ぼくの細道・つれづれ草

ぼくの細道・つれづれ草

2006.03.13
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
鳥の時間

   かわせみが見たくて楢山に来た
   この秋 楢山にいくつ団栗の落ちたことやら
   降り積もる枯葉が
   わたしの歩調に合わせて乾いた音をたてる
   冬ざれの疎林のなか きこえるのは
   過ぎた時間と過ぎようとしている時間
   その接点に
   軋み歯ぎしりする枯葉の音だけ

   楢山の奥 小さな泉で
   かわせみを見たのはいつのことだったろうか
   水面すれすれに光る ルリ色の飛翔
   あれが幻覚でなかったことを
   もう一度
   この目で確かめたかった

   人の命数に比べ鳥の命数はたかだか数年
   鳥は人の数十倍速い時間を生きている

   そんな自然の摂理の内にあって
   かわせみは あの日
   ほんの一瞬 たまゆらの 生命の影を見せた
   だけのことだったかも知れぬ

   泉は透き通る冬の水をたたえ
   静止した時間は
   水の底ひに沈んで声もない

   なのに ついに あの奔る光
   あのルリ色の飛翔を
   再び見ることはなかった

   楢山に囲繞された 鳥の時間は
   知らぬ間に
   わたしの視界を 
   はるかに超えていたようだ



*My Library

    これは詩ではない。でも いつか
    詩の周縁につながるかも知れない
    ところの記録・備忘である。

      いま 感動を!

今日買った本
    詩集『見えない配達夫』 



今日読み終えた本
    『博士の愛した数式』
           小川洋子 新潮文庫











お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.03.13 14:51:31
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: