書評日記  パペッティア通信

書評日記  パペッティア通信

PR

Calendar

Comments

山本22@ ブランド時計コピー 最高等級時計 世界の一流ブランド品N級の…
山本11@ 最高等級時計 店舗URL: <small> <a href="http://www.c…
よしはー@ Re:★ 小島毅 『近代日本の陽明学』 講談社選書メチエ (新刊)(09/26) 作者の独善性、非客観性をバッサリ切り捨…

Archives

Nov , 2025
Oct , 2025
Sep , 2025
Aug , 2025
Jul , 2025
Jun , 2025
May , 2025
Apr , 2025
Mar , 2025
Feb , 2025

Freepage List

Keyword Search

▼キーワード検索

Feb 28, 2005
XML
カテゴリ: 社会




2005年3月から施行される個人情報保護法。岡留は、むろんこの動きに警鐘をならす。すでにその流れは、田中真紀子長女の離婚に関する『週刊文春』記事差止訴訟地裁判決と、その判決を読売新聞が支持したことからわかるように、施行前から厳しさをましている。名誉毀損の損害賠償も、上に手厚く下に薄いという判例がまかりとおっているんだそうだ。政財界の公人・みなし公人は、プライバシー保護の名の下、市民の目から隔離。かれらが公式に発信した都合のいい情報しか手に入らない危機。こうした中で、「雑誌冬の時代」の中にありながら、国民雑誌『文藝春秋』につぐ第二位の売り上げを誇った黒字誌の休刊。ちょっとした一大騒動であったことは記憶にあたらしい。

たしかにその25年間は「戦記」と形容されるにふさわしい華々しさだ。皇室ゴシップ、ロス疑惑、グリコ・森永事件の報道協定スッパヌキから、筒井康隆の断筆宣言、森首相売春検挙事件、安倍晋三・蓮池透・小林よしのりの素性にいたるまで、この20年間、つねにジャーナリズムの震源地でありつづけた。1行情報はとりたてて貴重であった。実はこれ、印刷1日前までつっこめる体制をとり、編集長みずから、締切間近深夜の新宿ゴールデン街にたむろする、ジャーナリストや社会部記者から情報を仕入れていたらしい。週刊誌記者匿名座談会の面白さは、あらためていうまでもなかろう。

「反権力」をなのった同誌。それは法政大学にあって新左翼運動に挫折した岡留のパーソナリティと深いかかわりがあるのはいうまでもない。朝日ジャーナル休刊後、『世界』『週刊金曜日』があのザマの中で、唯一健闘していた左翼雑誌であった。闘争につぐ闘争の日々。「私人には手を出さない」「正義の味方の本性をあばく」「ざら紙をつかう」…実はなかなか考え抜かれた編集方針だったことが分かって、隠れファンとしてはついついうれしくなる。アングラ性を醸し出していた本誌のみに許される、さまざまなアプローチがもうみられなくなるのはとても悲しい。

あのスキャンダリズムこそ、左翼の衰退に拍車をかけたのだ、と眉をひそめる人も多い。かくいう評者も、あの読者コーナーや執筆者の、えもいわれぬ左翼腐臭が嫌いだった一人である。たしかに『噂の真相』はウソも多い、いかがわしい雑誌であったかもしれない。しかし、みんながそんなことを知っていたが、みんな『噂の真相』を読んでいたため売れていた。みんなに読んでもらえないと、そして雑誌は発行し続けられないと、なんの意味もない。いかように『噂の真相』をあげつらおうと、現実に『噂の真相』は売れていたのだ。これほど大事なことが他にあるのか。自称左翼がかんがえるべきことは、『噂の真相』のイデオロギー的欺瞞ではなく、噂の真相がうれていたこと自体にあるのではないのか?。

岡留編集長と川端副編集長は、この25年でマンションのローンを完済しているとのこと。もともと2000年休刊予定だったのだが、名誉毀損裁判も山場をこえたことでやっと休刊させることができたのだそうだ。今では沖縄でスローライフ、本土と沖縄を行き来する日々らしい。団塊の世代のある種の象徴だった人物にやっと魂の平穏がおとずれたのか?。とはいえ、沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事件、内地と沖縄の関心格差に激怒している所をみると、まだまだ平穏は遠い先の話のようだ。ついでだから、『週刊金曜日』の編集長になってもらって、テコ入れした方がいいんじゃないかと愚考する次第である。

価格: ¥735 (税込)
評価  ★★★☆





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Nov 4, 2006 02:59:24 PM
コメント(3) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


どもです  
macoko  さん
全ての書評が力作ですね。凄いです。
私は頭が悪いので難しいことはわかりませんから、こちらの書評でちょこっとだけ。
私は頭が悪いのでこの本は読んでいないので、書評部分からで失礼します。

>あのスキャンダリズムこそ、左翼の衰退に拍車をかけたのだ、と眉をひそめる人も多い。
>(中略)現実に『噂の真相』は売れていたのだ。これほど大事なことが他にあるのか。

乱暴に切り取ってしまうと「ジャーナリズム」vs「商業主義」という偉大なる陳腐な構図になるわけですが、その商業主義に左翼思想を利用していたことが、眉を顰める理由なのではないですか?
言ってみれば、街宣右翼が鳥肌実に眉を顰めるような。まぁ、岡留が鳥肌ほどには頭が良くないのが違うといえば違うんですが。

>沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事件、内地と沖縄の関心格差に激怒している

へー。そうなんですか。また沖縄のジレンマが……
味方にしたい人は無関心で、イデオロギーゴロがハイエナのように鼻息荒く寄って来る。主観的には善意なんだからかないませんな。
そして、味方にしたい無関心層は、それをみて更に距離を置こうとする。

>今では沖縄でスローライフ、本土と沖縄を行き来する日々らしい。

田中康夫の「ユタが愛した探偵」にて、岡留は沖縄で死んじゃってるんですけどね。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198505470/qid=1109995898/sr=1-3/ref=sr_1_2_3/249-5753506-9161934 (Mar 5, 2005 01:15:39 PM)

おこしいただきありがとうございます。  
春秋子 さん
macokoさん
はじめての書き込みありがとうございます。

>>あのスキャンダリズムこそ、左翼の衰退に拍車をかけたのだ、と眉をひそめる人も多い。
>>(中略)現実に『噂の真相』は売れていたのだ。これほど大事なことが他にあるのか。

>乱暴に切り取ってしまうと「ジャーナリズム」vs「商業主義」という偉大なる陳腐な構図になるわけですが、その商業主義に左翼思想を利用していたことが、眉を顰める理由なのではないですか?
>言ってみれば、街宣右翼が鳥肌実に眉を顰めるような。まぁ、岡留が鳥肌ほどには頭が良くないのが違うといえば違うんですが。

そうですね。ただどうなんでしょうか。
どうも、スキャンダリズムは『マスコミひょうろん』という雑誌以来の、岡留にとっては信念ともいえるものらしく、かれを商業主義とくくるのは、その対局にある「ジャーナリズム」の立場からの考えのようにおもわれます。

しかし、その「ジャーナリズム」の報道をになうはずのものが、いまだに『週刊金曜日』しか実現できていないという惨状こそ、本来なら反省されなければならないはずなのに、、、

>>沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事件、内地と沖縄の関心格差に激怒している

>へー。そうなんですか。また沖縄のジレンマが……
>味方にしたい人は無関心で、イデオロギーゴロがハイエナのように鼻息荒く寄って来る。主観的には善意なんだからかないませんな。
>そして、味方にしたい無関心層は、それをみて更に距離を置こうとする。

たしかにそうですよね。味方にしたい無関心層は、やっぱりアメリカと同盟をむすぶと安全だとかんがえていて、基地は沖縄に押しつけておきたいのですから。

これからもよろしくお願いします。
(書きためていたのを放出したので、あんまり残っていないのです【笑】) (Mar 5, 2005 05:31:55 PM)

Re:  
macoko  さん
>春秋子さん

>スキャンダリズムは『マスコミひょうろん』という雑誌以来の、岡留にとっては
>信念ともいえるものらしく、かれを商業主義とくくるのは、
>その対局にある「ジャーナリズム」の立場からの考えのようにおもわれます。
>しかし、その「ジャーナリズム」の報道をになうはずのものが、
>いまだに『週刊金曜日』しか実現できていないという惨状こそ、
>本来なら反省されなければならないはずなのに、、、

平岡正明の犯罪者同盟のイメージというか名残りのニュアンスで、不器用で真面目なオウンゴールという受け取り方をしています。
「ジャーナリズム」にしても「スキャンダリズム」にしても、余りにもセンチメンタルで儚いロマンティシズムに見えますが。

>味方にしたい無関心層は、やっぱりアメリカと同盟をむすぶと安全だとかんがえていて、
>基地は沖縄に押しつけておきたいのですから。

平等を口にしながら、隣国の徴兵を莫迦にするのが標準的な選挙民ですから。

>これからもよろしくお願いします。

こちらこそヨロピクお願いします。 (Mar 5, 2005 06:26:10 PM)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: