突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2012.02.24
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鬼の棲む街2





 トゥレディオの酒場 <18> 




 少し笑って、ヴィスバルが話を続ける。
 「俺の母さんは、カシャトラの、ある山の中の駐屯地でバルドーラ兵たちの食事を作る仕事をしてたんだ。 父さんは、たぶんその兵隊たちのうちの誰かなんだろうけど、誰なのか俺は知らない。 母さんも、何も教えてくれないまま、俺が小さいうちに死んだ。 駐屯地のバルドーラ兵たちにはずいぶんいじめられたけど、俺はまだ小さかったし、そいつらに逆らって一人で生きていく方法なんて考えつきもしなかったから、母さんのやってた仕事をそのまま続けて、やつらにこき使われて、なぶられて、それが普通のパピトの生き方だと思って育った。 でもある日俺、偶然に、その山の中で道に迷って行き倒れた坊さんを助けたんだよね。 坊さんがたった一人でそんな山の中を歩いてるなんて、妙な話だと思うだろうけど、東の海の向こうにある、ハザディルという国から修行のためにカシャトラの山に来たんだと言ってたよ。 その坊さんが、俺の生活を見て、俺をかわいそうだと言うんだ。 こんな生活をしていてはいけない、って」

 幼いヴィスバルのいたいけない姿が頭に浮かんで、ルドゥアも思わず大きくうなずき、その 『坊さん』 に同意した。
 「そうよ! そのお坊さんの言うとおりだわ!」

 ヴィスバルの顔が、少し嬉しそうに緩んだ。
 「で、その坊さんが、俺にも坊主になれと勧めたんだ。 そこで俺はその坊さんと一緒に、兵舎を抜け出して、山を超えて、隣国のイルプシマに密入した。 それから、国境の近くの小さな漁港から船に乗って、 『たそがれの港』 に行った」

 「まあ! 『たそがれの港』 に?!」

 「そうだよ。 君の生まれた街に、俺は、そんな昔に行ったことがあるんだ。 もっとも、ほんの一晩、安宿に泊まっただけで、何も見なかったし人にも会わなかったけどね。 それでも俺、それまで大きな街の灯なんて見たことがなかったから、宿の窓から、明け方まで、うっとりして街を見ていたよ」

 「まぁ・・・その灯りのひとつに、あたしもいたかもしれないわね!」


 「そうだよなあ・・・。 そのときは俺まだ、あの牢獄みたいな兵舎から抜け出せたことだけが嬉しくて、そのほかのことは何にも考えられなかったんだけど、でも、 『たそがれの港』 の街灯りを見たとき初めて、ああ、俺もあんな明るい街で、他のパピトたちと一緒に暮らしてみたい、って思った。 そして、 『たそがれの港』 を出港して、次に泊まったのが、ここ 『朝霧の港』 だ。 俺、船を下りるとすぐに坊さんに頼んで、少し街の中を探検させてもらった。 町の中ってどんなふうになってるのか、どんな人たちが暮らしてるのか、この目で見て、この手で触れてみたくてね。 そうして、街に出たのが、悪いことに、夜だったんだよね。 え、何が悪いって、夜、この街が一番にぎやかで華やかな時間に、まだ人生の楽しみなんか何一つ知らない小僧が、いきなり歓楽街のど真ん中に迷い込んじゃったんだぜ。 俺、少し歩き回っただけで、この街に夢中になっちゃった。 街の中は、生き生きとして、きらびやかで、忙しそうで楽しそうで、すれ違う人たちはみんな幸せそうに笑っていて、女の子たちは綺麗だし、通り過ぎる店の中に並んでいるものはどれもこれも、俺の目を奪うものばかり。 そして何よりも、兵隊がひとりもいないんだ。 ほんの一時間ばかりメインストリートを歩いているうちに、俺もう坊主になるのなんかいやになっちゃった。 それで、そのまんま、坊さんが俺を待ってるはずの宿に、帰らなかったのさ」





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最終更新日  2012.02.24 18:01:59
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