音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2018年11月12日
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2枚組ではなく、2枚同時発売の地力(後編)


『ヒューマン・タッチ』 を制作していたブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)は、その完成直前に新たなアイデアが浮かび、アルバム1枚分をさらに録音したという。早い話、 “ついでにもう1枚できてしまった”わけで、そのこと自体、驚異的な創作力である。そうして出来上がった内容は、2枚組(つまりは1つのアルバム作品)としてまとめるには適していなかったため、別のアルバムとして『ヒューマン・タッチ』と同時発売された。それが1992年発表の『ラッキー・タウン(Lucky Town)』であり、かつて1980年発表の 『ザ・リバー』 の際に見せたのと同じ爆発的な創作力が再び発揮された時だったと言えるように思う。

 先に企図された『ヒューマン・タッチ』に比べると、『ラッキー・タウン』の方にはストレートなアメリカン・ロック曲が並んでいる。筆者の推すナンバーは、1.「ベター・デイズ」、5.「リープ・オブ・フェイス」、7.「リヴィング・プルーフ」。いずれもスプリングスティーン節が全開の王道アメリカン・ロック・ナンバーである。

 他方、いくぶん変化球と言えそうなのは、4.「イフ・アイ・シュッド・フォール・ビハインド」、6.「ザ・ビッグ・マディ」、8.「ブック・オブ・ドリームズ」、10.「マイ・ビューティフル・リワード」。これらのうち、8.と10.はスロー・ナンバーの好曲。6.は 『ゴースト・オブ・トム・ジョード』 なんかにつながりそうな曲調と演奏である。あと、4.は、正直なところこのアルバムを聴いたときは特段何とも思わない曲だったが、後にE・ストリート・バンド再結成によってライヴで一気に魅力を獲得したナンバーとなった( 過去記事 参照)。

 ちなみに本盤のコンセプトは、『ヒューマン・タッチ』が自己を中心に据えていたのに対し、この『ラッキー・タウン』は他者に向けられた曲たちだったという。発売当時は、『ヒューマン・タッチ』はあまり評価が高くなく、本盤の方が広く聴衆に受け入れられたように記憶している。四半世紀以上たった今、筆者の中では、『ヒューマン・タッチ』の方も結構よかったのではないかという評価に変わってきている。つまるところ、本盤『ラッキー・タウン』は従来のスプリングスティーンのイメージに沿っていて、『ヒューマン・タッチ』の方はそこから逸脱しようとした試みでもあったのではないだろうか。結果、両作品はどちらが優れているかというのではなく、それぞれに異なるベクトルをもって評価される作品なのだろうと思う。




1. Better Days
2. Lucky Town
3. Local Hero
4. If I Should Fall Behind
5. Leap of Faith
6. The Big Muddy
7. Living Proof
8. Book of Dreams
9. Souls of the Departed
10. My Beautiful Reward






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Last updated  2018年11月12日 19時13分29秒
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