私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2017年02月02日
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カテゴリ: 千の朝


 ただ、本居宣長を、出来るかぎりこまやかに、
 なぞつて繰り返さうといふことであつた。

 このやり方を見て嘲笑(わら)ふ人もある。

 今日の学者や批評家は、
 「まなぶ」といふことがもともと
 「なぞつて繰り返す」ことであつたのを忘れてゐて、
 それを何かひどく単純で
 つまらぬことのやうに思ふのである。


 本来、ただ複写機(コピー)のボタンを押して
 紙の出て来るのを待つやうなことではない。

 「解釈」といふことの内にすでにひそむ我執を、
 洗つて洗つて洗ひつくして、
 自分が何の変哲もないただの板切れ一枚になつたとき、
 突如それを共鳴板として「宣長の肉声」が響き出す
 ――さうなつたときがおそらく、
 小林秀雄氏の
 『本居宣長』を書き始めたときであつたらう。

「からごころ」 長谷川三千子 中公文庫





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最終更新日  2017年02月02日 07時45分08秒
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