私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2017年03月23日
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カテゴリ: 千の朝


 世界史の中で「植民地の時代」といふ
 題をつけて目の前におかれれば、
 滑稽な長さと思ふ者はゐないであらう。

 西洋人達が本格的にアジア、アフリカを分割し
 支配し始めてから、
 再びその大部分の国々が独立するまでが
 ほぼ百余年である。

 その百余年、アジアでもアフリカでも、

 戦はなかつた国はなかつた。

 それがいかに絶望的な戦ひであつたかは、
 その中でともかくも戦争の体をなして、
 一応の勝利ををさめたのが
 エチオピア戦争と日露戦争だけ
 であつたことを見ても解る。

 日本もまた、
 その片隅で自らの百年戦争を戦つたにすぎなかつた。

 例外的に善戦したとは言へ、
 本当の意味で敵をしりぞけたことは一度としてない。

 その百年間の途中で日本ひとりが

 見事「敵側」の一員になりおはせた
 と考へる日本人がゐたとしても、
 「世界」はそれを決して認めなかつたし許さなかつた。

 昭和十年前後の欧米の日貨排撃を見ても、
 白人達がいかに根強く白人以外の者を容れないかが解る。



 また実際、ならうともしなかつた。

 あの戦争の悲劇は、
 日本があくまでもアジアの一員として
 踏みとどまらうとした決意の内にあるので、
 ちなみに「悲劇」とは、
 避けられない運命に背を向けずに立ち向ふことを言ふ。

 林房雄氏がこの中で、

 「東亜百年戦争」はそもそもの始めから
 勝ち目のなかった抵抗である。
 しかも戦わなければならなかった。
 そして日本は戦った。
 何という「無謀な戦争」を
 われわれは百年間戦って来たことか!

 と言ふのもその意味である。

「からごころ」 長谷川三千子 中公文庫





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最終更新日  2017年03月23日 05時15分17秒
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