Welcome  BASALA'S  BLOG

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STRAGE





顔を合わせたのは、20年振りでした。



待ち合わせ場所で会った途端、

「ビールでも飲もう!」

と言ってしまう、デリカシーのない私に合わせてくれて……。

(すごく暑かったのです! 彼も汗ダクでしたし)

阪急三番街のこましなカフェに行ったのですが、

数組が並んでいる状態。

「おやじ居酒屋でもいい?」

とさらにデリカシーのないことをほざいた私の提案を

すんなり聞き入れてくれて、梅田食堂街へ。

何と、立ち飲み屋ですよ。

駆けつけ3杯!


ダメだなぁ。

何でこんなにおやじ化してしまったのだろう。

でも、最低な私に合わせてくれる、やさしくて度量の大きな男性に

なってくれていて、よかった……。



20年、いえ、15歳からいままでの歳月は、

確実にお互いの姿に反映されていたのだろうけれど、

少し右に首を傾げて歩く姿とか、

顔を動かす速度がとても早いこととか、

声とか、

とても早口で滑舌のいい話し方とか……

15歳のときと同じでした。

懐かしいものです。



と、私は思いましたが、彼はどう思ったのか……。

「変わってないなぁ。15歳のまま」

と言われ、ちょっと複雑ですが、

私も結構個性的な部分があるのでしょう。

「後ろ姿でわかった」

らしいですし。

あのころと比べると、髪の長さも、身長も、体重も違うのだけれど、

きっと「気」が変わっていないのだと思います。

ちょっとピリピリしていて、緊張感があって、気の強そうな感じの。



20年前も多分きちんと聞けなかった

「私のどこが好きになった?」

という質問をしてみました。

実は、想像すらできていなかったのです。

彼は、頭がよくて、野球部の主将で、ピッチャーで4番。

マラソン大会ではいつも優勝するし、背が高くて(早熟)、

顔もハンサムタイプ。

私はというと……イモねえちゃんでした。

ソフトボール部でピッチャーでしたけど、大してうまくもないし、

体が小さいので、「太りなさい」と高校のスカウトマンに言われ、

ソフトボールを諦めるという根性なしでした。

彼が私に「つき合ってくれ」と言ってくれた理由がわからなかった。



「キミ、カッコよかったよぉ」

という返事。

どうやら、男の子の間では、私は結構モテたらしいということを

初めて知りました。そういえば、伝令からそういうことを聞かされたり、

手紙をもらったりしましたが、私には好きな人しか目に入らない

という病気があるので、それ以外の人からの告白など

全く意味がなかったのです。



ふうん。

カッコよかったのか……。



1年のときは、男の子から結構告白された気がするけれど、

2年生になったら、女の子からの告白がぐんと増えて

女の子の方が強烈なので、男の子のことは覚えていない。

3年になると、彼のことが好きになったので、

それ以外のことは見えないし……。



今回再会してみて、私は随分彼のことを誤解していたということが

わかりました。

勝手なイメージで彼をつくり上げていたようです。

無理もない。

ほとんど話したことないし、理解し合えるような機会もなかった。

20年前に再会したときも、怖くて確かめられなかったことばかり。

記憶やイメージが修正されて、彼のことがわかったからといって、

あのころの気持ちは変えようがないし、

今の彼は、今の彼で、とても素敵な人だったし……、

中学時代の彼とはまた別の存在になったのかもしれません。



こんな機会があって、よかったのか……。

よかったと思えるようにしましょう。

せっかく、わざわざ北海道から大阪まで来てくれたのだから。



……とはいえ、反省することとか、謝らないといけないことばかりで、

彼が「よかった」と思ってくれるかどうかは定かではなく……。



                            つづく

淡い15の記憶は、遠雷のように……その2




「つ、壷とか、布団を売りつける?」

「はは、今回は大丈夫」

何気に本気っぽい私の質問に、彼は笑って答えました。



でも、「今回は」ですから、要注意です。



高級羽毛布団、高機能浄水器、耐震リフォーム、

壷、水晶、霊験あらたかなお守り、開運札、

絵画、未公開株、和牛預託、

未承認薬、新成分の健康食品……

その他諸々の素晴らしい商品や権利には注意しましょう。



20年もたって、わざわざ連絡を取るという七面倒な行動を

起こさせる理由がわからなかった私は、聞いてみました。

「いまごろ、なぜ?」

「ずっと、君のことが気になってた」

「20年も?」

「そう」



だそうです。

私も、気にならなかったかというと……気にはなっていました。

気になったからといって、ぶつかるのは怖い。

相手の「気になる度」が同等とは思えないものです。

同等じゃなかった場合……いやだわ。

うむ……私には勇気がなかったのかもしれません。

彼は「勇気のある人」だったということでしょう。

言い換えれば、彼には自信があったということなのかもしれません。

相手にアクションを起こすとき、どんなリアクションがあるのか、

ある程度予想しないとできない。

全くリアクションがないとは、思っていなかったように思います。



「私からリアクションがあると思ってた?」

「わからなかった」

「全くなかったらどうした?」

「次の展開を考えてた」



うむ、勇気がある以上に戦術家なのかも……。



何にしても、賢い人です。



以前のブログ「いい男は女性をいい女にする」(4/10)で、

「いい男の条件」で挙げた10項目、

彼は結構(8項目以上。もしかしたら全項目)該当すると思います。



ということは……。



布団とか、浄水器とか、そんな簡単なものじゃないのかも!!!



気をつけないといけません。



やはり、やはり、いろんな意味で、彼に確かめるべきことがありそうで……。



                         つづく


淡い15の記憶は、遠雷のように……その3


15歳のときは、本当に話す機会がなかった。

自宅は学校を挟んで正反対だし、クラスは別だったし。

事務的であれ、業務的(とは言わないけど)であれ、

二人っきりで話ができるのは、生徒会の集まりのときくらい。

が、これが期待はずれな感じで、彼(会長)と私(書記)が部屋にいると、

必ずといっていいくらい茶々が入る。

彼のことが好きな学級代表、

私のことが好きな会計、

他の男の子の伝令になっているもう一人の書記などが

必要もないのに部屋をうろちょろするのです。

いつも、「邪魔」な人たちが「邪魔」をする。



ほとんど会話をした記憶がありません。



20年前の会話は、思い出をたぐり寄せるためだけに

時間を費やしたような気がします。

今回は……テーマを決めておけばよかったと、いまさらながら後悔。



限られた時間なのに、とりとめのない会話ばかり。

15歳からいままでの時間を埋めるほどの会話は絶対できないのだから、

いかにその時間を楽しく過ごせる話題を見つけるか、

過去の思い出を彩れるネタをひねり出せるか……。

会話って、本当に難しい。

私のつまらない話を、彼は微笑んで聞いてくれていましたが、

私が聞き役になっていたら、自分の話、イヤだったと思います。



それでも! この機会に言わないと、一生後悔するだろうと

思うことがあって(あらかじめ用意していたわけじゃなく、

その場で考えましたが)、酔っぱらった勢いで、3つのお願いをしました。



一つは「ハグ」。

私の要求に応えて、大きくハグをしてくれた彼の胸と腕の力は、

ずっと昔から妄想していたもののような……。

胸の厚みと懐の広さ、そしてその位置は、私にぴったり。

懐かしさと安堵感がぶわぁっと……。

懐かしいはずはないのです。15のときにはできなかったことですから。
……ハグって、よいです。

この年になって、ようやく気づいたことのような気がします。



二つ目は「お姫さまだっこ」。

ちょっと恥ずかしい要求ですが、中学生の女の子にとっては
夢のようなシチュエーション。この際……。

まさか、「お姫さまだっこして」とは言えないので(幾らなんでも)、

ハグの後、足をピョンと上げたら、ヒョイ!っと。

優しい人です。

まるで、申し合わせていたかのように、自然に応えてくれました。

彼が鈍い人で、スカされたいたら……カッコ悪。

それにしても、私は大人気ないし、厚かましい。

よくも、こんなお願いができたものです。

……でも、気持ちよかった。

私は、大柄ではないけれど、私をヒョイと抱き上げることのできる

男性というと、ある程度の身長と力がないと無理。

お姫さまだっこしてもらっても、ヨロヨロされたり、

自分のいつもの視線より高くなかったら、意味がないのです。

彼の場合は……ジャストな感じ!

貴重な経験でした。……。



三つ目は……ナイショ。



大したことじゃないけれど、15のときにできなかったこの3つのお願いは、

いまだからこそできた、厚顔無恥なおばちゃん(おやじ?)ならではの

哀願事項でした。



中学を卒業した後、ずっと別々の人生を歩んできた二人。



かすかな接点を20年前に持ちましたが、

いま考えてみると、そのときはまだ夢の途中のような感じ。

あら、じゃいまは夢から覚めちゃったの?



そういうことかもしれません。

大人気なくて厚かましい私の行動で、お互いに持っていた淡い夢が

すっかり覚めてしまったように思います。



でも! 今回の再会も20年前のような状態で終わってしまうと、

淡い夢の続きを見続けないといけなくなる……。

少しはストーリーを先に進めないと。



なんて、考えていたわけではなく、酔っぱらいの行き当たりばったりで、

「ま、まずいことをしてしまった」

という(私がやりがちな)類の行動でした。



私としては、後悔半分、満足半分。



……彼がどう思ったか……。



                  場合によってはつづく…かも。


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