私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2019年06月18日
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カテゴリ: 千の朝


 一度は失敗し、その次のときには成功したということは、
 どういう状況の変化によるものだろうか。

 一つの、すぐに目につく相違は、技術的なものである。

 十六世紀、および十七世紀には、
 西欧の船や武器は極東のと比較してそう優れてはいなくて、
 それだけで勝を制するわけにはゆかなかった。

 それでこの二つの文明が最初に接触したときは、
 極東側の方が相手を抑えて、

 西欧側はそれにたいして何もすることができなかった。

 しかし西欧人が十九世紀に
 再び支那や日本の海岸に現れた際には、
 彼らの方が優勢になっていた。

 なぜなら、支那や日本の武器が
 まだ二百年前と同じ種類のものだったのにたいして、
 西欧にはその間に工業革命が起り、
 西欧人は極東の国々にはない
 新式の武器を持って戻ってきたからだった。

 そしてそういう情勢の下では、
 極東は二つのうちのどれか一つの形で


 この新しい技術による西欧の挑戦を無視することにすれは、
 西欧人にたいして閉ざされた戸は
 砲撃によって開かれるのに決っていた。

 そしてその他に残された唯一の道は、
 十九世紀の技術を習得することによって西欧の侵入を防ぐことで、

 自発的に西欧の技術にたいして門戸を開放しなけれはならなかった。

 この、西欧が持っている最新式の武器の使いかたや製造法を学んで、
 西欧にたいして自分の地位を強化する方の政策を採用し、
 これを実行に移すことにかけては、日本人の方が支那よりも早かった。

 しかし支那人もしまいにはその決心をして、
 インドのように西欧に征服される運命を危く免れた。

「世界と西欧」 A・J・トインビー 現代教養文庫 社会思想社





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最終更新日  2019年06月18日 05時10分05秒
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