音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年04月03日
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テーマ: 洋楽(3405)




 ロイ・オービソン(Roy Orbison)は1936年、テキサス生まれのシンガーソングライター。1955年にシングル「ウービィ・ドゥービィ」でデビューし、エルヴィス・プレスリーの後釜的存在と目されるもすぐにヒットには恵まれなかった。大きく飛躍したのは1960年の「オンリー・ザ・ロンリー」から5年ほどの間で、かの有名曲 「オー・プリティ・ウーマン」 も、もともとはこの時期のヒット・ナンバーであった。

 その後、60年代後半から70年代全般にかけては不調が続いた。妻の交通事故死、火事で息子2人を失うなど個人的な不幸にも見舞われた。とはいえ、着実にキャリアを重ねていった結果、80年代には再び注目を浴びる。一つは1987年のロック殿堂入り( 関連過去記事 )である。そして、もう一つは、覆面バンド、 トラベリング・ウィルベリーズ としての活動である(このバンドのメンバーとしてロイはレフティー・ウィルベリーの偽名で参加、他のメンバーはボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン、トム・ぺティ、ジェフ・リンであった)。

 そんな復活劇のさなか、1988年末にロイは心筋梗塞のため帰らぬ人となった。まだ52歳だった。翌89年には主人不在の“新作”がリリースされた。この『ミステリー・ガール(Mystery Girl)』は急逝の直前数カ月で吹き込まれたアルバムだった。本作は米国チャート(ビルボード)で5位、全英チャートでは2位を記録する大ヒットとなった。悲しい記録ではあるが、ビルボードのチャートで死後にTOP 5に2作同時ランクイン(本盤と上記ウィルベリーズ盤)というのは、エルビス・プレスリー、マイケル・ジャクソン、ロイ・オービソンの3者だけだとのこと。

 アルバムの内容は、50~60年代からのロイのよい部分をうまく生かしたつくりをしている。よい部分というのは、伸びのあるファルセット・ヴォイスの魅力もそうなのだが、何よりもロカビリー要素を残す“古き良き時代”的な曲調が、単に過去のものとして懐古的に再現されるのではなく、うまく現代風にアレンジされている点である。曲は多くがロイの自作曲で、プロデュースは曲によりロイ自身を含む様々な面々が担当(ジェフ・リンやボノの名も含まれ、トム・ぺティ&ザ・ハートブレイカーズのギタリストであるマイク・キャンベルも複数曲を共同プロデュースしている)。1.「ユー・ガット・イット」(シングル発売され全米9位、全英3位のヒットとなった)のようにいかにもジェフ・リンなアレンジの曲もあるものの、最終的に全体のトーンを取りまとめているのは、やはりロイの伸びのある声。曲ごとにプロデュースが統一されていない点を考慮すれば、なかなかうまくまとまった作品に仕上がっていると思う。ちなみに、演奏面でもジェフ・リン、トム・ぺティ、マイク・キャンベル、ボノらが参加している。

 急逝後のロイの勢いはこのアルバムで止まったわけではなかった。かつてのヒット曲 「オー・プリティ・ウーマン」




[収録曲]

1. You Got It
2. In the Real World
3. (All I Can Do Is) Dream You
4. A Love So Beautiful
5. California Blue
6. She's a Mystery to Me
7. The Comedians
8. The Only One
9. Windsurfer
10. Careless Heart








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Last updated  2011年04月03日 08時12分29秒
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