音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2018年07月04日
XML
テーマ: Jazz(2003)
カテゴリ: ジャズ
美しいオーケストラとサックスの“予定調和”


 マイケル・ブレッカー(Michael Brecker)は、1949年生まれ、2007年没のフィラデルフィア出身のサックス奏者。一方のクラウス・オガーマン(Claus Ogerman)は、1930年ポーランド生まれの作曲家・編曲家で、2016年に亡くなっている。

 この2人は1970年代にも共演の経験があったが、1980年代に入ってトミー・リピューマを介して共演作の話が進むこととなった。このプロデューサーが抱いていた作品の計画とは、オガーマンのアレンジしたオーケストラの上で、ブレッカーがテナー演奏を披露するというものだった。1982年、この計画が実現に移され、ニューヨークで録音された。

 その成果が本盤『シティスケイプ(Cityscape)』ということになる。当時のブレッカーは体調がよくなかった(実際、レコーディングの直前まで入院していた)が、それにもかかわらず、見事な演奏を披露している。とはいえ、この作品の好き嫌いは分かれるかもしれないようにも思う。というのも、オガーマンのクラシック寄りの発想は、結果的にこの作品がジャズに分類されてよいものなのかどうかという疑問を生み出しかねないからだ。けれども、筆者の個人的見解としては、それも含めて秀作だと思う。

 綿密に練られたアレンジ、オーケストレーションが準備されていたことを考え合わせれば、ブレッカーのプレイ面での自由度はさほど多くなかったのかもしれない。こういう言い方をすると、“予定調和?”と言われてしまいそうだが、ある程度そうだったのだろうと思う。予定もしくは予想された流れの中で演奏が繰り広げられていることは事実なのである。

 総勢60人を超えるオーケストラを用意したとのことで、ところどころ“やり過ぎ”と感じるところはなくはないものの、ひとまずは表題曲の1.「シティスケイプ」に本盤のコンセプトはよく表れている(かつ本盤中で筆者が最も気に入っている曲である)。この曲を含めてすべてオガーマンの作曲した楽曲である。加えて、聴き逃がせないと思うのは、アナログではB面となっていた組曲風の4.~6.「神々の出現そして不在」(原題の直訳は「各々の存在と不在」でパート1~3と題されている)。連続しているが曲調や雰囲気が変化していき、個人的にはもう少しブレッカーをまとめて聴きたいという場面もなくはないのだけれど、明瞭に本盤の意図が表現されているように思う。


[収録曲]

1. Cityscape
2. Habanera

4. In the Presence and Absence of Each Other (Part 1)
5. In the Presence and Absence of Each Other (Part 2)
6. In the Presence and Absence of Each Other (Part 3)

[パーソネル、録音]

Claus Ogerman (arrg), Michael Brecker (ts), Warren Bernhardt (kb), Steve Gadd (ds), Eddie Gomez (b., 1. & 3.), Marcus Miller (b, 2. & 4.-6.), John Tropea (g, 2.), Buzz Feiten (g, 4.), Paulinho da Costa (perc, 2. & 4.)

1982年1月4日~8日録音。





   ブログランキングに参加しています。
   応援くださる方は、ぜひ“ぽちっと”お願いします。
       ↓      ↓      ↓

にほんブログ村 音楽ブログ ジャズへ ブログランキング・にほんブログ村へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018年07月04日 21時48分54秒
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: