ジャズの神様の思し召しのままに

ジャズの神様の思し召しのままに

2009年01月25日
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テーマ: Jazz(2004)
カテゴリ: ★★★★
Here Comes Charlie


真っ赤な背景に、サックスを持ちながらスキップするおじさん。
その左にはタイトル"Clap Hands Here Comes Charlie"がある。このおじさんがチャーリーなのか・・・。

このレコード、DJ筋で人気があるそうだ。ジャズオタとDJでは思考も嗜好も違うので想像ができないが、おそらくは、クラーク=ボラン楽団がDJ筋で人気が高いため、派生作品として売れているのだろう。ラテンやモードの好きなDJがこのレコードを好んでかけるとは思えないのだが・・・。

まずは主役のカール・ドレヴォとは何者か、という疑問があるだろう。ネットで調べたところでは、オーストリアはウィーン出身のテナーサックス奏者ということらしい。ウィーン出身者がジャズをたしなむなんていうのはバチカンの人がメッカに向かって礼拝しているようなもんだ、なんて不穏当な比喩も出そうなものだが(そんな人はいないか?)、当たらずしも遠からじというところだろう。

このレコード、タイトル曲でグっと来る人は相当年季の入ったジャズファンだろう。"Clap Hands! Here Comes Charlie"というタイトルで「萌え~!」モードに入った人は戦前ジャズ派か相当のジャズ狂のいずれかに違いない。そもそもこの曲は戦前のカウント・ベイシーやチック・ウェッブ等のスイング全盛期に流行った曲であり、1950年代以降に取り上げる人は少ない。しかし、このシンプルな構成の曲は一時代のダンサー達を狂気乱舞させたのは間違いない。そんな曲であることをドレヴォおじさんが知らなかったはずはない。

2曲目の"I'm Getting Sentimental Over You"はトミー・ドーシー楽団のエンディング・テーマ曲だ。ドレヴォおじさんが米国のスイング時代に憧れていた疑いは濃厚である。更に、B面1曲目の"Limehouse Blues"だ。この曲、キャノンボールとコルトレーンの競演で有名だが、スイング期にはポピュラーだったこの曲もモダン期には取り上げられる機会は少ない。これらの状況証拠から考えると、ドレヴォおじさんはアメリカのスイング時代に憧れるヨーロッパのテナーマンというプロファイルができるだろう。

そうなると、B面の2曲目"Foot Pattin'"を見逃すわけにはいかない。この曲を取り上げているのは、テナー・バトルの聖典といえる"Very Saxy"に他ならないのである。ドレヴォのようなテナー・サックス・マニアがその点を見逃すはずはない。ホーキンスを始めとするテナー・バトルの競演を知らずにこの曲を演奏するなんてことはありえないのだ。この曲が出た時点で猫麻呂は「萌え~!」なのである。それはともかく、1930年代末から1940年代にかけてのテナー・バトルの歴史をドレヴォが意識した可能性は高いと言えるだろう。

結論としては、DJ筋で人気のあるこの作品は、正統派ジャズオタ的にも実は見逃せない作品と言えるのかもしれない。クラシック音楽の聖地にありながらスイングジャズに憧れ、テナー・バトルにも造詣が深いウィーンっ子というだけで面白いのだが、その作品自体が古き良き時代のジャズを彷彿とさせるというのが面白いではないか。しかも、録音された時代がモードやフリージャズ全盛期なのに、1930年代のスイングジャズをやっているというのが最高に面白い。DJ筋はこの辺りの事情を分かって聴いているのかどうか疑問ではあるが、ジャズがダンサブルだった時代の音楽を再現したのだから、「当たらずとも遠からじ」と言えなくもない。だけど、DJさん達には興味のないジャズの歴史を知ってこそ分かる面白さがこのレコードにはあるのかもしれない。


Karl Drewo / Clap Hands Here Comes Charlie (Rearward)










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最終更新日  2009年01月26日 01時29分02秒
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