ジャズの神様の思し召しのままに

ジャズの神様の思し召しのままに

2008年02月16日
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テーマ: Jazz(2004)
カテゴリ: ★★★☆
ハリー・スイーツ・エディソンもライブで見たかったトランペッターのひとりだった。燻し銀のバック・クレイトン vs 華やかなスイーツというオールド・ベイシーの時代から、スイーツは「粋」で「華やか」な演奏が最大の魅力だ。しかし、スイーツのような演奏はマネしようにも簡単ではない。音を採譜しても、シンプルなフレーズが並んでいるだけなのだ。この個性を真似るには、自分がスイーツになりきるしかない。

かつて、猫麻呂はそんなスイーツが好きではなかった。若気の至りでお恥ずかしい限りだが、当時はコピーを前提に「音符」を追っていたため、シンプル過ぎるスイーツのフレーズは研究の対象外だったのだ。それが、ある日突然スイーツに目覚めた。きっかけは、ノーマン・グランツのジャムセッションの映像を集めた"Norman Granz Presents Improvisation"というDVD(当時はLDで高かったなー)だった。レスター・ヤングのセッションに飛び入りするスイーツの立ち姿のカッコイイこと。そして、あの艶っぽい音色にすっかり参ってしまったのである。スイーツのオープン・ホーンの音は、ジャズ・トランペットの歴史に残るカッコイイ音だと思う。おかげで、猫麻呂もスイーツの愛機セルマーの同じモデルを中古で買ってしまった。

脱線ついでに楽器の話をひとつ。セルマーといえばサックスが有名だが、オールド・ジャズ界ではセルマーのトランペットは一大ブランドなのである。あのルイ・アームストロングやハリー・ジェームズもセルマーを使っていた。当時のセルマーのトランペットの音色の特長は色気と明るさと粘り気。ルイやハリー・ジェームズの音はその典型だと思うが、かなりエロい音が出る。そんなセルマーのトランペットの中で、エロ&ダークな音が出るのが"K-MODIFIED"というモデルだ。この楽器は中音域の音の深さでメロディーを歌い上げるのに適している。ただし、音色は演歌風のドスの効いたものなので、クールでモダンな演奏には向かない。つまり、スイング派御用達の楽器なのである。そして、"K-MODIFIED"使いの代表がスイーツなのだ。晩年のスイーツをテレビ番組で見たが、やっぱり"K-MODIFIED"を使っていた。ボロボロの楽器でベルがお辞儀をするような状態だったが、それでもこの楽器にこだわり続けたのはよく分かる。トム・ハレルがコーンのコンステレーションにこだわっている(最近は楽器を変えたんでしたっけ?)のと同じだ。

話をスイーツに戻すと、スイーツの個性は音色(50%)、雰囲気(40%)、間の取り方(10%)だと猫麻呂は分析する。音色については"K-MODIFIED"を吹けば貴方も今日からスイーツ気分(気分だけね)だが、このオシャレ感はなかなか真似できるものではない。決してド根性で吹いてはいけないし、マイルスのような斜に構えてもいけない。常に飄々かつ堂々と(なんか矛盾してるような?)吹くのは難しい。この世界、ジャズというよりも古典落語に近いのかもしれない・・・と思って聴くと、格別の味わいなのだ。

そろそろ今日の作品の話に入ろう。この作品、これまでCD化されなかったが、ようやくCD化されたようである。(猫麻呂は吉祥寺ウニヨンで目撃しましたが、他店ではあまり見かけませんね。)しかも、同じルーレットでの1958年のセッションをカップリングした徳用盤。ただし、猫麻呂は随分と昔に買ったLPで聴いているのでCDは購入していない。この作品を購入したきっかけは、サイドで参加しているジミー・フォレストが目当てだった(当時はスイーツは好きではなかったから)が、フォレストのソロが1曲もないので相当がっかりした記憶がある。だから、フォレスト目当ての人は要注意。トミー・フラナガンとエルビン・ジョーンズが参加しているが、この2人も個性が活かし切れていない感がある。つまり、スイーツだけにスポットライトが当たった作品であり、スイーツだけを楽しむ作品としては良いが、それ以外の目的には適さないというのが留意点である。

なお、この作品のジャケ写真には分解されたトランペットが写っているが、これが何と本物の"K-MODIFIED"である。スイーツ本人の楽器かどうかは不明であるが、ジャケット写真を眺めながらスイーツの音色を聴けば、スイーツの音が一層楽しめるだろう。願わくば、ミュートを多用しないでオープンで吹いて欲しかったなー。

猫麻呂ポイント:★★★☆(3.5)
Patented by Edison

Patented by Edison (Roulette)
1. WITCHCRAFT
2. BLUE SKIES

4. MISBEHAVIN'
5. CANDIED SWEETS
6. THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME
7. TEA FOR TWO
8. THERE IS NO GREATER LOVE
9. TWENTY-FORTY
10. IT'S EASY TO REMEMBER
11. SWEETCAKES
12. ANGEL EYES

HARRY EDISON(tp), JIMMY FORREST(ts), TOMMY FLANAGAN(p), TOMMY POTTER(b), ELVIN JONES(ds)
Feb 12, 1960





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最終更新日  2008年02月16日 23時25分58秒
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