音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2012年03月01日
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テーマ: Jazz(2004)
カテゴリ: ジャズ




 ジャック・ウィルソンといっても、大リーグ・マリナーズの選手ではない。スポーツ界や音楽界など同姓同名はたくさん存在するほどのありふれた名前である。今回登場するジャック・ウィルソンとは、1936年シカゴ出身で、2007年に亡くなったジャズ・ピアニストである。

 10代の頃からプロ活動を開始したものの、兵役のためにいったんキャリアが途切れ、60年代に西海岸で活躍するも、若い頃からの糖尿病に悩まされ続けた。そうこうする中、かのブルーノート・レーベルから創始者アルフレッド・ライオンが手を引き、ブルー・ノートはリバティに売却される。ブルー・ノートというレーベルのおかれた変化が、遠く離れた地で活動するジャック・ウィルソンにも影響し、ウィルソンはこのレーベルから作品を出すめぐり合わせとなる。最初は西海岸でレコーディングがなされたが、本盤『イースタリー・ウィンズ(Easterly Winds)』の制作に当たっては、東海岸で録音が行われ、ブルーノートの花形奏者たちと共演することになった。“東の風(イースタリー・ウィンズ)”なるアルバム名(それは収録曲4.の題名でもある)はこういう状況を反映するものである。

 かくして1967年秋にレコーディングされた本盤のメンバーは、ジャック・ウィルソンをリーダーとしてブルーノートの花形プレーヤーともいうべきリー・モーガン(トランペット)およびジャッキー・マクリーン(アルトサックス)の2人を含む6人編成。フロントにはトロボーンのガーネット・ブラウンが加わって三管となっている。ジャック・ウィルソン自身によれば、“強いソロイスト、独自の演奏をするミュージシャンが欲しかった”とのこと。なるほど編成の内訳としてはありきたりだが、具体的なメンバー構成では一作を案じたといったことになるのだろう。

 この頃のブルーノートはもはやかつてのそれではない、東と西のミュージシャンは別の言語話す…。だからといって駄作が生まれるとは限らない。ジャック・ウィルソンの個性と才能はこれをさらりと違和感なく組み合わせられたところにあるということだろうか。リー・モーガンを単独で聴きたい人やジャッキー・マクリーンをひたすら堪能したい人には物足りなさが残るかもしれない。けれども、ジャック・ウィルソンのアレンジ力、各曲の演奏のこのメンバー全体としての統合感には目を見張るものがある。1.「ドゥ・イット」や2.「オン・チルドレン」や4.「イースタリー・ウィンズ」といった自作曲での巧妙なバランス感覚、6.「フランクス・チューン」に代表される軽快さ、あるいは3.「ア・タイム・フォー・ラヴ」の繊細な美しさ。ほぼどこをとっても安定していて、初の東海岸録音とか初顔合わせといった不安要素を感じさせない。きっと彼が最初っから東海岸で活動していたら、もっと評価されて有名どころ扱いを受けるミュージシャンになっていたのかな、と想像させられたりもする。



[収録曲]

1. Do It
2. On Children
3. A Time For Love

5. Nirvana
6. Frank’s Tune


[パーソネル・録音]

Lee Morgan (tp)
Garnett Brown (tb)
Jackie McLean (as)
Jack Wilson (p)
Bob Cranshaw (b)
Billy Higgins (ds)

1967年9月22日録音。






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Last updated  2012年03月01日 06時20分28秒
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