音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2017年03月26日
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テーマ: 洋楽(3314)
90年代、空白期の高精度ライヴ盤


 スティーリー・ダン(Steely Dan)は1972年にデビュー盤を出してから1980年の『ガウチョ』まで、メンバーの問題などはあったものの活動を継続していた。しかし、それ以降、活動は休止し、一方のドナルド・フェイゲンはソロ作を出し、他方のウォルター・ベッカーは麻薬を断とうとハワイ移住した後、プロデュースなどで活動する。

 1990年代に入り、フェイゲンのソロ第2作をベッカーがプロデュースし、さらに何年か後にはベッカーのアルバムをフェイゲンがプロデュースするという交流が生じている。ちょうどそんな時期の間で、彼らは“スティーリー・ダン・フィーチャリング・ウォルター・ベッカー&ドナルド・フェイゲン”という名義でツアーを行った。つまるところ、スティーリー・ダンとしての活動は休止状態のままであったものの、両者の交流はあり、その中で生まれてきたライヴ・ツアーの模様が、1990年代の“スティーリー・ダン空白期”にひょっこり出たアルバムである本盤『アライヴ・イン・アメリカ(Alive in America)』となった。

 よく言われるように、スティーリー・ダンは“バンド”というよりも、上記2人の“プロジェクト”のようである。つまりは、バンドの一体感よりは音楽の統一性および完成度が優先される。それがいいとか悪いとかではなく、スティーリー・ダンはさおういうものなのだろう。だとすると、ライヴ盤というのを訝しがる聴き手が多くいて不思議はない。

 がしかし、である。スタジオ録音での完成度の高さをイメージする聴き手が諸手を挙げて納得というレベルの演奏が居並ぶ。がっかりしたくないから聴くのを躊躇するというのはまったく当たらないように思う。なおかつ、洋楽の世界全般を見ても、これほど精度の高いライヴ盤はなかなかお目にかかれないだろう。

 元の楽曲のイメージにも左右されているとは思うが、筆者の好みをほんおいくつかだけでも挙げると、まずは『ガウチョ』に収められていた1.「バビロン・シスターズ」。この1曲目で大納得である。セカンド作所収の3.「菩薩」のスリリングさもいい。8.「サード・ワールド・マン」はライヴでの完成度とは何ぞやという一つの答えのようにすら思える。そして、何と言っても、アルバムを締めくくる11.「彩(エイジャ)」(元は 同名アルバム の収録曲)。ライヴでの質の高さと完成度の問題へのもう一つの解答と言える。

 スティーリー・ダンのキャリアの中では決して“決定版”でも何でもないのかもしれない。もしかすると、タイミングがうまく合って実現しただけの、通過地点のライヴ盤であったりするのかもしれない。けれども、一聴き手としての個人的見解を述べると、スティーリー・ダンを聴いたことがある人も、そもそもその経験がない人も、洋楽を聴くすべての人に、ハイレベルなライヴ盤として一度は聴いてもらいたい作品と言えるように思う。


[収録曲]


2. Green Earrings
3. Bodhisattva
4. Reelin' In The Years
5. Josie
6. Book Of Liars
7. Peg
8. Third World Man
9. Kid Charlemagne
10. Sign In Stranger
11. Aja

1995年リリース。





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Last updated  2017年03月26日 05時50分58秒
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