とは言え、大半は美しい曲と名人芸の調和の世界で聴かせるヨーロピアンなピアノ・トリオだ。猫麻呂には副作用としての「眠気」が強くでているが、そこは録音の良さによるオーディオ的な楽しさがカバーしてくれる。ベースがズズーっと前に出てくるのが気持ち良い。それに、いい曲が入っているのだ。4曲目のKenny Wheelerの曲"Nicolette"は、どこかで聴いたようないい感じの曲だが、どうやら猫麻呂の聴いたことのあるディスクには入っていないらしい。とにかく、一度聴いたら耳に残る良い曲だと思う。それからもう1曲、おなじみのガーシュインの"I Love You Porgy"が唐突に出てくるのが嬉しいビックリ箱となっている。スタンダードが並んでいるCDの中でこの曲が出てきても何も驚かないが、この作品では唯一のスタンダードとして"隠し球"のように効果的に出てくるのだ。しかも、テイラーの抽象的なオリジナル曲の後にさりげなく置いてある演出が憎い!