陶磁器について



 陶磁器とは名のとおり陶器と磁器の総称です。
 陶器は主に粘土を焼成して作られるため土物と呼ばれ、そのままだと脆い物が多く、水漏れもおこるので釉薬をかけ表面を硬く焼きます。

 対して磁器は主に石を砕いてそれを水で溶き漉した物を脱水して原料とするため石物と呼ばれます。成分はガラス質の石英や珪石です。

 土物は厚く温かみが有り、窯変と呼ばれる窯の中で付着する自然釉の自然な風合いを楽しむ器が多く、磁器は冷たく薄い器ですが丈夫で美しく純白の輝きや絵付けの妙を楽しむ器です。

 土物の代表的なものは信楽や備前、唐津、瀬戸と言った産地で、磁器は有田、京の楽焼、などです。ドラマ優しい時間の最終回で主人公の卓が焼いていたのは楽です。
楽焼はふいごで燃焼温度を上げ刀剣を作るように焼き上げます。 利久が発案し長次郎が作りました。 楽 一文字は私の好きな器のひとつです。

 さまざまな焼き物がありますがこれらを焼く窯は薪で焼く屋外窯とガスや電気を使った屋内用の窯に分けられます。

 もちろん昔は屋外の窯しかなかったので全部薪窯でしたが今では少数で焼く事が出来、時間も短くてすむ事から電気窯や,ガス窯が多く用いられるようになっています。特に都会近くの窯では煤煙の問題もあり屋内窯の窯元がほとんどです。

 京都の東山五条は窯元が集中した町でしたが、やはり煤煙問題で山科に窯元団地が作られほとんどがそちらへ移転しました。

 薪で焼くのに比べ電気やガスの方が短時間で焼きあがるのは、窯が小さいのと火力が安定しているせいで焼きだしてすぐ焼成温度まで持っていける所にあります。

 薪窯ではどうしても広い内部全体の温度を上げるためには4日から6日かかるのに対し電気やガスなら1日か2日で済んでしまいます。

 ただ薪の灰などから出る自然柚は掛かりませんから窯変を楽しむ信楽や備前などの須恵器、焼き締めなどの器はどうしても薪窯でと云うことになり、そういった窯はだんだん山奥の人里はなれた場所で窯を営むようになっています。

 磁器を焼く場合、陶磁器のように灰が掛かっては器が汚れるので、窯に入れるとき円い筒の中に器を入れ直接器に炎や灰・煙が掛からないようにしてから焼きます。 
 このため熱が器に伝わりにくくなるため磁器の焼成温度は陶器の焼成温度に比較すると200度位高い温度で焼く必要が有ります。

 陶器より磁器が後から作られたのは釉薬や生地の問題も有りますが、ここまで高温の窯が作られなかったと言う事もその原因のひとつだろうと思います。


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