私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2014年06月12日
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カテゴリ: 千の朝
f449



 描写といふ文字による方法をとらないにしても、人間が人間を理解するといふだけの事が、あるいは無謀に近いことかも知れない。

 最も身近な最も多くの生活を見知つてゐる人間についても、否、よく知つてゐればゐるほど、ますます人間とは理解し尽されないものである。

 小説などといふものがどんなにみすぼらしいものか、といふ気がする。

 人間と人間との関係はほとんど総べて誤解から成り立つてゐる。

 われわれは誤解してゐる人間をそのままに描いて行くことしか出来ない。

 理解したと思ふことが即ち誤解したことにほかならない。



 実は理解の喜びではなくて、虚偽の個性を創造し得た喜びであるのだ。

 かくて小説は、誤解と虚構との上に成立する。

「自由と倫理」 石川達三 文芸春秋





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最終更新日  2014年06月12日 05時36分03秒
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