Hic Rhodus, hic saltus.

2006.07.04
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エジプトで2000年に実施された調査によれば、タハーラ(女子割礼)を受けた女性は、既婚者で97%、11~19歳の未婚者でも78%に達するという数字を冒頭で紹介して、女子割礼の実態と問題に切り込んでいくのが、内海夏子の 『ドキュメント女子割礼』(集英社新書) である。
ドキュメント女子割礼
『広辞苑(第五版)』(岩波書店) によれば、割礼とは「陰茎包皮を環状に切りとる風習。女子の陰核の一部を切除する場合もある。古来、諸民族間に広く行われ、現今でもユダヤ教徒(生後8日目の男児に施す)・イスラム教徒のほかオーストラリア・アフリカなどの諸族で宗教儀礼・通過儀礼などとして行われる」ものである。

本書で扱う女子割礼は、(1)クリトリデクトミー:クリトリス(陰核)の切除・(2)エクシジション:クリトリスの切除に加えて小陰唇も切除・(3)陰部封鎖:上記の切除に加えて膣口の縫合による封鎖・(4)その他:その他女性器への傷害行為の四類型に分類されているが、こうした行為はアフリカ大陸の多くの地域で、現在も実施されているのである。

男子の割礼は 『旧約聖書』 (21~22頁)に以下のように記されているように、宗教的意義が与えられている。しかも、包皮を切り取るだけで男性器の機能に悪影響はないと思われる。

あなたたちの男子はすべて、割礼を受ける 。(11) 包皮の部分を切り取りなさい 。これが、わたしとあなたたちとの間の契約のしるしとなる。(12)いつの時代でも、あなたたちの男子はすべて、直系の子孫はもちろんのこと、家で生まれた奴隷も、外国人から買い取った奴隷であなたの子孫でない者も皆、生まれてから八日目に割礼を受けなければならない。(13)あなたの家で生まれた奴隷も、買い取った奴隷も、必ず割礼を受けなければならない。それによって、わたしの契約はあなたの体に記されて永遠の契約となる。(14)包皮の部分を切り取らない無割礼の男がいたなら、その人は民の間から断たれる。わたしの契約を破ったからである。」

ところが、女子割礼は女性器を大きく傷つけ機能を減退させる行為である。しかも、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖典にはどこにも記述がない。すなわち、宗教的な意義は存在しないのである。ところが、アフリカ諸国では 通過儀礼 として行われつづけているのである。その理由は様々に考えられるが、文化や宗教の問題として片付けることは許されないのではないだろうか。相互の文化を尊重するという 文化相対主義 が、結果的に人間性の否定を是認することがあってはならないのである。

『ドキュメント女子割礼』(集英社新書)





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最終更新日  2006.07.05 00:11:34


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