私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2017年11月01日
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カテゴリ: 千の朝


 この時代のいろいろな性格を、
 あと戻りしながら努めて思いだすならば、
 われわれは、
 その時代の簡易さにとりわけおどろく。

 交易の簡易さ。

 その時代の輸迭技術は
 今のおどろくべき実現とくらべると、
 われわれには幼稚にみえるけれども、


 ことに、一つの世界
 ――ああ、いまは消えてしまった――
 における旅行の簡易さ。

 そのなかを人々は、障壁も、
 入国税も、パスポートもなく、
 自由に往来したのである。

 過ぎ去ったその時代の安定性は、
 さらにいっそうわれわれをおどかす。

 関税率と、半永久性のうえに基礎をおく
 いくつかの通商條約とが、
 一つのベースをつくり、


 諸国家の信用は、
 当時の人々がいつまでも続くにちがいないと
 考えていた一つの財政機構のうえに土台をおいていた。

 金に支えられた貨幣の確固さは、
 五十年、いや、ほとんど百年をへても、


 最後に、予測が可能であった環境のなかでは、
 契約はいちじるしく安定していた。

 署名は尊重されていた。

 このような安定性は、
 社会構造のなかにも反映していた。

 というのは、西歐人は
 ――いまはそうした場合はないが――
 自分がいる環境のなかに根をおろしていたからである。

「民族の心」 アンドレ・シーグフリード ダヴィッド社





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最終更新日  2017年11月01日 07時50分28秒
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