私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2019年03月26日
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カテゴリ: 千の朝



 われわれの祖先の理想、われわれの家族制度、
 われわれの倫理、われわれの宗教は、日に日に色あせてゆく。

 あいつぐ各世代は、西洋人との接触によって、
 道徳的根性をうしなってゆく。

 廉潔のかわりに業績が重んぜられ、人格のかわりに才気が尊ばれる。

 われわれは、心ならずも、
 のこされたものを破壊しつくす手助けをする。

 われわれは、崩壊をもたらす改革をくわだてる。



 われわれは、没落と戦おうとして、外国の知識をもとめ、
 異国人のあやまった見地から視(み)るようにわれわれの心を訓練する。

 われわれはしはしば、絶望のあまり、廉潔は便利にまさることを忘れる。

 われわれのもっとも偉大な知識人さえ、奇妙な仮定にとらえられている。

 詭弁(きべん)は、男が借りることを憎む多くのものを弱さに貸しあたえる。

 あるものは、服従は抵抗の真の手段であると主張し、
 多くのものは、静観して行動を放棄すべきだと主張しすべてのものが、
 再興の時は熟していないという考えに賛成する。

 ヨーロッパの模倣と崇拝は、ついに、われわれの自然な制度となった。

 ロンドンの最新流行を誇示するカルカッタや東京の貴公子違の姿は、
 滑稽をとおりこして悲しくなるほどだが、


 流行を追うわれわれの学者たちが
 近代哲学の借り物の文句のなかにもとめる保護色を、
 彼らは衣裳にもとめているのである。

「東洋の目覚め」 岡倉天心 日本の名著 中央公論





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最終更新日  2019年04月15日 06時56分05秒
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