突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2012.02.03
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鬼の棲む街2




 歩き始めた男の足が、そのまま真っ直ぐ港に向かっていることに気づくと、ルドゥアはびっくりして、あわててその後を追った。
 「いやね! このまますぐに船に乗るつもり? あたしのこの格好を見てよ。 仕事帰りで、おまけにびしょぬれよ。 こんな格好で長旅に出られると思う? あたしにとっては 人生の新しい船出なのよ。 新しい、きれいな服を着て、旅に必要なものが全部入った丈夫な旅行かばんと、晴れやかな帽子とで出発しなきゃ。 あなたみたいにせっかちなのはだめ。 とにかく、今夜は私の家に泊まるのよ。 そして、お金を数えて、じっくりとこれからの計画を練るの。 それから、おなかを一杯にして、ぐっすり眠って、明朝、目が覚めたらいよいよ船出のための準備よ。 あなたとあたしの出発にふさわしい、新しい服を買い揃えて、船の切符も、特等の船室を予約するの。 だから、どんなに急いでも、実際の船出は明日の日暮れということになるわ。 いいわね?」

 一気にそこまで言い終えたとき、ルドゥアの胸は、すでに、輝かしい未来への予感に、息苦しいほど高鳴っていた。

 男は、そんなルドゥアを不思議な生き物でも見るように眺め、それから、かすかな笑みを浮かべてうなずいた。
 「わかった。 そうしよう」

 実に、これが、ルドゥアが初めて見た、この謎めいた美貌の旅人の笑顔だった。
 これを見るとルドゥアの胸には、ますます激しく、ほとんど発作めいた喜びが湧き起こり、ルドゥアは突然、けらけらと身をよじって笑い出した。
 「まあたいへん! あたしったら、これからしばらくの間運命を共にしようっていうお相手に、まだ自己紹介もしていなかったわ! あたしの名前はルドゥアよ! で、すてきな旅人さん、あなたのお名前は?」

 男は、また、正面を向いて歩き出しながら、短く答えた。


 ――― すてきな名前だわ! あの宝石のような赤い瞳にぴったりじゃない?!

 ルドゥアは、夢を見ているようなふわふわした気持ちで、口の中で小さく、アルデバラン、と、その名をつぶやいてみた。

 しかし、ほの暗い街灯の明かりに照らし出されたその旅人の、白い、彫像のような横顔は、初めてジラートの酒場に入ってきたときと同じように、暗く、悲しげなままだった。







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最終更新日  2012.02.03 18:58:30
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