続く「オープン・オール・ナイト(Open All Night)」は、『ネブラスカ』の収録曲のうち、唯一エレキギターを使用しているナンバーで、ロカビリー調の演奏です。他の曲に比べるとリズム感のあるナンバーですが、詞の内容はというと、これもまた明るいものではありません。彼女のもとへ一人で暗い夜中に車を走らせる男の心情を赤裸々に歌ったものです。最後には朝が明け、依然として車を走らせ続けている場面で曲は終わるのですが、興味深いのは最後の部分の詞です。混線するラジオを聞きながら、彼はDJに対して“最後の祈りを聞いてくれ”と訴えかけます。その祈りというのは、最後の方は掛け声と混じってわかりにくいのですが、曲をよく聴くと“このどうしようもない状態から抜け出させてくれ”というものになっています(歌詞カードでは明確にこの文言で詞は終わっています)。そう、先の「ステイト・トルーパー」という曲と同じセリフが締め括りになっているわけです。曲の配置(LPの曲順でも、「ステイト・トルーパー」はB面の最初の曲で、この曲はB面の3曲目)を考えても、おそらくスプリングスティーンは意図的に同じ言葉で語ることのできる結末を用意したのだろうと思います。