ぼたんの花

ぼたんの花

2007/10/07
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テーマ: 戦争反対(1197)
先週、話題の映画を観てきた。

「シッコ」

感想1.

アメリカ国民は、マイケル・ムーアさんに言われなくても、日々、切実に感じている現実であり、この映画を今、観ることが必要なのは、むしろ日本国民だと思った。


民間にできることは、民間に、とまさしくバカの一つ覚えの小泉&竹中。
どこでどういうふうに議論されたのか、司法も、医療も、変わっていく。もちろん建築基準法も、その中のひとつだった。
国民の安全を守るための制度ではない、アメリカが日本国民を守るために制度の改革を推進させるわけがないのに、全てにおいて「規制緩和」「行政改革」とお題目が立派なわりに、中身は“骨太の改革”どころか、”骨粗しょう症改革“。

これをすすめたのが、あの売国奴ペア小泉&竹中。実際に動いた人、知っていた人は、建築基準法の改悪でわかるように自民党の中にも多くいるでしょう。

なにしろ小泉さんは、なんにも知らないアホですから。でも小泉さんの息子さんには気をつけないと。今、売国奴になる訓練を受けています。

で、話しを戻して、この映画「シッコ」について、日本国民のほうが見るべき価値がある。

アメリカには国民皆保険制度がない。
公的医療保険制度の導入は、官僚的であり社会主義への第一歩である、と恐怖を煽ったことと、ニクソン大統領が保険制度に興味がなかったから、この悪夢が始まった、そしてヒラリー・クリントンは国民皆保険制度に積極的だったけれど、最終的には保険業界から献金を受ける立場になった、と映画では主張。

健康保険制度の調査で、アメリカの医療制度のランキングは世界で37番目。この映画で、イギリス、カナダ、フランス、キューバの医療事情が紹介されている。それを見た限りでは、この四カ国では、日本よりも医療費負担が少なく、日本よりも質の良い医療が受けられている。ムーアさんにもぜひ日本を引き合いに出してほしかった。


アメリカ国民の60パーセントが民間医療保険、高齢者、貧困層に対しては、公的医療保険25パーセント、15パーセントは無保険者。この数字は、シッコのプログラムに書かれているもので、アメリカの何年の統計かは、不明。
数年前には、アメリカ国民のカード破産の内容は、その殆は医療費が原因、ということは知っていた。そのために中流階級が一気に下層階級に流れてしまった。

国民60パーセント利用の民間医療保険会社は、加入している人にも、ありとあらゆる理由をつけて、医療費の支払いを拒否する。いくつかの例が出ているが、それはそれは酷い。

ムーアさんの話ですと、この医療問題を政治課題にしている大統領候補は、米国にはいない、ということ。それが本当ならムーアさんが問題にしても、あと10年は、米国の医療事情は改善されないだろう。




☆ ☆☆☆☆


感想2.

さて、この映画はとても素晴らしく、ムーアさんのパワーもすごい。
なにしろカメラを回しながら、一般の米国民をボートであのキューバへ上陸させて、撮影までしている。



ここで思い出すのが、「華氏911」。
何年か前に、ぼたんの花ブログに書き込みがあった。
それは、私もリンクを貼っている田中宇さんが、華氏911で謀略をしているのは、ブッシュさんではなくマイケル・ムーアさんのほうである、と言っていると。

その記事を読んで、田中宇さんが、ムーアさんが謀略しているとは書いていない、アメリカで熱心にニュースウオッチをしている人たちが、そうネットで言っているのであって、田中宇さんはそう思っていない、と私はそのときに判断した。

映画を見終わったときの感想は、あの程度の内容はとっくに知っていることであり、米国民は、今頃、ムーアさんの映画を見て知ったの?と。

田中宇さんは、あの映画では、大切なことを見えなくしている、という。
ビンラディン家とブッシュ家がとても親しい間柄、サウジの王家のことは確かに言っていた。が、ネオコンのことは言っていなかったように思う。田中宇さんは直接的な言い回しは、いつもしない。

が、これは田中宇さんの文章の意味を私が読み間違えたようだ。
マイケル・ムーアが映画の中で謀略をしている。と田中宇さんも思っているのだろう。

あの時、ムーアさんは、民主党のケリーさんを応援していた。
誰でもいい、ブッシュに勝てれば!と。

あの時、1つだけ私が気になったこと、ケリーさんもスカル&ボーンズの出身者であり、ブッシュさんと同じ。これだけ政治的なことを取材しているムーアさんが、そのことを知らないはずは無い、と私も思っていた。ムーアさんは映画以外でも、ネットでメッセージを送っていたので、私はそちらの情報を頭の中で優先していたのかもしれない。


今回、この「シッコ」を見る前の情報では、あのグアンタナモにいるテロの犯人のほうが、米国民より高度な医療を受けている、とムーアさんがこの映画で言っていると知った時、これは危ない、と感じた。

去年、「僕たちが見た真実」という映画の中の主人公である二人、イスラム系のイギリス人、青年二人が来日。直接、お話を聴いてきた。


「僕たちが見た真実」、内容は、とてもソフトであり、二人が見た真実をこの映画は、ぜんぜん伝えていなかった。
米国内の法律を無視することができる、キューバにある米軍のグアンタナモの実態は、どうであるか想像ができるでしょう。
イラクのアブグレイブ刑務所には、グアンタナモを担当している米兵たちが来たそうだ


そして「シッコ」に登場する9.11での被害者たち。あの非常時にボランティアで活躍したひとたち、消防士、が、医療を受けたくても米国では受けられない。
いろいろな症状に関するものの証明が難しいからだ。

WTCのビル崩壊、あの中にあったコンピュータ約五万台、一台あたり4~12ポンドの鉛を含み、ビルに使用されていた何百トンものアスベスト、何万台もの煙探知器に使用されていた放射性物質アメリシウム241、何万の蛍光灯には、水銀などが含まれている。米国の環境保護局は、消防署員には、住民が不安になるという理由で、防護マスクの使用を禁止させた。あの時。多くのボランティアが、あの粉塵の中で作業をしていた。2003年になり、環境保護局は、当時、非常に危険であると警告を発したが、業務の遂行上、仕方なく安全宣言をしたことを認めたという。


9.11、あの時、善意で多くの人たちが作業をしていた。そのことは「シッコ」の中でもマイケル・ムーアさんも言っている。それ以上に問題なのは、キューバで診療をし、薬を処方してもらった人々の容態を一切、映画の中で言及していないこと。
キューバで薬を安く買って、診察もしてもらっただけですむ問題では決してないのだ。

グアンタナモの医療設備の立派さを紹介しているが、その中にあのときのテロの犯人ではないか、と今でも何百人と収監されている人々は、どうなっているのか?そういうことを一言もこの映画は言っていない。

WTCの崩壊で、呼吸器系の病気に晒されている人は、いったい何百人いるのか?

この映画で印象に残るのは、ヒラリーさんの政治姿勢、グアンタナモも囚人たちに立派な医療を受けさせている、今、米国の大統領候補で医療制度を問題にしている人はいない、ということ。


が、大健闘した米民主党のデニス・クシニッチさんをムーアさんが知らないはずはない。アメリカ最大のインターネット投票で民主党の候補9人中、二位になったこと、彼は、米国の医療制度をとても問題にしていることを。






他の候補者たちは、官僚的で企業がコントロールする医療システムをゆっくりと 変えていくことを提案していますが、私は国民健康皆保険を提案します。

他の候補者たちは、世界中の労働者と環境を痛めつけてきたグローバライゼーションを擁護していますが、私はNAFTAとWTOを廃止して、フェアトレードを推進し、労働者の水準を高め、地球を守ります。私はあのとき世界中の環境や労働組合の活動家たちと一緒に、シアトルをデモ行進しました。

私は米国下院議会において違法でうそだらけのイラク戦争に反対し、そして今も 毎日、議会で政府からの回答を要求しています。また私は米国愛国法に反対した唯一の候補者でもあります。

私たちのキャンペーンはまったく新しいことをやろうとしているのです。私たち のやっているのは、さまざまな運動の大連合によるキャンペーンです。平和運動、経済的公正さを求める運動、環境運動、労働運動、女性の権利擁護の運動、市民 の自由や権利擁護の運動などすべてによるキャンペーンであり、インターネットによってエネルギーを得ています。まさにあの2月15日の反戦デモや、シアト ルの反グローバリゼーションのデモが世界中を揺るがしたように。


<2003.7.6>


ムーアさんの映画は、米国民の不満のガス抜きの役割を果たすのが目的、という人もいます。華氏911から、もう三年も経ったのですね。
9.11は不意打ちの攻撃では無い、と考えているひと、ニューヨーク市民の半数がそう考えている、という数年前のこのDVD。
今年の田中宇さんからの情報では、米国民の80パーセントの人が、9.11は米政府が関わっている、と考えているそうです。そこをムーアさんは問題にしていない。


淀川長治さんは、生前、つまらない映画を見たとき、映画の解説はどうするのか、という質問に「ワンシーンでもその映画の良いところを探す」と言われていた。例えば、歩き方がよかったとか食べ方がよかったとか。


「だからこの映画は、行動を起こすことを呼びかけている。マイケル・ムーアではなく、みんなが行動を起こすことを呼びかけている」とムーアさんは、プログラムの中で言われていますが、映画の中からは、それらを感じとれませんでしたが、米国の医療の実態にそうだ!そうだ!という共感はありました。
911の直後の米国民の地に足がつかない舞い上がった愛国心、その直後に映す9.11のヒーローたちのみじめな実態。この部分の対比は、みごとでした。良かったです。



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写真は、銀座にある小さな映画館の同じ建物にあったスコッチパブ“オールドムービー”。入り口には、このジェームス・ディーン。
カクテルは、すべて俳優さんの名前。コースターは、俳優さんの顔が書いてある。八ミリ映写機があり、店内ではオールドムービーを上映していた。が、このお店もいつの間にか閉店した。お値段も銀座のど真ん中とは思えぬほどリーズナブル、女性客向けのお料理は、とても安くなっていた。

長いカウンター席があり、そこには時々、淀川長治さんの姿があったそうだ。同じ建物の三階には、試写室があり、テレビの洋画劇場で、淀川さんが解説をするとき、その収録に使われていたそうだ。





Give Peace A Chance
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Last updated  2007/10/07 05:18:09 PM
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