。 その力を、あいつのために使おうなんて考えてるんだったら、なおさらおまえには渡せない。 ミラ、それはおまえのものじゃないんだ。 返せよ」

 それを聞くとミラはますますいきり立って、意地でも返すものかと猫目石の髪飾りを懐の奥深くにねじこんだ。

 「アンタレスが? リシャーナの戦士に・・・?! ミラ、それは、そのための秘宝だったのか!」
 目を丸くして叫んだヴェガを置き去りに、ミラはさっさとケヤキの家を飛び出した。





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最終更新日  2010.10.02 23:15:43
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