音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2025年11月20日
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テーマ: 洋楽(3564)
『ネブラスカ』全曲紹介(第4回)


 ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム 『ネブラスカ(Nebraska)』 の全曲紹介の続きです。なかなか最後までたどり着きませんが、いましばらくお付き合いください。

 アルバムの7曲目(LPのB面としては2曲目)は、「ユーズド・カー(Used Cars)」、要は“中古車”です。シンプルな弾き語り調の中、この曲では、語り手の子どもの頃の情景が、夢に出てきた話として語られています。しかし、その夢の中の情景は、決して穏やかな子供時代の思い出ではありません。“朝から朝まで汗水たらして同じ仕事”をする父親が新車は買えず、新しい中古車を買うシーンです。貧しさから抜け出せない状況を目の当たりにしもどかしく感じている主人公は、“宝くじに当たった日には、俺は中古車なんかには乗らない”と締めくくります。つまりは、夢で思い出した子どもの頃の体験、父親の自動車(中古車の購入)というエピソードを通じて、変えようのない社会的現実が語られるわけです。そして、この曲の主人公も、おそらくは新車を買えない境遇にいる…。そんな彼の境遇が“中古車”、“宝くじ”というキーワードで語られるわけです。これもまた、当時のアメリカの労働者階級の社会的苦悩を示唆するストーリーになっていると言えるでしょう。

 続く「オープン・オール・ナイト(Open All Night)」は、『ネブラスカ』の収録曲のうち、唯一エレキギターを使用しているナンバーで、ロカビリー調の演奏です。他の曲に比べるとリズム感のあるナンバーですが、詞の内容はというと、これもまた明るいものではありません。彼女のもとへ一人で暗い夜中に車を走らせる男の心情を赤裸々に歌ったものです。最後には朝が明け、依然として車を走らせ続けている場面で曲は終わるのですが、興味深いのは最後の部分の詞です。混線するラジオを聞きながら、彼はDJに対して“最後の祈りを聞いてくれ”と訴えかけます。その祈りというのは、最後の方は掛け声と混じってわかりにくいのですが、曲をよく聴くと“このどうしようもない状態から抜け出させてくれ”というものになっています(歌詞カードでは明確にこの文言で詞は終わっています)。そう、先の 「ステイト・トルーパー」 という曲と同じセリフが締め括りになっているわけです。曲の配置(LPの曲順でも、「ステイト・トルーパー」はB面の最初の曲で、この曲はB面の3曲目)を考えても、おそらくスプリングスティーンは意図的に同じ言葉で語ることのできる結末を用意したのだろうと思います。

 『ネブラスカ』の収録曲、見れば見るほどテーマの重たさを感じるわけですが、あと2曲については、次回の更新記事で取り上げたいと思います。


元アルバム過去記事: 
ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』 (1982年リリース)


第1回(「ネブラスカ」)
第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)
第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)




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Last updated  2025年11月20日 22時49分15秒
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