突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2012.02.02
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鬼の棲む街2




 男は何も答えなかった。
 暗くてその表情も見えなかったので、ルドゥアは一人でしゃべり続けた。
 「あなたの探している人は、『花の都』 にはいなかったでしょう? あそこはバルドーラの街ですもの。 パピト族の女がひとりで暮らせるところじゃないわ。 あたしも行ったことがない、というより、あたしはこの居住区の外に出たことがないんだけど」

 男は、黙ったまま、目の前に迫っていた家の軒先をひょいとよけた。
 ルドゥアの言葉にうなずいたのか、それともただ単に額をぶつけまいとしただけなのか、ルドゥアにはわからなかった。  

 ルドゥアはちょっと考え、またしゃべり始めた。
 「ねえ、知ってる? このたそがれの港の、海の向こうには、みんなが 『リリファラ(豊かな海の恵み)』 と呼ぶ大きな島国があるんですって。 そこは、パピト族の桃源郷だと聞いたわ。 そこに住んでいるのはほとんどパピト族ばかりで、バルドーラ族なんて、力仕事専門の低級な労働を意味する蔑称なんだそうよ。 すてきじゃない? きっと、あなたの彼女もそこに暮らしているんじゃない?」

 このときようやく、男の目が、興味をそそられたように、きらりと光ってルドゥアを見下ろした。
 「・・・リリファラ? パピト族の、桃源郷?」


 ルドゥアは、その男の不思議な赤い色の瞳にうっとりと見入り、ほとんど夢見心地になってうなずいた。
 「ええ、そうよ。 パピト族の国なの。 あなたもまだそこへは行ったことがないのね? じゃ、今度はそこへ行ってみたら? リリファラへ行く定期船は、ここ 『たそがれの港』 からも出ているはずよ。 えーと、たしか、『朝霧の港』 行きの船が、それだと思うわ」

 言ってから、ルドゥアはふと足を止め、男の顔を振り仰いだ。
 「ねえ! もしあなたに、そこへ行く気があるなら、あたしも一緒に連れて行ってくれない? あたし、この居住区にはもううんざりしてるの。 ジラートはあたしにとてもよくしてくれたけど、あたしはあの安酒場に一生を捧げるつもりはないわ。 ね、あたしもリリファラに連れて行って。 あなたのような旅慣れた人といっしょなら、あたしも心強いし、これでもけっこうお金は溜め込んであるのよ。 2人分の船賃ぐらい払えるわ。 お互いのために、その方がいいと思わない?」 

 男はちょっと立ち止まり、意外そうにルドゥアの顔を見つめたが、すぐにまた、正面に視線を戻して歩き始めた。
 「いいだろう。 金なら俺も持っているが、慣れない船旅のボディガードに俺を雇いたいというなら、たしかにそのほうがお互いのためだ。 では一緒にリリファラ行きの船に乗ろう」







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最終更新日  2012.02.02 17:54:34
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