PR

2006/09/12
XML
カテゴリ: 音楽生活。















フリッパーズ・ギターが1stアルバムを出してから

ちょうど17年経った、今年の8月25日、

フリッパーズが2年間の活動の間に発表した、3枚のアルバムのうちの

2枚が、リマスタリングされて、再リリースされた。














17年経った、と今、書いていて、改めて驚いてしまった。

私にとってのフリッパーズは、いまだに、

その時とまったく変わらない、鈍らない光で、輝いているままだからである。

初めてフリッパーズと出逢った中学生の頃から、5年後も、10年後も、

やっぱりフリッパーズの音楽に、ちっとも時代遅れだとか古さだとかを
















私がフリッパーズ・ギターに出逢った事は、

そのまま私の音楽人生の大きな転機となった。

それほど衝撃の出逢いだったのだ。

中学一年生、13歳、93年。

当時、フリッパーズが解散してしまってすでに2年が経とうとしていた。

つまり、出逢った頃にはもう、フリッパーズはいなかった。

なぜもっと早くフリッパーズに出逢えなかったと悔やむ一方、

(とはいえ、フリッパーズがデビューした89年には私はまだ9歳であった。)

それを取り戻すかのように、遡って、フリッパーズの発表作品を

次々見つけてきては、それこそ狂ったように聴いていた。














その頃、クラスメイトにルミちゃんという女の子がいた。



ちょっと変わっていて、耳にはピアスの穴が無数に空いていて、

例えばバレンタインだというと、スニッカーズ・チョコの小さいパックをクラスに持ってきて、

みんなにこっそり配ったりしていた。

私達はものめずらしさに、行った事のない異国の話を聞いたり、

英語を話してもらっては、すげーすげーと騒いだりした。



私たちが当時流行っていたチャゲ&アスカや

B’Zを聴いている時に、よくわからない国の言葉の洋楽やロックを

聴いていた。













ルミちゃんと私は、同じ部活に入部したこともあり

どんどんと仲良くなっていた。

ルミちゃんの言動も、行動も、私にとってはいちいち新鮮であり、

興味深いものだった。

そんなルミちゃんがある日、日本ですごい音楽に出逢った、と

私にカセット・テープを持ってきたのが、フリッパーズ・ギターだったのである。

当時の私たちの興奮といったら、すごかった。

不思議なルミちゃんが持ってきた、この不思議なカセット・テープに、

そしてそこに詰められた、フリッパーズ・ギターというバンドの

衝撃の音楽の数々に、私はとても興奮した。













どれも、今まで私が聴いてきた、チャゲ&アスカや当時流行の歌謡曲には

ないものだった。「イカ天バンド」と呼ばれる、バンドブームに則った音楽にも

ないものだった。とにかく、聴いた事がない音楽だったのだ。

中学生にやっとなったばかりの私には、

ネオアコやギター・ポップも、またイギリスのインディシーンもアズテック・カメラ、

オレンジ・ジュースももちろん、知らなかった。

だから、目がチカチカするほどの衝撃だったのである。














音源だけでなく、そのビデオ・クリップやインタビュー、形や服装、

全てが刺激的でたまらなかった。

『それゆけフリッパーズ!!名画危機一髪』(映像)のPV、映像のお洒落さ。

べレー帽、アニエス,bに身を包んだ、小生意気な2人組。

どこか冷めきった目で、大人を見下すような目で、

おどけた動きをする2人。ひらりとかわす2人。

美術館の近く。名画を持って、腰を低くして逃げる2人。

小山田が先にささっと歩いてきて、後ろにいる小沢に、GO合図を送る。

この演技が滑稽で、とても好きだった記憶がある。

初期のフリッパーズの唄は英詩だったので、この2人が日本語を話す姿が映像として見れず、

本当に日本人なんだろうか、でも同じ日本人の身近さなんて微塵もなくって。

そこがクールで格好よかったのだ。













その他の映像集も、大好きな「Camera!Camera!Camera!」のPVや、

お遊び感覚の架空のCM(これが本当に素敵。大好きだった。コーンフレークのCMなど)

何度見てもトリップできる「スライド」の綺麗な青色のPVは

まるで海中を浮遊している気分にさせてくれたし、

「Groove Tube」のサイケデリックな赤色の映像、マネキンにキスする小沢、

まだ10代だった私をドキドキさせてくれた。

(ちなみに「Groove Tube」の意味のヤバさはやっぱり帰国子女のルミちゃんが

 教えてくれたのだが、その曲のあまりのセクシーさには

 授業の合間に聴いた私の胸を、必要以上にドキドキさせ、

 とても衝撃で、頭に流れて止まらなかった。嗚呼10代のうら若きことよ)












こうして、もう15年前ぐらいに見た映像を、いまだにはっきりと覚えているのは

記憶力の乏しい私にとっては奇跡のようなものだ。

それだけ、衝撃は鮮明に残っている。

ルミちゃんが一番最初にくれたテープは、シングルばかりが12曲つまった

92年発表の『SINGLES』だったが、私はその音源を

一番良く聴いていて、それこそテープが伸びてボロボロになるまで、聴いた。

だから、いまでも、あのCDの始まりから終わりまで、

はっきりと唄う事が出来る。曲順もしっかり頭に入っている。

そればかりか、いまだに、脳内でそのままそっくり、音源を流す事もできる。

まさにCDいらずだ。














フリッパーズが僅か2年間の活動期間に出した、3枚のアルバムは、

そのどれもが素晴らしいもので、

1枚目の、ネオアコ・ギターポップの影響を色濃く出した初期の感じは

やっぱりフリッパーズの魅力を語る上で欠かせないものだし、

2枚目の、フレンチポップ、ソフトロック色が出てきた感じもまた、よい。

そして日本語の曲が増えてきたのもこの頃の曲の最大の特徴であり、魅力だ。

3枚目の、当時のイギリス・マンチェスター・ムーヴメントの影響を受けた、

サイケデリックな感じ、独特の終末感は、この1枚でフリッパーズが終了することの

予感を漂わせていて、なんとも言えなかった。















私は、初期の頃の、

いとこの来る日曜日を唄った『Hello』、

まるで言葉遊びのような『Exotic Lolliopop』、

授業を抜け出してピクニックに行く『Happy Like a Honeybee』、

サンバパレード、狂ってやがるぜ!と唄う『SAMBA PARADE』、

そして中期の、

やっぱり名曲だと思う『恋とマシンガン』、

カメラの中で3秒間だけ恋をする!の『カメラ!カメラ!カメラ!』、

インストの格好良さを最高に引き出した『クールなスパイでぶっとばせ』、

その歌詞が大好きな『午前3時のオプ』、

後期に至っては、

フリッパーズにとって明確な転機となった『ラブ・トレイン』、

私が人生で最も好きな曲のひとつなんじゃないかの『スライド』、

セクシーとサイケの真骨頂『Groove Tube』、

これまた人生で最も好きな曲『Blue Shinin'Quidk Star』、














これだけ書いても書ききれないほど、

この僅か2年間で発表した曲のすべてにおいて、

それぞれ深い思い入れがあり、

やっぱりフリッパーズ・ギターがその後の私の音楽観にもたらした影響は

計り知れないものがあることがわかる。

3枚のアルバムが、それぞれまったく違った個性で光を強く放っており、

ふつうのバンドがそれを

長年かけてゆっくりと模索し、変わっていくところを

フリッパーズは僅か2年間で辿ってしまったのだ。

この成長は、あまりにも速い。

そして、その速さが、フリッパーズを僅か2年という活動期間で

解散させてしまったのだろうし

その後の、長い伝説の理由にもなっているような気がする。

まぁ、伝説というものはいつだって後になってついてくるもので、

当時、フリッパーズは一部のマニアに受けるだけで、

他のミリオンヒットバンドが与ったような恩恵には全く縁がなかったようだ。

しかし、実は2枚目のアルバムを出した90年には、

その年の日本レコード大賞で最優秀アルバム、ニューアーティスト賞を受賞している。

本当に、すべてを駆け抜けるような、

そしてパッと皆を煙に巻いて消えてしまったような、

後には不思議な感覚、そして皆の言う、伝説のみが残っているような、

そんなバンドだったようである。














と、私が好きなバンドについて書くと

長くなりそーだから控えていたんだけど

やっぱり長くなってしまった。そしてくどい。

文章で気持ちを伝える事の難しさを痛感しているところである。














機会があれば、そのたった3枚しかないアルバムを、

そしてそのどれでもいいからどれかを、

もっと機会があればぜひ、映像も、

体験して欲しいものである。

そこには、フリッパーズ・ギターというバンドが残した、

素晴らしい、そして至極、気まぐれな世界観が

いまだにキラキラと、光を放っているはずである。

















お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006/09/12 11:58:08 AM
コメント(4) | コメントを書く
[音楽生活。] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: