私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2016年05月10日
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カテゴリ: 千の朝
f899


 たからのほしみ〈欲〉を棄てて、
 明らかに訴訟(うつたえ)を弁(さだ)めよ。
 それ百姓の訟は、一日に千事あり。
 一日すらなお爾(しか)るを、
 いわんや歳(とし)を累(かさ)ねてをや。
 このごろ訟を治むる者、利を得るを常とし、
 賄(まいない)を見てはことわりもうす〈讞〉を聴く。
 すなわち財あるものの訟は、

 乏しきものの訴は、水をもって石に投ぐるに似たり。
 ここをもって、貧しき民は所由(せんすべ)を知らず。
 臣道またここに闕(か)く。

 役人たちは飲み食いの貪(むさぼ)りをやめ、
 物質的な欲をすてて、
 人民の訴訟を明白に裁かなければならない。

 人民のなす訴えは、
 1日に千件にも及ぶほど多くあるものである。

 一日でさえそうであるのに、
 まして一年なり二年なりと、年を重ねてゆくならば、
 その数は測り知れないほど多くなる。


 訴訟を取り扱う役人たちは
 私利私欲を図(はか)るのがあたりまえとなって、
 賄賂(わいろ)を取って当事者の言い分をきいて、
 裁きをつけてしまう。

 だから財産のある人の訴えは、

 反対に貧乏な人の訴えは、
 水を石に投げかけるように、とても聴き入れられない。

 こういうわけであるから、
 貧乏人は、何をたよりにしてよいのか、
 さっばりわからなくなってしまう。

 こんなことでは、
 君に仕える官吏たる者の道が欠けてくるのである。

「聖徳太子」日本の名著 第2巻 中央公論社





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最終更新日  2016年05月10日 06時52分19秒
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