読書日記blog

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2006.02.11
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カテゴリ: 日本の小説


角川書店

クローズド・ノート

万年筆が重要な役割を果たすとのことで読み始めた本だが、そんなことがどうでも良くなるほど面白い。のめりこんで一気に読み終えてしまった。

本好きの間では「普段本を読まない人には受けるだろうが…」との声もあるようだ。確かにあまりにも綺麗に纏まりすぎの嫌いはあるが、日頃から本を読む人でも、大学生(教職課程ならなおよし)、万年筆を好む、ミステリ的な落ちを好む、泣ける話を好むという条件の幾つかに当てはまれば間違いなく満足できるだろう。


塾の国語講師としていつも本文の意味や内容を説明・解説しているクセで、この作品の魅力を説明したくてたまらない。もっとも普通に読んだら私の解説なんぞ必要ないし、読んでいない人にはこの解説は迷惑なネタバレ以外の何物でもない。説明を一々書くのは野暮で興ざめとは知りつつ、あまりにも感動し感激したので自分のために書く。

香恵と石飛さんの関係は、ノートに書かれている伊吹先生と隆の関係に重ねられる。また香恵のライバルとなる星美さんは、伊吹先生のライバルとなる「お嬢様」に重ねられる。伊吹先生のノートは単なる劇中劇のようなものではないということは本書のタイトルからもすぐわかる。しかし、読み始めたころは、単に香恵が自分の恋を伊吹先生の恋とダブらせているだけだと思っていた。香恵の話と伊吹先生の話がどのような形で融合するのか、ラストに近づくまで推測できなかった。
ラストでなぜ香恵の話と伊吹先生の話がここまでダブるのかが明らかになる。話の細部がラストにつながる伏線として輝きを増す。読んでいる途中はさらっと流した数々の細かなエピソードも感動的な意味を内在していたのである。
まあ、それはほとんどの小説にいえることで取立て書くべきことではないのだろう。しかし、あまり恋愛小説を読まない私にとって、ここまで謎解き的に落ちがある恋愛小説は新鮮で面白かった。

構成はトリッキーだが、内容はごく身近な話題で、読者は自分の体験とダブらせて読み進めることが出来る。
また、この話にはモデルがあるということも、作品に「魂」「共感できるストーリー」を与えることになり、読者の感動をより確かなものとしている。
作中で万年筆を売る秘訣として「見た目や使い勝手そのものの印象とは別の魅力……言い換えれば、付加価値の一種」が挙げられている。



そしてこの本の最大の魅力である、恋愛小説としての内容について。これも解説的に書きたい気もするが、小恥ずかしいので割愛。ただ、非常に共感できるようなセリフが多々あったということは記したい。


最後に、万年筆好きとしてコメントしたい。
表紙の万年筆のイラストにまず惹かれ本を手に取り軽く立ち読みした。すると、立ち読みで万年筆ブランドの名称がやたらと登場するのでまずびっくり。しかも筆記具を選ぶシーンがリアルで、どうやら主人公は文房具屋の店員さん。恋愛小説は敬遠していた私も、これは買わねばならぬと運命的なものすら感じ、レジへと急いだ。
話しは変わるが、私は雑誌やインターネットで欲しい万年筆を見つけて、それを買うために店に行って買ったり、通販で取り寄せるというスタイルで万年筆を購入している。家で悩んでから店に行く。それゆえ、お店の人に相談しながら品定めした経験はほとんどない。唯一店員さんに勧めてもらって購入したのはラミー2000のペンシルで、それも中学生の頃の思い出である。それ以降はペン先をFにするかMにするかを試し書きする程度で店でどれにするか悩むことはほとんどない。しかし、この本を読んで、お店の人に私に似合ったペンを幾つか見繕ってもらい、相談しながらどれにするのか決めるのも面白そうである。ただ、もうこの本を読んで、デルタのドルチェビータが欲しくなっているので、相談する必要がないような…
デルタ ドルチェビータ ミニ 万年筆(お問合せ価格商品) ←香恵の一押し、デルタ「ドルチェビータ ミニ」





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Last updated  2006.02.12 02:33:40
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