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『御開帳綺譚』 玄侑宗久 文春文庫
芥川賞作家が記憶のなぞ「心」というミステリー
に挑む。人工透析で生きる妻の願いと夫の愛
を描く「ピュア・スキャット」を併録。
脳科学者 茂木健一郎の解説は、現代文明の
有り様の一端をよく解析していて参考になる。
『日本沈没 第二部』 小松左京+谷甲州 小学館
小松左京の大ベストセラー小説「日本沈没」から
33年、第二部が谷甲州との共著として完成した。
沈没から25年後、日本海上での国家再建計画の帰趨
を中心に、最後は氷河期を迎えた地球を離れ宇宙への
移民までを描く。
読書には、逆進法というのもあっていいのではないか。
第一部を読んでいないが、映画を見、第二部を読んだ。
SF小説ではあっても、首相が「美しい国へ」を唱えるこ
の国のいま、大きな示唆をふくんでいる。
また、第三部に誰かが挑戦するか興味津々でもある。
『詩とはなにか』 吉本隆明 詩の森文庫
<詩とはなにか、それは、現実の社会で口に出せば
全世界を凍らせるかもしれないほんとのことを、
かくという行為で口にだすことである。
こう答えれば、すくなくともわたしの詩の体験に
とっては充分である> (本文より)
いわゆる「詩論」には難解なものが多いが、本書
は、他書にはない切り口があって解り易い。